はじめに

2026年7月24日、外国人の永住許可制度について、出入国在留管理庁が永住許可ガイドラインを見直す方向で検討していることが報道されました。

報道によると、今回の見直しでは、永住許可の判断基準のうち、

  • 「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」
  • 「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」

の要件を中心に、審査を厳格化する方向とされています。

具体的には、

  • 日本人世帯の平均を上回る収入水準
  • 将来の年金受給見込み
  • 年金不足分を補う金融資産
  • 日本社会への適応状況
  • 日本人の配偶者等・永住者の配偶者等に対する特例

などについて見直しが検討されていると報じられています。

一方で、2026年7月現在、改定後の永住許可ガイドラインはまだ正式には公表されていません。

そのため、今回報道されている内容は、今後公表されるガイドラインや制度改正によって変更される可能性があります。

本記事では、2026年7月24日に報道された内容をもとに、現在の永住許可制度との違いや、今後影響を受ける可能性があるポイントについて分かりやすく解説します。

現在の永住許可の3つの基本要件

永住許可は、出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」に基づき、主に次の3つの要件を満たしているかどうかで判断されています。

① 素行が善良であること

一つ目は、素行が善良であることです。

これは、日本の法律や社会ルールを守り、社会生活において問題のない生活を送っていることを意味します。

審査では、例えば次のような事項が確認されます。

  • 犯罪歴や交通違反の状況
  • 納税義務を適切に履行しているか
  • 年金・健康保険へ適切に加入し、保険料を納付しているか
  • 在留カードの届出など、各種届出義務を守っているか

近年の永住審査では、「現在問題がない」というだけではなく、一定期間にわたり継続して義務を適切に履行してきたかも重要な判断材料となっています。

② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

二つ目は、日本で安定した生活を継続できる経済的基盤があることです。

現在の審査では、

  • 安定した収入があるか
  • 継続して就労しているか
  • 勤務先や職業が安定しているか
  • 世帯全体として生活できる状況にあるか
  • 扶養家族の状況

などを総合的に判断しています。

今回の報道では、この要件について、

  • 日本人世帯の平均を上回る収入水準
  • 将来の年金受給見込み
  • 金融資産

などをより重視する方向が示されています。

③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

三つ目は、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることです。

現在も、

  • 在留状況が安定しているか
  • 公的義務を適切に履行しているか
  • 日本社会の一員として生活しているか

などが総合的に判断されています。

今回の改定案では、この「国益要件」についても具体的な評価基準を設け、日本社会への適応状況をより明確に確認する方向が示されています。

今回の見直しで何が変わるのか

報道によると、今回の見直しでは、特に②と③の要件について、具体的な判断基準をガイドラインに盛り込む方向とされています。

これまでの永住審査でも、収入や納税状況、年金加入状況などは確認されていました。

しかし、今回の見直しでは、それらをより明文化し、「永住者として日本で安定した生活を継続できるか」を、これまで以上に具体的に判断する方向へ進む可能性があります。

また、国益要件についても、日本社会への適応や制度への理解などを具体的な評価項目として示す方向が報じられています。

改定時期と適用時期はいつから?

報道によると、出入国在留管理庁は、永住許可ガイドラインを2026年10月1日付で改定する方針とされています。

また、改定後のガイドラインは、2027年4月以降に行われる永住申請から適用する方向です。

一方で、収入水準に関する考え方については、2026年4月以降に申請された案件にも適用する方向で検討されていると報じられています。

現時点で報道されている内容を整理すると、次のようになります。

内容 時期
ガイドライン改定予定 2026年10月1日
原則的な適用開始 2027年4月申請分から
収入水準の考え方 2026年4月以降の申請にも適用する方向

正式な制度内容については、今後公表されるガイドラインで確認する必要があります。

「厚生年金30年水準」とは?

今回の見直し案で最も注目されているのが、「厚生年金30年水準」という考え方です。

この言葉だけを見ると、

「厚生年金に30年間加入していなければ永住許可を受けられないのでは?」

と不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、今回報道されている内容は、そのような意味ではありません。

報道によると、永住許可の判断では、将来受け取る年金受給見込み額が、一定の厚生年金加入水準に相当するかどうかを確認する方向が検討されています。

つまり、「30年間加入したか」という加入年数そのものではなく、将来の生活を支える年金水準を重視する考え方です。

そのため、日本に来た時期が遅い方や、自営業などで国民年金を中心に加入してきた方についても、加入期間だけで一律に判断するものではないと考えられます。

年金受給見込み額が不足する場合は金融資産も考慮

今回の改定案では、年金受給見込み額だけで判断するのではなく、金融資産も考慮する方向で検討されています。

例えば、

  • 預貯金
  • 有価証券
  • その他の金融資産

などによって、将来の生活を維持できると認められる場合には、年金受給見込み額だけで判断しない方向が示されています。

つまり、

「年金受給見込み額が要件を満たさない場合は、不足分を補填するだけの金融資産」

を保有しているかどうかも、生活基盤を判断する要素の一つとなる可能性があります。

これは、年金だけで生活設計を評価するのではなく、老後も安定した生活を継続できるかを総合的に判断するという考え方によるものです。

ただし、

  • どの程度の金融資産が必要なのか
  • どのような資産が評価対象となるのか

については、現時点では正式なガイドラインは公表されていません。

「日本人世帯平均を上回る収入水準」とは?

