ここでは、外国人が日本に帰化する場合、どんなことに注意して、どんな手続を進めていくかを説明します。
日本には、中国、韓国・朝鮮、フィリピン、ベトナム等様々な国籍の外国人の方が生活しています。外国人が日本の国籍を取得したい場合は、「帰化許可申請」をすることになります。

目次

「帰化許可申請」とは

認知された子の国籍取得

帰化手続は1年位時間がかかる

帰化の手順

行政手続法・行政不服審査法の適用除外

書類集めは大変

15歳未満の外国人の帰化申請

法定代理人とは

交通違反等に注意

本国の成人年齢等を調べる

日本人の配偶者は条件が緩和

結婚しても、日本人配偶者・子の氏は変わらない

日本人配偶者が外国人配偶者の氏を称したい場合

身分関係の届出内容と事実が違う場合

行政書士に依頼するメリット

「帰化許可申請」とは

外国人が日本の国籍を取得したい場合は、「帰化許可申請」をすることになります。

この手続は、簡単に言えば、次のようになります。

1 必要な添付書類の集め
2 申請書類を作成
3 申請書類・添付書類を法務局に提出
4 許可・不許可の決定を待つ

例外的に届出によって日本の国籍を取得できる方法もありますが、帰化許可由請による方法が一般的です。

認知された子の国籍取得

日本人父と外国人母との婚姻前の出生子が、出生後に日本人父から認知され、20歳未満で、日本国籍を取得しようとする場合、その子が法務大臣に届け出ることによって国籍を取得できます。

帰化手続は1年位時間がかかる

帰化申請の書類を法務局に提出してから、結果が出るまで、1年近く又ははそれ以上は見ておく必要があります。
それは、法務局の担当官の人数が限られている上、又、各種調査をするからです。

帰化の手順

①依頼者から相談(行政書士に依頼する場合)

②申請前の本人と法務局担当官との面談。
(面談の際に、申請書類一式が手渡される)

③ 提出書類の作成・取り寄せ

④ 住所地管轄の法務局、地方法務局又はその支局に申請

⑤ 書類の点検・受付

⓺ 審査開始

⑦ 担当官と申請人との面接・追加提出書類の取り寄せ

⑧ 法務大臣(法務省)へ書類送付・審査

⑨ 法務大臣決裁

⑩ 許可→官報告示・法務局から本人へ通知
  不許可→法務局から本人へ通知

行政手続法・行政不服審査法の適用除外

「帰化許可申請」は、行政手続法・行政不服審査法の適用除外です。法的には、審査基準や標準処理期間、不服申立ての方法はありません。

書類集めは大変

帰化申請において、色々な役所から数多くの添付書類を集める必要があります。この作業は、申請書類の作成よりも面倒です。

15歳未満の外国人の帰化申請

帰化は、原則として、申請者が20歳以上であることが必要ですが、いくつかの例外があります。
この例外のときは、20歳未満でも帰化申請は可能となります。
ただし、その場合でも、15歳未満のときは、帰許可申請をするには法定代理人が代わってすることになります(国籍法18条)。

法定代理人とは

法定代理人とは、親権者(親権者がいないときは後見人)のことです。
誰が親権者であるかは、子の本国法が父又は母の本国法と同一の場合は、子の本国法によります。

その他の場合は、子の常居所地の法によります。
又、後見人については、子の本国法によって決まります。

交通違反等に注意

帰化許可申請の際に、何か処罰歴があれば、それが道路交通法違反(反則金をも含む)であっても記載しなければなりません。
過去に交通違反歴があると、帰化の許可がおりないというわけではありませんが、交通違反一つに対しても、審査の対象とする場合があります。
申請前はもちろん、申請後も交通違反等をしないように、注意しなければなりません。

万が一、申請後に交通違反等をした場合は、正直に法務局に報告するべきです。

本国の成人年齢等を調べる

申請者の本国での成人年齢はいくつか、親権者や後見人は誰か、国籍の離脱を認めているか等は、書類作成上の要件となります。
各国の大使館・領事館に問い合わせすることにより、本国の成人年齢を調べることができます。

日本人の配偶者は条件が緩和

帰化申請について、日本人の配偶者の場合は、いくつかの条件が緩和されます。
条件が多少不足しても、配偶者が日本人であれば、帰化が可能になることがあります。
よって、日本人と婚約している場合は、帰化申請までに、婚姻届を出した方がよい場合があります。

結婚しても、日本人配偶者・子の氏は変わらない

外国人と結婚しただけでは、日本人配偶者の氏は変更はなく、夫婦別姓になります。日本人に子供がいる場合も、子の氏は変わりません。
ただし、届け出ることにより、同じ氏にすることはできます。

日本人配偶者が外国人配偶者の氏を称したい場合

日本人配偶者が、社会生活上の便宜から外国人配偶者の氏を称したい場合は、婚姻の日から6箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ることなく、届出によって外国人配偶者の氏に変更することができます。

身分関係の届出内容と事実が違う場合

身分関係について、役所に届け出た書類の内容が事実と食い違いがあると、帰化申請手続がうまく進みません。

・日本の役所に提出した出生届に記載した母の氏名が実際と異なる
・出生届に記載した父の氏名が、本国の戸籍記載と異なる
・届出書類上は婚姻関係にあるが、事実上離婚している
・他の者と内縁関係に入っている

こういう場合は是正するべきですが、具体的な事情よって、法務局の担当官に相談する必要があります。

行政書士に依頼するメリット

行政書士は、専門家として、煩雑な帰化申請手続を手伝うことができます。どんな書類が必要かを正確に理解し、取り忘れや間違いのないようにする為には、行政書士に依頼するのも一つの方法です。