外国人が、ビザの更新又は変更の申請をしたが、審査中に在留期間が経過する場合があります。この場合、外国人が持つ在留期間が30日を超えるか否かによって、取り扱いが異なります。

目次

1 ビザの更新・変更申請中に、在留期間が経過する場合

⑴ 特例期間

在留期間内に、「在留期間更新」又は「在留資格変更」の申請をしたが、在留期間満了日までに審査の結果が出ない場合があります。

30日を超える在留期間を持つ外国人が、在留期間満了日までに、「在留期間更新」又は「在留資格変更」を申請した場合において、結果が在留期間満了日までに出ない場合には、
その外国人は、在留期間満了後も、処分がされる時、又は従前の在留期間の満了日から2月を経過する日の、いずれか早い時点まで、引き続き日本に在留することが出来ます。
この期間のことを「特例期間」と言います。

※30日以下の在留期間を持つ外国人は、「特例期間」の適用がありません。

⑵ 特例期間の適用がある場合

在留期間満了後も、処分がされる時、又は従前の在留期間の満了日から2月を経過する日の、いずれか早い時点まで、引き続き日本に在留することが出来ます。

この特例期間内には、就労ビザであれば、引き続き就労する事が出来ます。

在留期間経過前に得た資格外活動許可も、依然として有効です。
特例期間中も資格外活動許可、再入国許可(1回限り有効のもの)を受けることが可能です。

再入国許可を受けている外国人が、「在留期間更新申請」、又は「在留資格変更許可申請」を行った場合において、法務大臣が相当と認める時は、特例期間の末日まで、当該許可の有効期間の延長が認められます。

そして、申請人が審査結果に関し、特例期間内に出頭しない場合には、速やかに警備部門に通報します。

又、特例期間中に単純出国する場合は、申請中の申請について取り下げの手続が執られます。

再入国許可により出国する場合は、特例期間中であることの注意喚起がなされた上で、通常の出国確認が行われます。

⑶ 特例期間の適用がない場合

30日以下の在留期間を持つ外国人からの申請については、特例期間の適用がありません。
従って、在留期間が経過した以上、違法性が阻却されない限り、在留期間が経過した時点以降、不法残留状態になります。

もっとも、在留期間内に「更新申請」又は、「変更申請」が受理されれば、旅券上に申請受理印が押印され、所定の事項が記入されます。
申請中に在留期間が経過した場合は、必ず旅券を常時携帯し、いつでも提示出来るようにしておくべきです。

2 在留期間経過後に許可される場合

⑴ 特例期間の適用がある申請

特例期間の適用がある申請について、特例期間内に許可の判断が示された場合は、通常どおり、「在留期間更新許可処分」、又は「在留資格変更許可処分」がなされます。

それに対して、特例期間の適用がある申請について、特例期間経過後に許可された場合には、
「申請内容変更申出書」の提出により、一旦「短期滞在」への在留資格変更許可処分を受けた上で、
即日、「短期滞在」から、当初求めていた在留資格への「在留資格変更許可」を受けることとなります。

⑵ 特例期間の適用がない申請

特例期間の適用がない申請について、在留期間経過後に許可された場合、
「申請内容変更申出書」の提出により、一旦「短期滞在」への在留資格変更許可処分を受けた上で、
即日「短期滞在」から、当初求めていた在留資格への「在留資格変更許可」を受けることとなります。

3 在留期間経過後に不許可となった場合

在留期間内に、「在留期間更新申請」・「在留資格変更申請」・「在留資格取得申請」をしたが、在留期間経過後に不許可となった場合、
救済制度として、「申請内容変更申出書」の提出により、「(出国準備のための)特定活動」への在留資格変更が出来ます。

この場合、特段の事情がない限り、30日以下の在留期間が決定されます。以後の申請に関し、特例期間の適用が受けられなくなります。特段の事情があったとしても、3月を超える在留期間は許可されません。

この制度では、在留期間内に申請された在留審査関係申請について、在留期間の満了日を経過した後に、不許可の判断を入管が決定した時、「通知書」を交付し、原申請内容では許可出来ない旨を告知します。

この告知に際し、申請人い対し、原申請を出国準備のための特定活動ビザに変更する意思の有無について確認します。

⑴ 「特定活動」ビザに変更する意思がある場合

「申請内容変更申出書」を提出し、出国準備のための特定活動ビザが許可されます。この扱いを受ける為には、経緯や在留状況等が審査されます。

特に特例期間の適用がない申請については、偽造書類や内容虚偽の書類を故意に提出していたり、在留状況が著しく不良である場合は、「申請内容変更申出書」を提出する機会を与えられず、正式な不許可処分を受けたその場で、警備部門に通報され、不法残留として収容され、退去強制手続が執られることもあります。

出国準備のための特定活動ビザが許可されたとしても、その後再申請しても、容易には受理されず、出国するよう行政指導されることもあります。

特定活動ビザの在留期間更新も容易には認められません。

再申請が受理される場合

申請人の状況が悪くなく、かつ立証資料を補強したり、就労予定先や従事する業務内容を変えて再申請すれば、許可される可能性が一定程度見込まれるような場合は、
不許可理由聴取時、又は再申請における入国審査官との協議により、再申請を受理する旨の了承を得て、受理されることもあります。

担当審査官から不許可理由を出来るだけ詳細に聴取し、再申請を行う、あるいは、一旦出国し在留を「リセット」して、在留資格認定証明書交付申請を行うことになります。

⑵ 「特定活動」ビザに変更する意思がない場合

「申請内容変更申出書」を提出しない外国人については、不許可通知書を交付し、警備部門に引き渡します。

⑶ 申請人が刑事手続中、又は刑事施設に収容中の場合

申請人が刑事手続中、又は刑事施設に収容中の場合は、次のような扱いとなります。

 可能な限り在留期間内に処理しますが、やむを得ず特例期間内に処理を行う場合は、
刑事裁判の進行状況から、概ね1か月以内に出国が見込めない時は、当初の申請に対し、不許可処分をし、不許可通知を行います。
この場合、当該外国人の身分事項等を警備部門に通報します。

又、刑が確定し刑事施設に収容中で、概ね1か月以内の出国することが見込めず、かつ、当該刑が退去強制事由にあたらない場合も同様です。

 ①に該当しない場合は、次のいずれかの方法により、「申請内容変更申出書」を提出する手続を行うかどうかを確認します。

 通知書及び「申請内容変更申出書」を送付します。
なお、勾留等されている者に対し、通知書を送付する場合は、勾留施設の職員に対し、申請人への交付方を依頼することとし、当該申出の提出期限(特例措置期間の満了する日の概ね2週間前まで)を定めて通知します。

b 入管法施行規則に定める取次者である申請人の親族の出頭を求める等して、申請人からの申出書の提出を代わって行うかどうか、確認します。

c bによっても申出を行うかどうか確認出来ない時は、入国審査官が勾留先等に赴き、申出を行うか確認します。

 ②の結果、申出書の提出がない時は、速やかに(特例期間の満了する日の1週間前まで)当初の申請に対し不許可の処分をし、不許可通知書を送付します。
又、申出書の提出があった時は、速やかに出国準備のための「特定活動」の在留資格を持って許可を行います。

(注)不許可通知書を送付する場合、警備部門へも当該外国人の身分事項を通報します。

 出国準備のための「特定活動」への変更許可は、必ず刑の言渡し前、又は言渡し後1週間を経過する日までに行うものとし、この場合、出国準備期間は上訴期間の満了の日までとします。