今回の報道では、「日本人世帯の平均を上回る収入水準」という新たな考え方も示されています。

参考となる統計として、厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」では、2024年の1世帯当たり平均所得金額は575万2,000円となり、前年から7.3%増加しました。

この統計は、日本人世帯の平均的な所得水準を示すものであり、今回の見直しでは、このような生活水準も参考にしながら、申請者が日本で安定した生活を継続できる経済基盤を有しているかを判断する方向と報じられています。

一方で、永住許可の審査は、単純に一つの金額だけで判断されるものではありません。

実際には、

  • 収入状況
  • 就労の安定性
  • 世帯の生活状況
  • 扶養家族の有無
  • 年金受給見込み
  • 金融資産

などを総合的に判断すると考えられます。

今後、正式なガイドラインが公表されれば、より具体的な判断基準が明らかになるでしょう。

経済要件は「総合評価」の方向へ

今回の見直し案を整理すると、経済面の審査は、従来よりも総合的な評価へ移行する方向と考えられます。

具体的には、

  • 安定した収入があるか
  • 将来の年金受給見込みは十分か
  • 年金が不足する場合は金融資産で補えるか
  • 日本で長期的に生活できる経済基盤があるか

といった点を総合的に確認する方向です。

このことから、単に現在の収入だけを見るのではなく、将来にわたって日本で安定した生活を送ることができるかが、これまで以上に重視される可能性があります。

国益要件の具体化|日本社会への適応も評価対象に

今回の永住許可ガイドライン改定案では、「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」という国益要件について、より具体的な評価基準を設ける方向が示されています。

これまでも永住許可の審査では、

  • 在留状況が安定しているか
  • 税金や年金、健康保険などの公的義務を適切に履行しているか
  • 日本社会の一員として生活しているか

などが総合的に確認されてきました。

今回の見直し案では、こうした考え方をさらに具体化し、日本社会への適応状況も評価対象として明示する方向と報じられています。

具体的には、

  • 日本の生活習慣への理解が不足している場合
  • 日本の社会制度への理解が不足している場合
  • 義務教育期間の子どもを就学させていない場合

などについて、**「消極評価」**する内容をガイドラインに盛り込む方向とされています。

これは、「永住者として日本社会の一員となること」を前提に、日本で安定した生活を継続できるかという観点を、これまで以上に重視する考え方といえるでしょう。

日本人の配偶者等・永住者の配偶者等への影響

現在、日本人の配偶者等や永住者の配偶者等には、一般の永住申請よりも要件が緩和される特例があります。

現行のガイドラインでは、実体を伴う婚姻生活が3年以上継続し、そのうち引き続き1年以上日本に在留している場合は、一般的な在留期間要件よりも緩和された条件で永住申請が可能です。

しかし、一部報道では、この配偶者特例についても見直しが検討されているとされています。

具体的には、現行の「婚姻生活3年以上」という要件を「婚姻生活5年以上」へ変更する案などが検討されていると報じられています。

ただし、現時点では正式に決定された内容ではありません。

改定後の永住許可ガイドラインはまだ公表されておらず、今後の内容によって変更される可能性があります。

そのため、日本人の配偶者等や永住者の配偶者等として永住申請を予定している方は、最新の制度改正情報を確認しながら準備を進めることが重要です。

今回の見直しで影響を受ける可能性がある人

今回報道された見直し案が実施された場合、特に次のような方は影響を受ける可能性があります。

① 収入や生活基盤に不安がある方

収入が不安定な方や、転職直後で勤務実績が短い方などは、生活基盤についてより詳しく確認される可能性があります。

② 年金加入期間が短い方

日本での在留期間が比較的短い方や、厚生年金への加入期間が短い方は、将来の年金受給見込み額が審査の対象となる可能性があります。

ただし、報道では金融資産も考慮する方向が示されており、年金だけで一律に判断されるものではないと考えられます。

③ 日本人の配偶者等・永住者の配偶者等として申請予定の方

配偶者特例の見直しが実施された場合は、婚姻期間などの要件が変更される可能性があります。

現時点では正式決定ではないため、今後公表されるガイドラインを確認することが重要です。

④ これから永住申請を予定しているすべての方

今回の見直しは、一部の方だけではなく、これから永住申請を予定している多くの外国人に関係する可能性があります。

特に、申請時期によって適用される基準が異なる可能性もあるため、自身の状況を早めに確認しておくことが大切です。

永住申請を予定している方が今から準備しておきたいこと

正式なガイドラインはまだ公表されていませんが、今から準備できることは少なくありません。

例えば、

  • 安定した就労・収入を維持する
  • 税金や年金、健康保険料を期限内に納付する
  • 年金加入記録や納付状況を確認する
  • 預貯金などの金融資産を整理しておく
  • 家族構成や扶養状況を確認する
  • 子どもが義務教育期間にある場合は、就学状況を確認する

といった点は、現在の制度でも重要であり、今後の見直し後も引き続き大切になると考えられます。

まとめ

2026年7月24日に報道された永住許可ガイドライン改定案では、

  • 「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」
  • 「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」

という2つの要件について、より具体的な評価基準を設ける方向が示されました。

報道内容によれば、

  • 日本人世帯の平均を上回る収入水準
  • 「厚生年金30年水準」を参考とした将来の年金受給見込み
  • 年金不足分を補う金融資産
  • 日本社会への適応状況
  • 日本人の配偶者等・永住者の配偶者等に対する特例

などが見直しの対象となる可能性があります。

一方で、現時点では正式なガイドラインは公表されておらず、今後内容が変更される可能性もあります。

報道によれば、ガイドラインは2026年10月1日付で改定し、2027年4月以降の永住申請から適用する方向とされています。また、収入水準については2026年4月以降の申請にも適用する方向とされており、今後の動向が注目されます。

永住申請を予定している方は、報道だけで判断するのではなく、今後公表される出入国在留管理庁の正式なガイドラインや運用を確認しながら準備を進めることが大切です。

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