特定技能1号「物流倉庫」分野の詳細解説。倉庫内での入出庫・在庫管理・出荷準備などの業務内容、技能評価試験の概要、日本語能力要件(N4以上)、就業先の種類や待遇などをわかりやすく紹介。

目次

1. 特定技能「物流倉庫」分野の概要

2. 対象となる業務

3. 特定技能評価試験

4. 日本語能力要件

5. 実務経験要件

6. 技能実習からの移行(試験免除

7. 受け入れ機関の条件

8. 就業先の種類

9. 報酬・労働条件

10. 特定技能2号について

11. よくある質問

1. 特定技能「物流倉庫」分野の概要

特定技能「物流倉庫」分野は、倉庫内における荷役、入出庫作業、在庫管理、出荷準備などの業務が対象です。物資の保管・管理を担う物流の中核として、近年の電子商取引の拡大やサプライチェーンの高度化に伴い、即戦力となる技能人材の需要が高まっています。

この分野は、「リネンサプライ」「資源循環」とともに新たに追加された3分野の一つで、企業による採用が2027年から開始される予定です。2019年度に開始された特定技能制度は、2026年度にこの3分野を追加し、対象分野は16分野から19分野へと拡大されます。

日本の物流業界では、ドライバー不足の「物流2024年問題」やEC市場の拡大に伴う倉庫作業需要の増加などから、倉庫内作業に従事する人材の確保が急務となっています。特定技能「物流倉庫」分野は、こうした現場で即戦力となる技能人材を受け入れるための新たな受け皿として期待されています。

※ 在留資格「特定技能」の総合解説(対象分野全体の説明、1号・2号の違い、申請の流れなど)は、[在留資格「特定技能」について]をご覧ください。

※ 申請に必要な提出書類の詳細は、[在留資格「特定技能」の提出書類]をご覧ください。

2. 対象となる業務

以下のような業務が該当します。

・ 入庫作業:荷受け、検品、ラベリング、棚入れ
・ 在庫管理:棚卸し、在庫数確認、ロット管理、在庫移動
・ 出庫作業:ピッキング(オーダーに応じた商品の取り出し)、検品、梱包、ラベリング
・ 出荷準備:伝票処理、積み付け、出荷書類の作成
・ 倉庫内の整理整頓と清掃
・ フォークリフトなどの倉庫内運搬機器の操作
・ 入出庫データのシステム入力
・ 返品処理(検品、再梱包、在庫戻し)
・ 作業記録の作成・管理
・ 作業場内の安全管理

3. 特定技能評価試験

物流倉庫分野で働くには、「物流倉庫分野特定技能1号技能測定試験」 に合格する必要があります。

試験の詳細については試験実施機関の公式発表をご確認ください。以下は一般的な特定技能試験の概要です。

試験の概要(一般的な特定技能試験の形式を参考)

・ 試験方式:CBT(Computer Based Testing)方式
・ 試験時間:非公表
・ 出題言語:日本語
・ 実施頻度:年数回
・ 受験資格:特になし(年齢・学歴不問)

想定される出題内容

・ 倉庫管理の基礎知識(入出庫フロー、在庫管理手法など)
・ 物流用語の理解(JIS Z 0110「物流用語」に規定される基礎用語など)
・ ピッキング・検品・梱包の作業知識と精度
・ 倉庫内安全規則(フォークリフト運転時の注意点、転倒防止、荷崩れ防止など)
・ 品質管理の基礎
・ 物流関連法規の基礎
・ 基本的なPC操作(在庫管理システムへの入力)
・ 作業指示書・伝票の読み方

4. 日本語能力要件

特定技能1号「物流倉庫」分野を申請するには、日本語能力試験(JLPT)N4以上、又は国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) に合格していることが必要です。

