ここでは、外国人の子供の在留資格についてご説明します。
相談内容
私の妻は現在本国に里帰りしていますが、もうすぐ子供が生まれます。私は仕事が忙しく帰ることができません。子供に会いたいため、出産後なるべく早く帰ってきてくれればと思っていますが、子供の入国のビザ(査証)はどうすればよいのでしょうか。
目次
外国人の子供の呼び寄せ-在留資格認定証明書
母子ともに早く来日できる方法としては、入国手続の一つの方法である「在留資格認定証明書交付申請」があります。
永住や短期滞在以外の人の呼び寄せに用いられる方法ですが、この申請の特徴は、代理人が日本側で行えることや、申請内容が入管法で定める基準に該当していれば、法務大臣があらかじめ認定したことを証明する文書を交付してくれることです。
その証明する文書が在留資格認定証明書にあたり、この証明書が交付されることは、日本側で審査が事前に完了していることを意味します。在留資格認定証明書の提示により、在外公館で査証の発給や上陸審査手続が比較的スムーズに行われることです。
本国で出産したばかりの妻に負担をあまりかけることなく、在外公館での査証申請ができます。
在留資格認定証明書の審査は、基本的には約1か月~3か月かかります。
そのため「家族滞在」申請に必要な書類を生まれる前にあらかじめ用意を行い、生まれるとすぐに、出生証明書の公証書や親族関係の書類及び子供の写真を妻から送ってもらえるように準備を整えてください。
妻が直接在外公館で手続するより、日本側で在留資格認定証明書交付申請を行う方が効率的でしょう。在留資格認定証明書の申請時に子供のパスポートは必要ありませんが、子供が生まれれば、本国で子供のパスポートは用意してましょう。
注意すべきこととして、査証申請の折に在外公館に添付書類を確認することと、留資格認定証明書が発行されて3か月以内に日本に入国しなければいけないことです。在留資格認定証明書は、確実に査証に切り替わると確約されたものではないので、記載内容にミスがないように気を付けましょう。
査証と上陸許可
外国人が日本に滞在するには、在外公館長によって査証が発給されること(入国許可)、そして、上陸審査における上陸許可の2つの関門をクリアしなければなりません。
査証の発給は、外務省の所管とされており、発給するかどうかはその権限に委ねられ、査証が発給されたことは、在外公館長によって外国人の所持する旅券が合法的に発給された有効なものであることを確認し、その外国人の入国及び滞在が入国目的からみて適当であるとの認定行為が行われたことです。
したがって、上陸後の滞在、かつ、その活動が保証されたものではありません。
手続としては、外国人の所持する旅券の査証頁欄にシールを添付し、それぞれの入国目的に応じ、外交、公用、就業、一般、短期滞在、通過、特定査証の7つに区分されています。
上陸許可については、日本に到着後の上陸審査時に、入国審査官にパスポート・査証を提示し、上陸条件に適合していると認められれば、上陸許可により入国時の査証に応じた在留資格を付与され、滞在が許可されます。
その他の子供の在留資格
外国人が日本で就労する場合、その家族は「家族滞在」です。子供が20歳過ぎても、親の扶養を受けている限り、「家族滞在」となります。
しかし、その家族の中で妻や夫に連れ子がいた場合、その子は「特定活動」に、また日本人と婚姻関係にある外国人の連れ子は「定住者」です。
「定住者」の子供は、「定住者」です。
そして、永住者や特別永住者が海外で出生した子供を呼び寄せる場合、在留資格は「定住者」になります。
永住者の子供が日本で出生した場合は、「永住者」若しくは「永住者の配偶者等」であり、「特別永住者」の場合は「特別永住者」です。
日系人で長年日本を離れていた日本国籍を留保していなかった日本人の子供は、「日本人配偶者等」になります。
入国時の査証に応じた在留資格とは
就業査証
教授、芸術、宗教、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習
一般査証
文化活動、留学、研修、家族滞在
特定査証
特定活動、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、医療滞在
在留資格認定証明書と査証申請
