外国人が、短期滞在以外で日本に上陸する場合は、日本で行おうとする活動の「非虚偽性」、「在留資格該当性」及び「上陸許可基準適合性」を証明する文書の発給を、法務大臣に申請することができます。
この文書を「在留資格認定証明書」といいます。
目次
在留資格認定証明書とは
外国人が、短期滞在以外で日本に上陸する場合は、日本で行おうとする活動の「非虚偽性」、「在留資格該当性」及び「上陸許可基準適合性」を証明する文書の発給を、法務大臣に申請することができます。
この文書を「在留資格認定証明書」といいます。
これは、法務大臣の事前認定により、入国審査手続の簡易・迅速化と効率化を図ることを目的とするものです。
在留資格認定証明書があれば、在外公館での査証(ビザ)発給と、入国時の上陸審査が通りやすくなります。
「上陸拒否事由に該当しない」外国人に対する在留資格認定証明書の交付は、羈束行為であり、法令が明示する以外の要件の設定はありません。
「在留格認定証明書」が交付されない場合
外国人が日本で行おうとする活動の「非虚偽性」、「在留資格該当性」及び「上陸許可基準適合性」が認められる場合であっても、「上陸拒否事由に該当する」等、他の上陸のための条件に適合しないときは、在留資格認定証明書は交付されません。
ただし、「上陸拒否の特例」又は「上陸特別許可」が見込まれる場合を除きます。
「上陸拒否事由」に該当する外国人に対する、「在留資格認定証明書」交付に際し、家族の結合等特別理由の考慮については、法務大臣等の裁量が認められます。
査証(ビザ)発給
「在留資格認定証明書」を交付された外国人が、その証明書を在外公館(領事館等)に提出して、査証(ビザ)の発給申請をした場合には、上陸のための条件についての法務大臣の事前審査を終えているものとして扱われるため、査証の発給は迅速・容易に行われます。
ただし、在留資格認定証明書が証明するのは、「活動の非虚偽性」、「在留資格該当性」、「上陸許可基準適合性」の要件であり、それ以外の上陸のための条件に適合しない場合には、査証が発給されないこととなります。
「在留資格認定証明書」交付の取消
在留資格認定証明書が交付された後、以下の場合は、その交付は取り消され、証明書も返納させられます。
① 「在留在留資格該当性」又は「上陸許可基準適合性」が、証明書交付の時点で存在しなかった事実が、交付後に判明したとき
② 「上陸拒否事由」に該当する者であった事実が、交付後に判明したとき
「在留資格認定証明書」交付後の事情変更
在留資格認定証明書は、外国人の上陸審査前に交付されるため、その交付後、日本上陸までの間に事情変更が生じる可能性もあります。
例えば、外国人が、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書の交付を受けたが、上陸の前に日本の就職先が倒産した等の場合です。
このような場合、上陸審査の時点で、事情変更が発覚すれば上陸が許可されないことになります。
事情変更が発覚しないまま上陸し、その後発覚した場合には、在留資格取消しの対象となります。
在留資格認定証明書の交付を申請できる者
在留資格認定証明書の交付を申請できる者は、次のとおりです。
① 申請人本人(日本への入国を希望する外国人本人)
② 当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める代理人
③ 次のa~cのいずれかに該当する申請取次者等
※上記①又は②の方が,日本に滞在している場合に限られます。
a 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で、地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの
b 地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士
c 申請人本人の法定代理人
(申請人本人が16歳に満たない者、又は精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある者、若しくはその能力が著しく不十分なものである場合における、申請人本人の法定代理人に限られます。)
②の当該外国人を受け入れようとする機関の職員、その他法務省令で定める代理人については、在留資格に応じ、入管法施行規則別表4で規定されています。
申請が出来る機関の職員、代理人
高度専門職1 号イ、ロ |
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本人と契約を結んだ日本の機関の職員 |
高度専門職1号ハ |
本人が経営を行い又は管理に従事する企業の日本の事業所の職員 |
経営・管理 |
本人が経営を行い又は管理に従事する日本の事業所の職員 日本の事業所を新たに設置する場合は、事業所の設置について委託を受けた者 |
技術・人文知識・国際業務、技能 |
本人と契約を結んだ日本の機関の職員 |
企業内転勤 |
本人が転勤する日本の事業所の職員 |
興業 |
興業契約機関 (興業契約機関がないときは、本人を招聘する日本の機関、又は本人が所属して芸能活動を行うこととなる日本の機関の職員) |
家族滞在 |
日本おいて本人を扶養する者、 日本に居住する本人の親族 扶養する者の在留資格認定証明書交付申請の代理人となっている者 |
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 |
日本に居住する本人の親族 例 |
申請取次者について
地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士は、①申請人本人又は代理人に代わって申請することができます。
ただし、①申請人本人又は②代理人が、在留資格認定証明書交付申請時点で日本に滞在している場合に限られます。
申請取次者ができること
在留資格認定証明書交付申請 |
在留期間更新許可申請 |
在留資格変更許可申請 |
永住許可申請 |
在留資格取得許可申請 |
資格外活動許可申請 |
再入国許可申請 |
就労資格証明書交付申請 |
申請内容の変更申出 |
在留資格抹消願出 |
証印転記願出 |
※外国人本人が申請時点及び許可処分時点で、日本に在留する必要があります。 |
在留資格認定証明書を紛失・滅失、き損・汚損した場合
上陸申請前に、在留資格認定証明書を紛失・滅失、き損・汚損した場合には、一定の手続により、再交付等を申し出ることができます。
「在留格認定証明書交付申請」の標準審査期間
在留格認定証明書交付申請に係る標準審査期間は、1か月~3か月です。
在留資格認定証明書の有効期間
在留資格認定証明書の有効期間は交付の日から3月であり、有効期間内に上陸しないと失効します。
なお、在留資格認定証明書の有効期間は査証の有効期間とは異なりますので、注意が必要です。
在留資格認定証明書の有効期間が経過した場合
有効な査証を所持する外国人が、在留資格認定証明書の有効期間経過後速やかに(おおむね1か月以内)上陸許可申請をしたときは、同証明書を有効な資料として上陸審査が行われます。
これは、在外公館が「在留資格認定証明書」の有効期間内に査証申請を受理した場合であっても、事実関係の調査に日時を要する場合があり、有効期間経過後に査証を発給することもあるからです。
在留資格制度