ここでは、就労ビザで日本に在留している外国人の永住申請についてご説明します。

相談内容

私は就労資格で来日し、滞在が8年過ぎました。住宅ローンを組んで家を買いたいですが、永住権がないとフルローンが組めません。ところが永住申請のための滞在が10年と聞いたので、何とか方法はないものでしょうか。

目次

永住申請の条件である在留期年数の短縮

永住者とは

永住許可申請には

在留状況を示す基準となる期間

家族全員で永住申請を行った場合の在留資格

日本の保証人制度

永住申請の条件である在留期年数の短縮

日本に今後も長く住むために、家を買いたいとのお気持ちは理解できます。

今年滞在が9年目を迎えるわけですが、何か日本に貢献したことなどや、研究機関に勤務していることなど、ご自身のバックグラウンドから、永住権取得につながるものはないでしょうか?

永住申請には、入管法22条に、外国人の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、法務大臣がこれを計可することができるとしています。

出入国在留管理庁も永住権への明確化・透明性を視野に、「わが国への貢献」に関するガイドラインを公表しています。

経済・産業分野、教育分野、研究分野など8分野において、貢献し、5年以上の日本滞在生活で大きい問題が生ずることもなく、社会的に安定した暮らしを続けている場合であれば、滞在期間10年をクリアしていない状況であっても、日本にとって有益と見られる人物に対し、永住申請を許可するとしています。

内容は、出入国在留管理庁のホームページに掲載されていますので、検討し、ご自分の条件にも適合するならば、すぐ申請はできます。

高度専門職ポイント制についてもご検討ください。ポイントが70点以上は在留3年で、80点以上は在留1年で永住申請が可能です。

ご自身の経歴の分かる資料を持参して、出入国在留管理局永住審査部門に詳しくご相談しましょう。

永住者とは

永住者は、他の在留資格と異なり、日本での留学や就労等の活動を認めてもらうのではなく、長年の日本での活動を通じて善良かつ平穏な在留状況を示し、それを法務大臣に認められることにより、許可される在留資格です。

永住許可申請には

善良かつ平穏な生活を営んでいたか否か、入管法ではこれを永住許可(入管法22条)の要件として掲げ、該当していることを条件としています。

①「素行が善良であること」とは、素行が日本の社会における通常人として非難されない程度のものを意味します。

②「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、予想される将来においても、生活の安定を確保し得ると認められる程度の、資産又は技能を有することとされます。

①②の要件に適合し、かつ「その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り」(入管法22条2項)、法務大臣がこれを許可することができるとされています。

申請者の外国人に永住申請を許可することは、日本の社会、経済等にとって有益であると認められるものでなければならないとの意味であり、日本の国土条件、人口の動向等日本社会の外国人受入れ能力、出入国在留管理を取り巻く内外の諸情勢、その他あらゆる事情を勘案して、判断が下されています。

永住申請の許可が与えられるか否かは、法務大臣の裁量により決定されます。

在留状況を示す基準となる期間

一般原則としては、10年以上継続して在留していることですが、留学生の身分で入国した場合は、学業終了後に留学から就労の在留資格に変更して、5年以上の在留歴を有していることが必要とされます。

①継続した在留とは、在留資格変更・更新により、来日当初よりの在留資格が消滅することなく、継続していることです。

例えば、再入国許可を受けずに出国する、海外滞在中に再入国許可を失効させる、及び在留期間更新・在留資格変更が認められなかったなど、入国当初より所持する在留資格を何らかの理由で消滅させ、再度在留資格認定書交付申請等の手続により入国した場合などは、在留資格が継続しているとはいえません。

時々転職により在留が一度途絶えたと思い違いをする外国人がいますが、転職後に在留期間更新が認められた場合、在留は継続しています。

②「留学」の在留資格は、勉学を目的とした活動であって、長期にわたり日本に在留していても、生活の本拠が日本にあるとはいえないことから、就職後一定期間(5年)の在留歴を求められています。

③日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は実子若しくは特別養子の場合は、日本人・永住者等の配偶者については3年以上日本に在留していること。
ただし海外において婚姻・同居歴のある場合は、婚姻後3年が経過し、かつ日本で1年以上在留していれば、足りることとしています。

実子又は特別養子については、引き続き1年以上日本に在留していれば足りることとしています。

④「定住者」の在留資格は、5年以上継続して日本に在留していること。

⑤難民の認定を受けた者については、認定後5年以上継続して日本に在留していること。

⑥外交、社会、経済、文化等の分野において日本国への貢献があると認められる者で、5年以上日本に在留していること。

家族全員で永住申請を行った場合の在留資格

家族全員に永住申請の許可が出た場合は、家族全員が「永住者」となり、以後、在留期間更新手続の必要はありません。

しかし、住民登録・在留カードについての義務は継続します。

主たる夫のみ永住申請が許可された場合、妻の在留資格は「永住者の配偶者等」となります。

「永住者の配偶者等」の在留資格とは、永住者・特別永住者の配偶者又は永住者の子として日本で出生し、その後引き続き日本に在留している者であるとされ、
本国で出生した子供は「定住者」が、
日本で出生した子供は「永住者」若しくは、「永住者の配偶者等」が与えられます。

既に永住者となった者の扶養を受けているこれらの在留資格は、上記①②の要件は不要とされ、比較的容易に永住者に切り替えることができます。

日本の保証人制度

外国人が日本の生活に一歩踏み込んだときから、悩ます問題に、日本の保証人制度があります。

住まいを見つけたときや、住宅ローン、教育ローン、奨学金の借入れ等々、外国人にとって対処しづらい問題ですが、永住申請における保証人もその一つと言えます。

出入国在留管理局に提出する身元保証書には、申請者の在留に関して、滞在費や帰国旅費及び法令の遵守についての保証を行うと記載され、それに保証人が署名します。

求められる保証人は、日本人若しくは永住者であって、一般的な安定した生活を送っている方であれば問題はなく、たとえ、申請者の外国人が違法行為を行ったとしても、法的な責任は追及されず、長い日本の生活で、助言や困ったときの助け合いなど道義的責任が問われます。