会社法は、①定款に設立時発行株式総数を記載する必要はないものとし、設立時には、「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」(設立時出資額)を定めて定款に記載し、②「会社が発行することのできる株式の総数」は、定款作成時に定める必要はなく、会社成立の時(設立登記の時)までに定款を変更して定めればよいとされています。
目次
「設立時発行株式の総数」と「発行できる株式の総数」に関する会社法の定め
株式会社設立時の資本金について
株式会社を設立するには出資が必要ですが、設立時の出資額規制は設けられておらず、何人も資本金1円でも株式会社の設立が可能となりました。
「設立時発行株式の総数」と「発行できる株式の総数」に関する会社法の定め
1.会社法は、
①定款に設立時発行株式総数を記載する必要はないものとし、設立時には、「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」(設立時出資額)を定めて定款に記載することとし、
②「会社が発行することのできる株式の総数」は、定款作成時に定める必要はなく、会社成立の時(設立登記の時)までに定款を変更して定めればよいとされています。
この定款変更については、認証は不要です。
なお、発行可能株式総数は登記事項です。
以上のとおり、「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」(設立時出資額)は、公証人の認証を要する原始定款の絶対的記載事項ですが、発行可能株式総数は原始定款に記載がなくとも、認証することは可能です。
発行可能株式総数もその記載がないと会社設立ができないという意味では、定款の必要的記載事項ですが、設立手続完了時までに定款を変更して定めればよいもので、その意味では絶対的記載事項ではありません。
勿論、原始定款に発行可能株式総数を定めておくことも可能であり、設立の登記申請までに必要なことを考えれば、その方が望ましいといえます。
設立時発行株式総数は定款で定めることが可能
設立時発行株式総数は、定款の絶対的記載事項ではないが、これを定款で定めることは可能です。これを定める場合は、公開会社(発行する株式の一部でも譲渡制限が付されていない会社)については、発行可能株式総数の4分の1を下ることができないものとされており、注意が必要です。
なお、定款に定めがある場合を除き、発起人は、
①発起人が割当を受ける設立時発行株式数
②設立時発行株式と引換に払い込む金銭の額
③成立後の会社の資本金・資本準備金の額に関する事項につき、全員の同意で決めること
ができます。
それぞれを定める時期
それぞれを定める時期ですが、設立時出資額又はその最低額は、原始定款に記載すべきもので、原始定款作成時に定める必要があります。
発行可能株式総数は、原始定款に記載してもよく、原始定款に記載しない場合は、設立手続完了までに発起人全員の同意により定めて定款を変更することが必要です。