定款は、会社、公益法人、社団法人、財団法人、各種協同組合等の法人の目的、組織、活動に関する根本となる基本的な規則です。これを書面若しくは電磁的記録に記載又は記録したものをいうこともあります。
1.定款とは
定款は、会社、公益法人、社団法人、財団法人、各種協同組合等の法人の目的、組織、活動に関する根本となる基本的な規則です。これを書面若しくは電磁的記録に記載又は記録したものをいうこともあります。
⑴定款の作成方法、契印、作成日時
定款の作成方法は、通常次のようにされています。
①書面による場合
書面による場合は、A4版の用紙に片面に横書きで記載し、表紙、本文、裏表紙の順に綴り、袋とじにするか、ステープラ(ホチキス)等で綴じます。
表紙には、通常会社の商号等を記載します。字の大きさ等は、12ポイント、標準書体で印刷すると見やすくなります。
②定款原本
定款原本には、発起人が署名又は記名押印し、各葉ごとに契印します(この契印に代えて、袋とじの場合には、つなぎ目に契印することでかまいません。)
⑵定款の作成、署名、作成日付
法人を設立する場合、会社であれば発起人、社団法人であれば社員、財団法人であれば設立者(以下、単に「発起人」として、説明します。)が定款を作成し、これに署名又は記名押印をすることになります。
電子定款によるときは、定款をPDFファイルで作成し、電子署名をすることになります。
作成日付は、記載するのが普通です。なお、その作成日付は、認証する日よりも以前の日になります。
⑶定款に使用する言語
定款に使用する言語は、日本語になります。英語、ドイツ語等が併記されている定款であっても、日本語の部分が正式の定款となり、外国語の部分は翻訳として扱われます。
④定款記載例
2.定款の認証とは
定款の認証とは、公証人が、正当な手続きにより定款が作成されたことを証明することをいいます。
次のような法人の設立をするときには、公証人の認証を受ける必要があります。
ただし、公証人の認証を受ける必要があるのは、設立当初の定款だけで、その後定款を変更するときは必要ありません。
設立当初の定款(原始定款)について、公証人の認証が必要とされるのは、
①発起人が原始定款を作成したこと
②その内容の明確性を確保し、後日紛争になったときにその内容を確実に証明し、不正行為を防止することにあるためです。
3.公証人の認証を必要とする定款
①株式会社
②一般社団法人及び一般財団法人
③税理士法人・司法書士法人・行政書士法人・土地家屋調査士法人・社会保険労務士法人・弁護士法人・監査法人・特許業務法人・特定目的会社・相互会社・金融商品会員制法人
④信用金庫、信用中央金庫及び信用金庫連合会
4.公証人の認証を必要としない定款
いわゆる持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の定款については、公証人の認証を必要としません。
5.定款の認証後の変更について
①定款の認証を受けた後、創立総会において、本店所在地を他の法務局又は地方法務局管内に変更したときは、変更後の定款について、改めてその本店所在地管内の公証人に認証を受けなければなりません。
②裁判所が変態設立事項について、検査役の報告を受けた結果、不当と認めて決定をしたような場合には、公証人の認証を改めて受けることなく変更できます。
このほかの事項について、改めて、公証人の認証を得る必要があるかどうかは、認証を受けた公証人に問い合わせをしてください。
③なお、会社の目的を一部修正する場合や発起人の氏名の誤記を訂正する場合など、定款の変更する内容が軽微な場合には、先に認証した定款を事実上訂正し、初めからそのような定款であるとして扱うこともあります。定款の事実上の訂正で済ませることができるかどうかは、認証を受けた公証人に問い合わせをしてください。
もっとも、発起人又は社員の交替は、定款変更手続によるか、新しく定款を作成する必要があります。
6.定款認証は公証役場でする
定款の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人しかできません。
例えば、東京都内に本店を置く会社等の定款は、東京法務局所属の公証人(東京都内の公証役場の公証人)が認証し、それ以外の他の地域に所属する公証人は認証できません。
公証人の職務ができる区域は、その公証人の所属する法務局又は地方法務局の管轄区域によるとされています。
管轄区域外の公証人がした定款の認証については、無効となるので、本店の所在地の公証役場で認証を受けるようにしてください。
定款認証の必要書類
①定款3通
定款認証の嘱託には、定款(原本)2通を公証人に提出します。公証人が認証をした上、このうち1通は役場保存用原本として保存し、もう1通を会社保存用原本として嘱託人に還付します。
実務では、設立登記の申請の際には、認証を得た謄本1通が必要となるので、この分も入れて、通常は定款3通を提出することになります。
・定款中に訂正(挿入、削除)があるとき
定款中に訂正(挿入、削除)があるときは、その字数及び箇所を記載して作成し、作成者全員が訂正印を押捺する必要があります。訂正のための捨印があると、対応が容易になります。
具体的な訂正の方法等は公証役場にご相談ください。
②発起人の印鑑登録証明書
発起人が人違いでないことの証明をすることが必要です。
定款に記載された発起人の住所、氏名及び押印の正確性を確認できることや多くの場合、発起人が設立時の取締役等を兼ねることもあって、実務上は印鑑登録証明書の提出によっています。
なお、印鑑登録証明書は発行後3か月以内のものに限られています。
③会社が発起人の場合、代表者の印鑑登録証明書と会社の登記簿謄本
会社が発起人の場合には、代表者の印鑑登録証明書のほかに会社の登記簿謄本が必要です。
会社が発起人となる場合には、新しく設立する会社の発起人となることが発起人となる会社の目的の範囲内でなければなりません。具体的には、新会社の目的と同種の事業が掲げられていること(新会社の目的の一つと重なっていること)を確認することになります。
代理人による定款認証の嘱託手続き
定款認証の手続は、代理人によってすることもできます。発起人の一人が他の発起人の代理人となる場合や発起人全員が他の第三者に代理を嘱託することもできます。
代理人となる人については、本人による場合と同様に本人であることを証明(印鑑登録証明書、運転免許証、パスポート等)する必要があり、かつ発起人から嘱託を受けていることを証明する委任状を提出することが必要です。実際には、委任する発起人全員の印鑑登録証明書を提出することになります。
委任状の書式等については、認証を予定している公証役場にお問い合わせください。
定款の閲覧請求・謄本請求について
嘱託人、その承継人又は利害関係人は、定款認証をした公証役場(多くは本店所在地の公証役場になる)で保存する定款及びその付属書類の謄本の請求をし、又はその閲覧を請求することができます。
なお、手数料は、謄本については1枚につき250円、閲覧は1回200円になります。