ここでは、家族滞在ビザの必要書類と事例をご紹介します。

目次

在留資格の定義

在留資格の概要

必要書類(外国から呼び寄せる場合)

事例1 子供の年齢が18歳以上

事例2 ワンルームでは家族を呼べない?

事例3 家族滞在は扶養を受ける活動

事例4 子供が本国にいて、妻だけ家族滞在ビザを取得できるか?

事例5 扶養者が日本にいない

事例6 扶養能力が十分とはいえないケース

在留資格の定義

家族滞在とは、就労可能な在留資格(技能実習を除く)及び「留学」の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者または子として行う日常的な活動と定義されています。

在留資格の概要

①「日常的な活動」には、教育機関において教育を受ける活動等も含まれるが、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動は含まれない。

②「配偶者」とは、現に婚姻が法律上有効に存続中の者をいい、離別した者、死別した者及び内縁の者は含まれない。また、外国で有効に成立した同姓婚による者も含まれない。

③「子」には、嫡出子のほか、養子及び認知された非嫡出子が含まれる。また、成年に達した者も含まれる。

必要書類(外国から呼び寄せる場合)

1.次のいずれかで、申請人と扶養者との身分関係を証する文書

イ.戸籍謄本
口.婚姻届受理証明書
ハ.結婚証明書(写し)

2.扶養者の職業及び収入を証する文書

イ.扶養者が収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行っている場合

①在職証明書または営業許可書の写し等(扶養者の職業がわかる証明書)

②住民税の課税(または非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)

3.扶養者がイ以外の活動を行っている場合

①扶養者名義の預金残高証明書または給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書

②①に準ずるもので、申請人の生活費用を支弁することができることを証するもの

基準省令には記載されていないが追加で提出した方が良い資料
(最近の申請では追加資料として求められるケースが多い。)

・家族で写っている画像や結婚式の画像等

事例1 子供の年齢が18歳以上

「技術・人文知識・国際業務」で在留している外国人が妻と子(18歳)を家族滞在で「在留資格認定証明書交付申請」をしましたが、不交付となりました。

申請のポイント

在留資格該当性では「成人」も含まれていますが、現在の審査では原則として子の年齢が18歳以上の場合は、在留資格「留学」で申請するように指導されます。

別のケースでは、妻子が日本におりその外国人の本国は宗教上の理由で女性が一人で外出することができないこと、その国には日本語学校がなく「留学」で申請することができないこと、内戦が激しく身体的危機等の人道的配慮から認定証明書が交付されたことがあります。

事例2 ワンルームでは家族を呼べない?

在留資格「留学」で在留する外国人Aさんの、本国にいる夫と子を呼ぼうと「在留資格認定証明書交付申請」申請をしました。追加資料で「留学」で在留する外国人の住所地の賃貸借契約書の写し及び自宅の間取り図を追加資料で求められましたが、ワンルームだったため夫と子が本邦に来た際に十分な居住施設がないとして不交付となりました。

申請のポイント

留学生は大抵、ワンルームのマンションもしくはアパート、ルームシェアまたは学生寮に住んでいるため、申請の際に、来日後の居住スペースをあらかじめ確保した方が良いでしょう。

特に学生寮は規定により学生のみ居住を認められているところが多いので、その点も注意が必要でしょう。

事例3 家族滞在は扶養を受ける活動

在留資格「留学」で在留する外国人の本国にいる夫と子を呼ぼうと「在留資格認定証明書交付申請」をしました。夫が本国で十分な預金があったためそれを疎明する資料を添付し申請をしましたが、不交付となりました。

申請のポイント

在留資格「家族滞在」はあくまでも扶養を受けなければいけないので、この場合では扶養者である妻の資力を証明する必要があるでしょう。

ちなみに民法の判例では、「婚姻中自己の名で得た財産は、その所有名義を問わない(最新34.7.14)」とありますが、入管は在留資格該当性を原則として審査しています。いくら夫に資力があっても「扶養を受けなければいけません。

このケースでは夫の預金を妻の口座に移して、残高証明書を添付して、再申請したところ在留資格認定証明書が交付されました。

事例4 子供が本国にいて、妻だけ家族滞在ビザを取得できるか?

子(家族滞在)を本国に残したまま、妻(家族滞在)の在留期間更新を申請したところ、妻の在留期間更新は不許可となりました。

申請のポイント

以前は許可されていましたが、最近ではこういうケースで更新不許可になる事例が増えています。
こういったケースでは子が日本にいることが条件となってくるので、子供の所在場所の確認が必要です。
やむを得ない事情等で、どうしても子が本国にいなければならない場合には、申請の際にその事情の説明が必要でしょう。

事例5 扶養者が日本にいない

「技術・人文知識・国際業務」で在留する外国人が、子を呼ぶために家族滞在の「在留資格認定証明書交付申請」を行った直後、事情で本国に長期間戻ったため、追加で扶養者が日本にいない場合に代わりに申請人を誰が扶養するのかを疎明する資料の提出を求められ、日本にいる親族に扶養してもらうと返答しましたが、不交付となりました。

申請のポイント

このケースでは申請人である子が日本で継続・安定して在留することに不安定要素があるために不交付と判断されましたので、長期出国する場合には注意が必要でしょう。
場合によっては長期出国後の申請も検討した方が良いでしょう。

事例6 扶養能力が十分とはいえないケース

本体は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって在留しており、月額報酬が18万円で、年収216万円で、妻と子供3人の「在留資格認定証明書交付申請」をしましたが、扶養者の扶養能力に疑義があるとして不交付となりました。

申請のポイント

よく回教国圏では子供がたくさんいるケースがあり(筆者の経験では妻と子7人の合計8人が最大でした)、相談者から家族全員を呼びたいのだが、いくら位の年収が必要なのかなどと質問されますが、これはその外国人の居住地の自治体が定める世帯人数に応じた生活保護の支給基準が一つの目安になります。

このケースでは、再申請時にボーナスを加算して年収を増やし、扶養能力を高め、申請したところ4人とも在留資格認定証明書が交付されました。

ちなみに家族滞在の申請で、資料提出通知書で賃金台帳と給与が振り込まれた通帳の写しを求められるケースがあり、賃金台帳の金額と振り込まれた金額に差異があり不交付になった事例があるので、賃金台帳の金額と振り込まれた金額が合致しているかのチェックが必要でしょう。
もし差異がある場合、なぜそうなったのかの説明も必要でしょう。