特別永住者については、旅券及び特別永住者証明書の携帯義務がなくなりましたが、例えば、住居地が大阪の者が、所用で東京に来ていた際に警察官から職務質問を受けて、特別永住者証明書の提示を求められた場合、当該証明書を自宅に置いてきたため、提示をしたくてもできない状況であっても、罰則の対象となるのですか。

 

刑事罰を科すべきか否かについては、まずは捜査機関において判断されることとなります。

一般的には、特別永住者証明書の提示拒否罪が成立するのは、
権限を有する者から提示を求められたにもかかわらず、提示を拒否する旨の意思を外形的に明らかにしたり、合理的期間内にあえて提示をしない等、その意思をもって提示を拒んだといえる場合です。

この合理的期間は、具体的事案における個別の事情に応じて判断されることになりますが、その事情の例としては、特別永住者証明書の提示を求められた場所とその保管場所との位置関係、提示の支障の有無及びその程度等が考えられます。

なお、特別永住者証明書でなくとも、当該特別永住者の身分関係等の確認が可能な他の代替的な手段がある場合には、あえて特別永住者証明書の提示を求めないことも考えられます。