「興行」ビザの取得から更新まで徹底解説。俳優・歌手・ダンサー・プロスポーツ選手など有償の芸能・スポーツ活動の申請の流れをわかりやすく紹介。
目次
1. 在留資格「興行」の概要
在留資格「興行」(通称:「興行」ビザ・「エンターテインメント」ビザ)は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます)の別表第一の二の「興行」の項に定められた在留資格です。
本在留資格は、演劇、演芸、歌唱、演奏、スポーツなど、有償の興行活動を行うことを目的として滞在する外国人の方に認められます。対象となるのは、俳優、歌手、ダンサー、ミュージシャン、プロスポーツ選手、モデルなどです。
また、上記の活動を行う者に付随して必要なマネージャー、コーチ、翻訳者、技術スタッフなども、本在留資格の対象となります。
(1) 本在留資格の基本的な考え方
「興行」ビザは、報酬を得ることを前提とした興行活動を主たる活動としています。無報酬の活動(練習生など)は対象外であり、その場合は「短期滞在」ビザなど別の在留資格を検討する必要があります。
(2) 他の在留資格との違い
・ 「芸術」ビザ:音楽・美術・文学などの創作活動が対象(有報酬)。「興行」ビザは舞台・スポーツなどの実演が中心。
・ 「技能」ビザ:料理人やスポーツ指導者など、特定の技能に基づく業務が対象。「興行」ビザはあくまで「実演」が中心。
・ 「短期滞在」ビザ:無報酬の活動のみ可能。「興行」ビザは有報酬の活動が可能。
2. 対象となる活動
本在留資格で認められる活動は、以下の基準(2023年8月1日施行の新基準)に分類されます。
(1) 基準1号
演劇、歌唱、ダンス、演奏などの一般的な興行活動が対象です。以下の区分があります。
イ:適正な受け入れ実績のある招へい機関が受け入れる場合
過去の招へい実績があり、報酬の未払いがないなどの一定の条件を満たす場合、海外活動経験や会場要件が免除され、審査が大幅に緩和される。
ただし、風俗営業法第2条第1項第1号から第3号に規定する営業を営む施設以外の施設で行われることに限る。
ロ:問題が生じるおそれが少ないと認められる場合
以下のいずれかに該当する活動。
1. 国・地方公共団体等が主催するもの、又は学校教育法に規定する学校等で行われるもの
2. 国・地方公共団体等の資金援助を受けて設立された機関が主催するもの
3. 敷地面積10万㎡以上のテーマパークで行われるもの
4. 客席における有償の飲食提供がなく、客の接待を行わない施設で行われるもの(ただし、客席部分の収容人員が100人以上の場合、または非営利の施設に限る。立ち見を含む)
5. 1日あたりの報酬が50万円以上であり、かつ30日を超えない期間滞在して行われる活動
ハ:上記イ・ロのいずれにも該当しない場合。従来の基準に基づき審査される。
(2) 基準2号
演劇・演奏以外の興行活動が対象です。具体的には以下のような活動が該当します。
・ プロスポーツ(プロ野球、サッカー、バスケットボール、ゴルフ、格闘技など)
・ モータースポーツ
・ その他の興行スポーツ
(3) 基準3号
興行活動に付随する支援業務が対象です。
・ モデル(ファッションショー、広告撮影など)
・ 撮影・録音スタッフ
・ プロモーション活動
・ その他の芸能関連支援業務
3. 在留期間
本在留資格の在留期間は、3年、1年、6月、3月又は30日とされています。
実際の運用では、活動の規模や契約期間に応じて期間が決定されます。例えば、単発のイベント出演では30日や3か月、長期的な契約に基づく継続的な活動では1年または3年が許可される可能性があります。
4. 申請に必要な提出書類
「興行」ビザの申請(在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請)には、以下の書類が一般的に必要です。なお、個別のケースによって追加書類が発生することがあります。
※ より詳細な提出書類は、[「興行」ビザの申請書類]をご覧ください。
※ 在留期間更新許可申請に必要な書類については、下記「5. 申請の流れ (3)」の【更新時の審査ポイント】もご参照ください。
(1) 申請人(活動を行う本人)の書類
・ パスポート
※ 在留資格認定証明書交付申請の場合は「写し」を提出。在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の場合は「原本」を窓口で提示。
・ 在留カード(該当者のみ)
※ 在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の場合は「原本」を窓口で提示。
・ 写真(縦4cm×横3cm)
・ 履歴書(経歴書)
・ 活動実績を証明する書類(芸歴証明資料、出演経歴、受賞歴など)
(2) 受け入れ機関(雇用主・興行主催者)に関する書類
・ 雇用契約書の写し
・ 興行活動の内容を説明する資料(パンフレット、チラシなど)
・ 施設の概要(舞台面積・楽屋面積・観客定員など)
5. 申請の流れ
「興行」ビザを取得・維持する一般的な流れは以下のとおりです。
(1) 日本国外から申請する場合(在留資格認定証明書交付申請)
・ 日本の受け入れ機関(興行主催者・雇用主)を見つけ、雇用契約を締結する
・ 活動計画書や必要書類を準備する
・ 本人、申請取次行政書士、法律で定められた代理人などにより、出入国在留管理局に申請する
・ 審査(通常1〜3か月程度)を経て、在留資格認定証明書が交付される
・ 認定証明書を母国の日本国在外公館(大使館・領事館)に提出し、査証(ビザ)を取得する
・ 来日し、空港で在留カードの交付を受ける(在留期間が3か月を超える場合のみ)
(2) 日本国内で他の在留資格から変更する場合(在留資格変更許可申請)
・ 現在の在留資格で認められている活動を終了する(必要な場合)
