ここでは、日本の在留資格取消制度についてご説明します。

相談内容

どんな場合に在留資格が取り消されるのか教えてください。

目次

日本の在留資格取消制度

在留資格取消対象とされる行為

正当な理由とは

日本の在留資格取消制度

入管法22条の4第1項

法務大臣は、別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する外国人(第六十一条の二第一項の難民の認定を受けている者を除く。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。

在留資格取消手続には、事前の意見聴取が定められています。

順序として、取消し原因、期日、場所を定めた通知書が送られ、期日に出頭し、入国審査官による意見聴取が行われます。当該外国人若しくは代理人が反論とともに、具体的な証拠などを提示することも可能です。その結果、取消しが確定すれば、30日を超えない範囲で出国期日の指定がなされます。

在留資格取消対象とされる行為

下記、1号・2号は在留資格取消し後に退去強制手続に移行します。

3号~10号に関しては、出国までの在留活動は認められませんが、合法に滞在でき、通常の出国が可能なため、上陸拒否の対象とはなりません。

ただし、6号~10号に関して、正当な理由がある場合は、在留資格変更等の配慮がなされます(入管法22条の5)。

一 偽りその他不正の手段により、当該外国人が第五条第一項各号のいずれにも該当しないものとして、前章第一節又は第二節の規定による上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。次号において同じ。)又は許可を受けたこと。

二 前号に掲げるもののほか、偽りその他不正の手段により、上陸許可の証印等(前章第一節若しくは第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)又はこの節の規定による許可をいい、これらが二以上ある場合には直近のものをいうものとする。以下この項において同じ。)を受けたこと。

三 前二号に掲げるもののほか、不実の記載のある文書(不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示により交付を受けた在留資格認定証明書及び不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示により旅券に受けた査証を含む。)又は図画の提出又は提示により、上陸許可の証印等を受けたこと。

四 偽りその他不正の手段により、第五十条第一項又は第六十一条の二の二第二項の規定による許可を受けたこと(当該許可の後、これらの規定による許可又は上陸許可の証印等を受けた場合を除く。)。

五 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を行つておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留していること(正当な理由がある場合を除く。)。

六 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月(高度専門職の在留資格(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第二号に係るものに限る。)をもつて在留する者にあつては、六月)以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

七 日本人の配偶者等の在留資格(日本人の配偶者の身分を有する者(兼ねて日本人の特別養子(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子をいう。以下同じ。)又は日本人の子として出生した者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者又は永住者の配偶者等の在留資格(永住者等の配偶者の身分を有する者(兼ねて永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者が、その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

八 前章第一節若しくは第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可、この節の規定による許可又は第五十条第一項若しくは第六十一条の二の二第二項の規定による許可を受けて、新たに中長期在留者となつた者が、当該上陸許可の証印又は許可を受けた日から九十日以内に、出入国在留管理庁長官に、住居地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。

九 中長期在留者が、出入国在留管理庁長官に届け出た住居地から退去した場合において、当該退去の日から九十日以内に、出入国在留管理庁長官に、新住居地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。

十 中長期在留者が、出入国在留管理庁長官に、虚偽の住居地を届け出たこと。

正当な理由とは

1.留学生が病気により休学中で相当期間療養が必要であるが、将来的には学業に復帰する見込みがあること。

2.勤務先の会社が倒産してしまい、活動を継続できなくなったものの、再就職に向けて誠実に就職活動を行っていること。

3.別居中であっても、親権をめぐる調停中や日本人配偶者が有責者であることなどを争って離婚訴訟中である場合などです。死別の場合は、日本人配偶者として3年以上の婚姻生活があれば在留資格変更が認められる場合もあります。

4.住所地に関し、急な倒産により宿舎を失う、若しくは長期入院をしていたため、住所地の届出ができなかった場合や、DVによる加害者に対して所在地を知られないように住所地の変更を届けなかった場合。