ここでは、日本で働く外国人の、退職・解雇などの場合における注意点についてご説明します。
目次
1.退職
・会社を退職することは労働者の自由ですが、例えば次のような、社会人としてのルールを守って辞めることも大切です。
①事前に退職の意思を上司に伝えること
②書面で届け出ること
③仕事の引継ぎをすること
・退職することを決めたら、まず、自分の働く会社では退職の手続がどのようになっているか、調べることも必要です。
・会社の就業規則に退職の手続が決められている場合は、それに従って手続をしましょう。
・また、退職を申し出る際には、契約期間の定めがあるかないかにより、法律で異なるルールが定められています。
契約期間の定めのない労働契約の場合
・退職を申し出れば、原則として2週間後に労働契約は終了します。
契約期間の定めのある労働契約の場合
・やむを得ない事情がない限り、契約期間の途中で退職することはできません。なお、契約が1年を経過した場合は、退職を申し出れば、いつでも退職することができます。
・契約期間の満了後も続けて同じ職場で働くためには、新たに労働契約を締結し直す(更新する)必要があります。このような契約の更新には、会社と労働者双方の同意が必要です。
2.解雇
⑴解雇とは
・会社による一方的な労働契約の終了のことです。
・解雇が客観的な合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、その解雇は無効です。つまり、解雇は、会社が自由に行えるというものではありません。
・また、会社は就業規則に解雇事由(解雇の理由となる事情)をあらかじめ記載しておかなければなりません。
・会社が労働者を解雇しようとする場合には、天災事変等やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合や、労働者の責めに帰すべき事由による場合を除き、少なくとも30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金(いわゆる解雇予告手当)を支払わなければなりません。
⑵雇止めとは
・雇止めとは、期間の定めのある労働契約の契約期間が満了したとき、新しい労働契約を締結し直さない(更新しない)ことです。
・雇止めは、契約期間の途中で、会社が一方的に労働契約を終了させる解雇とは異なります。
・次のような人に対しては、会社は雇い止めしようとする場合、30日前までに予告しなければならないとされています。
30日前までに予告が必要な場合
①3回以上契約が更新されている人
②1年を超えて継続勤務している人
・例えば次のような場合には、雇止めをすることに客観的・合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないときは、会社は雇止めをすることはできません。
①何度も契約を更新してきたことなどから、実質的に解雇と同視できる場合
②労働者が雇用の継続を期待することが合理的であると考えられる場合
・雇止めが認められない場合、雇止め前と同一の労働条件で、期間の定めのある労働契約が更新されることになります。
⑶整理解雇とは
・整理解雇とは、会社が、不況や経営不振などの理由により、人員削減を行う場合の解雇のことです。
・整理解雇が有効か無効かは、次のことを基に判断されます。
整理解雇の有効・無効の判断基準
①人を減らす必要性
不況や経営不振などにより、人を減らすことが会社経営上の十分な必要性に基づいていること
②解雇を回避する努力
解雇以外の手段によって解雇を回避するために努力したこと
(例:配置転換、希望退職者の募集など)
③整理解雇の対象者の選び方の合理性
整理解雇の対象者を決める基準が客観的・合理的で、その運用も公正であること
④解雇の手続の妥当性
労働組合や労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模、方法について、納得を得るために説明を行うこと
3.会社の倒産
会社が倒産して給料を支払えなくなったときのために、賃金の支払の確保等に関する法律により、政府が会社の未払の賃金の立替払をする制度が設けられています。
支払われなかった賃金のうち一部が立替払されることがあるので、労働基準監督署に相談してください。
4.雇用保険(基本手当)
失業した場合
雇用保険に加入している人が、次の条件を満たした場合は原則、雇用保険から基本手当が受けられます。
⑴基本手当を受けられる条件
①失業中の人
②働ける状態で、就職する意思がある人
③会社を辞めた日以前の2年間に、11日以上働いた月又は賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月が12か月以上ある人
(ただし、辞めた理由が倒産や会社の都合による解雇、有期労働契約が更新されなかったためなどの場合は、辞めた日以前の1年間に、11日以上働いた月又は賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月が6か月以上)
⑵給付の開始時期
失業した理由により、給付の開始時期が異なります。
①会社都合の解雇や退職勧奨に応じた退職の場合
ハローワーク(公共職業安定所)に求職申込み(※1)をして離職票が受理された日以後、失業の状態にあった日が通算して7日間経過した後。
②自己都合の退職の場合
ハローワークに求職申込み(※1)をして離職票が受理された日以後、失業の状態にあった日が通算して7日間経過した後、さらに2か月(自己都合の退職が5年のうち2回まで)(※2)経過した後。
※1お住まいの地域のハローワークや求職申込み後の求職活動については「(5)求職活動」を確認してください。
※2自己都合の退職が5年間のうち3回目以降であれば3か月
③自分の責任による重大な理由により解雇された場合
ハローワークに求職申込みをして離職票が受理された日以後、失業の状態にあった日が通算して7日経過した後、さらに3か月経過した後。
退職の際に、本当は会社都合の解雇や退職勧奨に応じた退職なのに、自己都合退職などとしてしまうと、基本手当受給の際に不利になってしまいますので、会社から離職票を受け取ったら、離職理由欄をしっかり確認してください。
⑶給付の期間
会社を辞めた理由や年齢などによって異なります。原則として、90日から330日までです。
5.求職活動
次の仕事を見つけるためにハローワークなどで求職活動をします。
ハローワークの職業相談窓口では、次のサービスを、全て無料で受けることができます。
①仕事の相談
求職や仕事に関する様々な相談に対応しています。どのようなことでもまずは窓口で相談してみましょう。
②働きたい会社を探す
ハローワークにはたくさんの会社の求人情報があります。求人情報はハローワークのパソコンやあなたのスマートフォンからでも見られます。
③働きたい会社への紹介
働きたい会社を見つけたら、ハローワークの窓口に行きましょう。職員が会社や求人のポイントについてアドバイスします。また、採用選考の面接が受けられるよう、「紹介状」を渡します。
④仕事探しのサポート
ハローワークは、履歴書や職務経歴書といった応募書類の添削指導や、面接のマナー・心構えについてのアドバイス、模擬面接、各種セミナーも行っています。
通訳がいるハローワークもあります。
ハローワークに行けないときは、外国語でハローワークに電話ができます。
「外国人向けハローワーク利用チェックリスト」はこちらをクリック
労働や社会保険に関する用語の意味が分からないときは、「雇用管理に役立つ多言語用語集」で調べることができます。
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