ここでは、資格外活動許可とその申請、留学生がアルバイトをする場合の注意点についてご説明します。

相談内容

資格外活動許可申請について教えてください。

目次

資格外活動許可とは

資格外活動許可の対象

資格外活動許可の申請について

資格外活動で許可されない活動

「家族滞在」の資格外活動許可申請

「留学」の資格外活動許可申請

一般就労者の資格外科動許可申請

資格外活動に関する罰則と退去強制

留学生がアルバイトをする場合の注意点

資格外活動許可とは

現在、許されている在留資格の活動以外で、収入を得る場合、法務大臣(地方入出入国在留管理局長)に対し、「資格外活動」の許可を求める申請を行わなければなりません。

例えば、「留学」は勉学を目的として許可される活動であり、「家族滞在」は日本で働く外国人の扶養を受け、生活をともにするため許可される活動です。

「留学」も「家族滞在」も、就労を目的としない在留資格であって、収入を得ることは認められていません。

収入を得るための活動を始めようと思えば、本来の「留学」、「家族滞在」の活動を継続しつつも、別の活動を開始するために、資格外の活動として許可を受けなければなりません。それを資格外活動許可といいます。

法務大臣(地方出入国在留管理局長)に「資格外活動」の許可申請を行いますが、資格外活動の許可が与えられるか否かは、法務大臣の裁量事項になり、申請者が本来の在留活動を継続し、なおかつ資格外活動を行った場合に、本来の活動に支障が生じないか、その活動内容や外国人の入国目的及び在留状況等、その他の事情を考慮した上で許否が決定されます(入管法19条)。

収入を得る活動に本来の活動をおろそかにすることは許されないことです。

資格外活動許可の対象

入管法19条は、就労制限を定めながらも、入管法19条2項には、別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者から、法務省令で定める手続により、本来の活動を継続しつつ、その活動に影響を及ばさない範囲で、収入を伴う他の活動を行うことを希望する場合において、相当と認めるときは、これを許可することができるとされています。

別表一の一
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道

別表一の二
経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習

別表一の五
特定活動

しかし、業として行うものでない臨時的な講演に対する謝礼、日常生活に伴う臨時の報酬などは除くとあり、講演、講義、小説、絵画等の著作物の制作、知人・友人・親戚の依頼を受け日常家事の手伝いなどは許可されています。

入管法19条1項2号には、別表第一の三、第一の四の在留資格をもって在留する者は、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行ってはならないと、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在の収入を伴う活動を禁止し、非就労資格としています。

別表一の三
文化活動、短期滞在

別表一の四
留学、研修、家族滞在

上記内容から、別表第一の在留資格は(短期滞在を除く)、全て資格外活動許可の申請対象となります。

資格外活動許可申請について

日本は、専門性のある活動を類型化し、その類型に属する外国人の在留活動を認め、単純労働に従事する外国人の入国を認めていません。

資格外活動許可も、基本的には単純労働は対象外ですが、留学生の生活への配慮からアルバイトを認め、「家族滞在」にもパート活動を認め、在留期間中は一律かつ包括的な資格外活動の許可を行っています。

3か月以上の在留期間が決定された留学生が、成田、羽田、中部、関西の4つの空港に上陸した場合、簡易な申請書により資格外活動許可を付与し、交付する在留カードに記載されます。

資格外活動で許可されない活動

資格外活動において、下記の活動は一切許可されていません。

①法令で禁止されている活動

②公序良俗に反するおそれのある活動

③風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動、又は無店舗型性風俗特殊営業若しくは映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業、無店舗型電話異性紹介営業に従事して行う活動等。

「家族滞在」の資格外活動許可申請

「家族滞在」は、日本で就労する主たる者の配偶者、子供たちですが、子供が高校生であれば、当然夏休み等の休暇には資格外活動が認められます。

また、「家族滞在」である妻が、専門性のある仕事に従事し、時間的に独立した在留資格を申請するほどでもない状況がある場合、収入が税制上の扶養家族から外れていることは問題ではなく、主たる夫の収入との比較考慮によって、この活動が「家族滞在」の本来の活動を阻害するほどでもなければ、出入国在留管理局では個々のケースの審査を行い、判断を下します。

「家族滞在」の許可された就労時間は1週28時間以内です。

提出資料

① 包括許可(1週について28時間以内で稼働する場合)
資格外活動許可申請書

② 個別許可(包括許可の範囲外の活動に従事する場合)
資格外活動許可申請書
活動内容や活動時間,報酬等について説明する文書(任意様式)

「留学」の資格外活動許可申請

1週28時間以内(夏休み・冬休みなど教育機関の長期休業期間中は1日8時間以内)

提出資料

資格外活動許可申請書

ただし、報酬を伴う場合でも、大学、高等専門学校において、学校との契約に基づき、教育、研究の補助的活動に参加する場合は、資格外活動の許可を不要とし、時間、報酬額にも制限はありません。

一般就労者の資格外活動許可申請

資格外活動許可は、外国籍就労者にとって分かりにくいものでしょう。

例えば、語学の教師であっても公立の学校であれば「教育」、私立の株式会社組織であれば「技術・人文知識・国際業務」となっていて、アルバイトで公立の教師が一般の語学学校で働く場合も、資格外活動許可の対象となります。

微妙な問題ですので、何か本業以外で始めるときは、出入国在留管理局に相談しましょう。

資格外活動に関する罰則と退去強制

退去強制の事由の一つに、「資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる者」とあり(入管法24条4号イ)、19条1項の規定に違反して収入を伴う活動を継続的に行い、本来の活動を省みず、実質的には在留目的を変更したといえるほど資格外活動を行っている場合であって、証拠や本人、関係者からも明白であるとした場合は、退去強制の対象となります。

また、この行為は罰則規定の対象ともなっており、3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処せられます(入管法70条)。

留学生がアルバイトをする場合の注意点

ワーキングホリデーで来日する青少年たちも宿泊や生活費の糧にアルバイトを探しますが、1年で帰る彼らより、4年から6年の長いスパンで日本に暮らす留学生は、生活習慣への理解や言語の面からも、お店にとっては魅力的な存在です。欠かせないマンパワーになっているということです。

また、留学生も与えられた1日4時間を1か所4時間としてアルバイトを行っていることもありますが、将来の学費のためと思ってしたことかも分かりませんが、目先の報酬に邁進しては、退去強制になりかねません。

学業は出席率をクリアしていれば問題ないと思うのも、余りにも短絡的です。

国外に出た場合は、やはりその国のルールは守るべきであり、そのことが自分を守ることにつながります。気を付けましょう。