「短期滞在」や「永住」以外の在留資格で日本に入国しようとする外国人が、在外公館で査証申請する以前に、その外国人の代理人、あるいは本人自らが日本国内で入国のための事前申請を行い、その申請に基づいた審査において、入国目的が入管法の定める在留資格に該当性があり、上陸許可基準の適合性を満たしている場合に在留資格認定証明書が交付されます。
在留資格認定証明書を所持することは、法務大臣が事前に審査を行ったことを証明し、上陸のための条件に適合していることを証明書によって立証していることから、在外公館で査証が受けやすく、かつ上陸審査手続が簡易・迅速に行われます。
認定証明書は、発行から3か月以内に日本に上陸すること、そして、入国審査の折に必ず提出しましょう。その写真が在留カードに使用されます。入国時にその提出が求められています。
a.在留資格認定証明書の代理申請
在留資格認定書の申請は、国内にいる外国人本人、若しくは国外にいる外国人の代理人が本人に代わって申請することができます。
代理人は、その外国人を受け入れようとする学校等の所属機関の職員、就労先の社員や、その他日本に居住する本人の親族とされているため、日本語学校の学生の入学やコック・技術者等を海外から雇い入れる際、あるいは外国人の配偶者や子供の呼び寄せに多く利用されます。
認定書は発給から3か月以内に入国しなければなりません。許可されれば申請者本人に早く送付することです。
受け取った申請者は、パスポートやその他の資料(居住地の在外公館に問い合わせること)を添えて査証申請をします。
b.「在留資格認定証明書」所持者の査証申請
在外日本大使館・領事館により、査証申請時に提出する書類に多少の違いがあります。
基本的には、以下の資料が必要です。
・在留資格認定書発行後3か月の有効なもの(原本と写し)
・パスポート
・査証申請書
・写真
・住所地を証明する書類など
在留目的や申請する国の在外公館よって違いがあるため、査証申請にはインターネット上か現地で調べましょう。
c.在留資格認定書交付後の査証不許可について
在留資格認定証明書を所持する外国人は、出入国在留管理局において、日本上陸許可基準の適合性を満たしていることを証明し、在外公館での査証発給は受けやすいのですが、確実に入国を約束されたものではありません。
例えば、日本で在留資格認定証明書の代理申請がなされてから、本人が査証取得のため本国の領事館あるいは大使館に出向くまでに、何か月の時間の経過があり、この間に時々申請者の入国目的に変化があることや、大使館等在外公館でなければできない確認事項を書類や面接による審査を行うことがあります。
書類上に虚偽の記載や偽造の証明書等があるなどの事実が日本大使館・領事館の最終審査で判明した場合は、それが記載ミスであったとしても、査証の発給そのものに影響を与えることも起こりうることです。
交付後に入国の条件等に変化が生じ、審査の内容が否定されるような事態には、この証明書の効力は失われます。
在留資格認定証明書の対象
在留資格認定証明書は、査証としての「短期滞在」及び身分上の「永住」以外であれば、全ての在留資格を対象として、呼び寄せの手続ができます。
日本で行う活動が何に該当するのか、在留資格の該当性を調べ、活動内容に応じた提出資料を調べます。呼び寄せる人物の学歴、経歴及び職歴等が在留資格の上陸基準省令に適合し、法務大臣が在留に相当性があると認めれば、在留資格認定証明書は許可されます。
在留資格認定証明書は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の呼び寄せに多く利用されますが、業務内容と専門性に一貫性があれば、国外の大学卒業者だけではなく、日本の専修学校専門課程卒業者(専門士取得者)も一旦本国に帰国した場合でも呼び寄せることが出来ます。
呼び寄せの対象者は、その専門に対し10年の経験がある場合も認められています。
技術であれば、基準省令に定められたIT技術資格者も対象になり、通訳、デザイン、広報関係等の外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務などは3年の実務経験により認められます。
そして、レストランで働くコックさんは10年の経験が問われる「技能」の在留資格、技能にはパイロットやスポーツ指導者があり、附帯条件は個々に違いがあります。
又、日本の相撲は在留資格「興行」となります。
なお、在留資格認定証明書は、現在の在留資格更新等が認められず、再度チャレンジしたいときに改めて在留資格申請を行うときにも利用されます。
外国人の子供の在留資格