在留資格を有する外国人の在留を「正規在留」、在留資格を有しない外国人の在留を「非正規在留」といいます。
目次
正規在留と非正規在留
外国人が日本に適法に滞在するためには、「一在留一在留資格」の原則により、1個の在留資格とそれに対応する在留期間を有していることが必要です。
在留資格を有する外国人の在留を正規在留、在留資格を有しない外国人の在留を非正規在留といいます。
正規在留者に係る手続
入管法上、正規在留者について、主に以下のようなの手続があります。
在留期間更新
在留資格変更
永住許可
在留資格取得
資格外活動許可
就労資格証明書交付
非正規在留者に係る手続
非正規在留者に係る手続きとしては、「在留資格特別許可」、「仮放免」、「退去強制令書発付処分」等の退去強制手続があります。
非正規在留の種類
非正規在留は、主に、不法入国、不法残留及び不法在留に分けられます。いずれにも同じ法定の刑罰規定が設けられ、退去強制事由に当たりますます。
不法入国、不法残留及不法在留では、出国命令制度の対象となるか否かにおいて違いがあり、在留特別許可の許否の判断においても情状面で異なって考慮されます。
不法入国
「不法入国」とは、有効な旅券等を所持しない外国人が日本に入った場合、
又は有効な旅券等を所持する外国人が入国審査官から上陸許可等を受けないで日本に入った場合をいいます。
不法入国した外国人(不法入国後に不法在留する者も含む。)は、「不法残留者」と違って「出国命令」制度の対象となりません。
また、在留特別許可の許否判断において、入国当初から出入国管理秩序を無視した態度から、入国当時は不法状態でなかった不法残留と比べ、より不利益な事情として評価されます。
なお、外国人が一般上陸の許可、特例上陸許可のいずれの許可も受けることなく、不法に日本に上陸することを不法上陸と言いますが、
不法入国者の上陸は不法入国行為の中で評価され、入管法上の「不法上陸」には該当しません。
不法残留
「不法残留」とは、在留期間の更新又は変更を受けないで、在留期間(特例期間を含む。)を経過して日本に残留することをいいます。
「特例期間」とは、
30日以下の在留期間を決定されている外国人を除き、在留期間満了日までに、「在留期間更新」又は「在留資格変更」を申請した場合において、申請に対する処分が在留期間満了日までにされないときは、
その在留期間の満了後も、処分がされるとき又は従前の在留期間満了日から2カ月を経過する日のいずれか早いときまで、引き続き日本に在留することができる期間のことです。
不法在留
「不法在留」とは、
不法入国又は不法上陸した外国人が、日本に上陸した後引き続き不法に在留することをいいます。
「不法入国」又は「不法上陸」した外国人が日本に上陸して引き続き不法に在留する場合、「不法入国罪」又は「不法上陸罪」とは個別に、「不法在留罪」で処罰することになります。
非正規在留の合法化
在留特別許可
「在留特別許可」とは、
退去強制事由に該当するため本来は退去強制される外国人に対し、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると判断し、その裁量により与える在留許可です。
在留特別許可を受けることにより、非正規在留が合法化されます。
非正規在留が合法化され、正規在留となるのは、在留特別許可された場合のみです。
退去強制手続において、不法残留者が仮放免されたとしても、一時的に収容を解かれたに過ぎません。
身柄を仮放免されて日本に滞在する行為についても、不法残留罪が成立していることに変わりありません。
なお、難民認定手続きにおいて、法務大臣が在留資格未取得外国人に対し、在留特別許可をするときは、入管法50条1項ではなく、入管法61条の2の2第2項が適用されます。
出国命令
出国命令制度は、入管法違反者のうち一定の要件を満たす不法残留者について、身柄を収容しないまま、簡易な手続きにより出国させるというものです。
また、出国後の上陸拒否期間も最短の1年間となる等、通常の退去強制手続の場合と違いがあります。
出国命令を受けた場合、出国期限まではその在留が合法化されます。
出国命令は、出国期限までに出国することが前提の制度でありますので、継続在留を前提とした「在留特別許可」とは根本的に性質が異なります。
出国期限を経過した場合
出国命令に係る出国期限を経過して日本に残留する外国人は、退去強制の対象となるほか、刑事罰の対象にもなります。
不法滞在者等の難民認定申請
不法滞在者等の在留資格未取得外国人が難民認定申請をしたときは、一定の除外事由がある場合を除き、法務大臣から仮滞在が許可されます。
除外事由
・当該外国人が日本に上陸した日(日本にある間に難民となる事由が生じた者については、その事実を知った日)から6か月経過後に難民認定申請したとき
・難民条約上の迫害を受ける恐れのあった領域から直接日本に入った者ではないとき
・退去強制令書の発付を受けているとき
・逃亡の恐れがあるとき
仮滞在許可を受けた場合、仮滞在期間中はその在留が合法化されるといえます。退去強制事由があっても、仮滞在期間中は、収容令書にによって収容されることはありません。
収容令書によって収容されている場合は、収容を解かれます。
ただし、仮滞在許可は暫定的なものであり、継続在留を前提とした難民認定や在留特別許可とは根本的に性質が異なります。
なお、仮滞在期間を経過して日本に在留する外国人は処罰されることになります。
在留資格制度