業務上、作業指示の理解やチーム内でのコミュニケーション、安全確認のために日本語能力が求められます。技能実習2号を良好に修了した方は、この要件が免除されます。

5. 実務経験要件

技能評価試験に合格するルートの場合、特別な実務経験は必須ではありませんが、日本語能力試験への合格が必要です。

母国で物流倉庫、運送業、小売業などの経験がある場合は、試験内容の理解や就職先の確保に役立つことがあります。

6. 技能実習からの移行(試験免除)

技能実習2号を良好に修了した方は、同一分野(物流倉庫)の特定技能1号を申請する際に、以下の試験が両方免除されます。

・ 特定技能評価試験
・ 日本語能力試験

技能実習期間中に在留状況に問題がなかったこと(不法就労、資格外活動違反がないなど)も要件となります。

なお、物流倉庫分野は新設分野であるため、技能実習で従事していた業務がこの分野に該当するかどうかは、受け入れ機関や関係機関にご確認ください。

7. 受け入れ機関の条件

特定技能「物流倉庫」分野で外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、以下の条件を満たす必要があります。

・ 労働関連法令を遵守していること
・ 日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を支払うこと
・ 外国人労働者の支援計画(居住、生活指導、日本語学習など)を作成し、適切に実施すること
・ 地方自治体が実施する「外国人との共生施策」への協力確認書を提出すること
・ 物流倉庫分野の特定技能分野別協議会に加入していること

8. 就業先の種類

・ 総合物流会社の倉庫部門
・ サードパーティ・ロジスティクス(3PL)事業者
・ EC向け物流センター
・ 大手通販サイトの物流センター
・ 製造業の製品倉庫
・ 冷蔵・冷凍倉庫(低温倉庫)
・ 危険物倉庫(化学製品など)
・ 医薬品物流センター

9. 報酬・労働条件

・ 日本人が従事する場合と同等額以上の報酬
・ 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の適用
・ 有給休暇の取得が可能
・ シフト勤務が中心(早朝・深夜勤務を含む場合もあり)
・ 繁忙期(年末年始、セール時期など)は多忙となる場合がある
・ フォークリフトなどの資格を保有している場合、優遇されることがある
・ 倉庫によっては制服や作業着が支給される

10. 特定技能2号について

物流倉庫分野は、2027年の制度開始時点では特定技能2号の対象外とされています。

特定技能2号が受け入れ可能な分野は建設や造船・舶用工業など一部の分野に限られており、物流倉庫分野は対象外です。なお、特定技能2号の対象分野は随時拡大される可能性があります。今後の動向に注意してください。

特定技能1号の在留期間は通算5年です。物流倉庫分野で特定技能1号として働く場合、在留期間が通算5年に達すると、そのまま更新することはできません。在留を継続する場合は、他の在留資格への変更を検討する必要があります。

11. よくある質問

(1) Q:物流倉庫分野の特定技能評価試験は難しいですか?

A:試験は倉庫管理・物流業務の基礎知識を問う内容です。適切な学習を行えば合格は十分可能です。

(2) Q:この分野で働くには、どのような準備が必要ですか?

A:母国又は日本国内で特定技能評価試験に合格し、日本語能力試験N4以上に合格した上で、日本の物流倉庫事業者から内定を得る必要があります。

(3) Q:この分野の受け入れはいつから始まりますか?

A:政府は2027年から企業による採用を開始する予定です。関連する省令や告示の改正は2025年内に行われます。

(4) Q:フォークリフトの資格は必要ですか?

A:必須ではありませんが、フォークリフト運転技能講習を修了していると、業務の幅が広がり、採用や賃金面で有利になることがあります。

(5) Q:家族を日本に呼べますか?

A:特定技能1号では、原則として家族の帯同は認められていません。長期在留や永住を目指す場合は、他の在留資格への変更を検討する必要があります。

(6) Q:転職は可能ですか?

A:同じ物流倉庫分野内であれば転職は可能です。異なる分野に転職する場合は、その分野の特定技能評価試験に合格するなど、新たな要件を満たす必要があります。