ここでは、外国人の在留期間更新手続(該当性、適合性、相当性)についてご説明します。

相談内容

私は中華料理店で働き、在留資格は「技能」です。雇用主が在留に関しても管理していますが、もうすぐ更新時期を迎えます。納税証明などを提出するのですか?
税金が少ないので心配しています。将来的には永住取得後、独立を考えているため、雇用主に頼らず自分でも手続をしたいと思っていますが、大切なことは何でしょうか?

目次

在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドラインについて

在留期間更新・在留資格変更時の注意点

在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドラインについて

在留資格の変更や更新には、法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可をするとし(入管法20条3項、21条3項)、この「適当と認めるに足りる相当の理由(相当性)」に関する基準を出入国在留管理局はガイドラインにして発表しています。

1の在留資格該当性については、許可する際に必要な要件となります。

また、2の上陸許可基準については、原則として適合していることが求められます。

3以下の事項については、適当と認める相当の理由があるか否かの判断に当たっての代表的な考慮要素であり、これらの事項にすべて該当する場合であっても、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更又は更新を許可しないこともあります。

1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること(該当性)

2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること(基準省令の適合性)

3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと

4 素行が不良でないこと

5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

6 雇用・労働条件が適正であること

7 納税義務を履行していること

8 入管法に定める届出等の義務を履行していること

以上ですが、これに当てはめて、上記のケースを考えてみましょう。

1については、在留資格との該当性を尋ねています。現在コックとして、中華レストランで働いているということは、在留資格「技能」に該当し、問題ないでしょう。

2の上陸許可基準に適合しているかが問われます。上陸許可基準は、入管法7条1項2号の基準を定める省令として記載され、技能の下欄には、「料理の調理又は食品の製造に係る技能で、外国において考案され、日本において特殊なものを要する業務に従事する者」として、10年以上の実務経験(教育期間を含む)を有することと定められています。

中国で考案された中華料理のコックとして働き、本国で教育期間も含め10年の実務経験があれば、何ら問題はありませんが、出入国在留管理局は過去についても申請内容の信ぴょう性や安定性、そして現在の在留実態により、申請者の在留を必要とする理由を見ています。

3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと

4 素行条件です。犯罪に関与することは論外ですが、ストレスによる万引きなども問題になります。

5 生計条件ですが、日本人同様に安定・継続した生活を求め、職業として専門性が問われます。資産の多少とは関係ありません。

6 現在の雇用環境について、報酬も含め適正であるか、会社の安定性・継続性も問われます。

7 納税については、納税者としての義務を果たしているか、市区町村の課税証明書、納税証明書で住民税の納付、所得金額のチェックが行われます。

8 入管法に定める住居地の届出や在留カード等に関する義務です。

これら項目に問題がなければ、基本的には在留更新は認められます。納税について、非課税であれば、非課税証明書を提出することになります。会社から年末調整を受けていないのであれば、個人的に確定申告を行い、定められ税額を支払っていれば、問題はありません。

在留期間更新の標準処理時間は2週間~1か月です。

在留期間更新・在留資格変更時の注意点

在留期間更新・在留資格変更を申請するにあたり、在留資格の該当性は当然ですが、更新であっても上陸基準の適合性をチェックして疑義が生じれば、取消しの対象になり得ます。

既に入国している人たちは、在留期間更新、在留資格変更は定められた資料を提出すれば問題ないと思いがちですが、上陸基準省令の適合性は常にチェックされていると思ったほうが良いでしょう。

中長期滞在者に当たる外国人は、永住者であっても違法行為が見つかれば、退去強制の対象にもなり得ます。

就労者は在留資格取消し事由に関する行為をすれば、帰国を余儀なくさせられます。特に、過去に偽名や他人のパスポートを使用したあるいは偽りの書類で在留資格を取得していた場合、問題はどこかで表面化します。

現在の在留が安定していても、再入国の際に、自分の記憶では薄れ去ったような事件が浮かび上がり、審査官から仮上陸を告げられることにもなりかねません。既に安定した生活を築いているなら、家族のためにも、自ら名乗り特別在留許可を願い出でる勇気も必要でしょう。