・ 雇用契約書や活動計画書を準備する
・ 本人、申請取次行政書士、法律で定められた代理人などにより、出入国在留管理局に申請する
・ 許可後、新しい在留カードが交付される(在留期間が3か月を超える場合のみ)
(3) 同じ「興行」ビザで在留期間を更新する場合(在留期間更新許可申請)
・ 現在の在留期間の満了日の3か月前から更新申請が可能となる
・ 活動継続状況・雇用契約の状況を事前に確認する
・ 必要書類(在留期間更新許可申請書、継続雇用契約書、活動実績報告書など)を準備する
・ 本人、申請取次行政書士、法律で定められた代理人などにより、出入国在留管理局に申請する
・ 審査(通常2週間〜1か月程度)を経て許可されると、新しい在留カードが交付される(在留期間が3か月を超える場合のみ)
・ 不許可の場合は、速やかに帰国準備または他の在留資格への変更を検討する
【処理期間についての補足】
基準1号イに該当する申請で、招へい機関がカテゴリー1(過去に交付実績のある機関)に該当する場合は、申請から2週間以内に交付されることがあります。カテゴリー2の場合は1か月以内が目安です。その他の基準の場合は、従来どおり1~3か月程度かかることが一般的です。
【更新時の審査ポイント】
・ 活動の継続性:計画通りの興行活動を行っていたか
・ 雇用契約の状況:契約が継続しているか
・ 報酬の適正性:日本の同種市場と比較して適正な報酬か
・ 納税義務の履行:税金・年金・健康保険料の滞納がないか
・ 各種届出の履行:転居・活動内容変更などの届出が適切に行われているか
6. 資格外活動許可(アルバイト)
(1) 資格外活動許可とは
「興行」ビザは、認められた興行活動に従事するための在留資格です。許可された興行活動以外のアルバイトを行いたい場合は、「資格外活動許可」を取得する必要があります。
(2) 許可の条件と制限
・ 労働時間の制限:原則として週28時間以内
・ 禁止される業種:風俗営業や風俗関連の業務は禁止
(3) 注意点
・ 無許可でアルバイトをした場合、不法就労となり、退去強制や在留資格取消しの対象となります。
・ 資格外活動許可を得ても、本来の興行活動が主であり、アルバイトが従であることが求められます。
7. よくある質問
(1) Q:モデルとして日本で広告撮影を行う場合、「興行」ビザが必要ですか?
A:はい、必要です。報酬を得てモデル活動を行う場合は、「興行」ビザ(基準3号)の対象となります。無報酬の場合は「短期滞在」ビザの可能性もありますが、有償の活動は「興行」ビザが必要です。
(2) Q:プロスポーツ選手として日本でプレーする場合、「興行」ビザを取得できますか?
A:はい、可能です。プロ野球、サッカー、バスケットボール、ゴルフ、格闘技など、有償のプロスポーツ活動は「興行」ビザ(基準2号)の対象となります。
(3) Q:マネージャーやコーチも「興行」ビザを取得できますか?
A:はい、可能です。アーティストやスポーツ選手に付随して活動するマネージャー、コーチ、翻訳者、技術スタッフなども、「興行」ビザ(基準3号)の対象となります。
(4) Q:無報酬の練習生は「興行」ビザを取得できますか?
A:できません。「興行」ビザは報酬を得る活動が前提です。無報酬の練習生は「短期滞在」ビザなど別の在留資格を検討する必要があります。
(5) Q:「興行」ビザでアルバイトはできますか?
A:資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイトが可能です。ただし、本来の興行活動が主であり、アルバイトが従であることが求められます。
(6) Q:「興行」ビザの審査では何が重視されますか?
A:以下の点が重視されます。
・ 活動が本当に「興行」に該当するか
・ 報酬が日本の同種市場と比較して適正か
・ 受け入れ機関の施設条件や実績、支払い能力
(7) Q:2023年8月以降、「興行」ビザの基準はどのように変わりましたか?
A:主に以下の点が緩和されました。
・ 基準が旧1~4号から新1~3号に整理統合
・ 優良な受け入れ機関に対する条件緩和(海外活動経験や会場要件の免除)
・ 低リスク受け入れ機関について、収容人数要件や滞在日数の緩和
8. 在留資格「興行」のまとめ
在留資格「興行」(「興行」ビザ)は、有償の芸能・スポーツ活動を目的とする外国人のための在留資格です。本在留資格の最大の特徴は以下のとおりです。
・ 報酬を得る興行活動が可能(俳優・歌手・ダンサー・プロスポーツ選手など)
・ 付随するスタッフ(マネージャー・コーチなど)も対象
・ 2023年8月以降、基準が緩和され申請しやすくなった
・ 無報酬の活動(練習生など)は対象外
申請手続きは決して簡単ではなく、特に雇用契約書の作成や受け入れ機関の施設要件の確認、適正な報酬の設定など、事前に準備すべき事項が多くあります。
本ページで解説した内容を踏まえ、早めの準備と専門家への相談が成功の鍵となります。
9. 当事務所によるサポート内容
当事務所では、在留資格「興行」に関する以下のサポートを提供しております。
・ 初回相談(無料):活動計画の策定、必要書類の見通し、受け入れ機関の確認など、「興行」ビザ取得の可能性についてアドバイス
・ 申請書類の作成:在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留期間更新許可申請書、活動計画書など
・ 書類の翻訳・証明:日本語以外の書類の日本語翻訳、翻訳者証明
・ 出入国在留管理局への申請取次:申請取次行政書士として書類を取次提出、審査進捗確認、追加書類対応、入管との連絡調整
・ 不許可時の対応:不許可理由の分析、再申請の可能性や改善点のアドバイス
初回相談は無料です。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。