ここでは、外国人留学生が内定をもらった後の、社内研修、在留資格変更のタイミング、変更申請が不許可なった場合についてご説明します。

相談内容

私は就職活動の結果、早くに内定が決まりましたが、いつ頃在留資格変更をしたほうが良いでしょうか?

内定が決まると研修があると聞いています。研修には報酬が少しあるようですが、在留的に問題ありませんか?

そして、一番心配しているのは、出入国在留管理局で不許可になった場合です。結果が卒業間際だと時間的な余裕がありません。どうすればよいでしょうか?

目次

内定後の研修活動について

大学卒業後の在留資格変更手続について

在留資格変更許可申請が不許可になった場合

資格外活動の許可

在留資格の変更

就職先が決まらず在留資格変更申請が卒業真近である場合

就労ビザに変更時の注意点

就職時の在留資格変更手続資料

お尋ねの問題は、1つは内定での研修活動について、2つめが大学卒業後の在留資格変更について、そして最後が在留資格変更の申請が不許可になった場合の対応についてです。

内定後の研修活動について

最初の問題は、内定後の研修活動について、留学生として参加できるのか否か、在留面からの問題です。

研修に報酬があり、時間的にも長い場合、留学生の活動から外れるのではと危惧されているようですが、留学生であっても資格外活動は認められ、許可されればアルバイトをして、その収入は認められています。

問題の時間について、週28時間以内であれば、資格外活動の範囲内とも考えられます。

今回の研修活動のように疑問を感じたときには、資格外活動として業務内容を明らかにし、新たに個別の申請を行い、出入国在留管理局の判断を仰ぐことをお勧めします。

大学卒業後の在留資格変更手続について

次の大学卒業後に在留資格変更手続をする場合、就労の内定通知を取り、大学側が卒業見込証明書を出してくれる状況があれば、出入国在留管理局では、卒業前の12月から、学生に対して卒業3か月前の在留資格変更手続を受け付けています。

留学生からの在留資格変更は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」が一般的ですが、自分の専門性と一貫性のある職種であること、その内容に見合った在留資格に変更すれば問題はありません。

ただし、在留資格変更は通常より審査期間が長いことも事実です。自身にも、資格外活動違反、成績・出席率に問題がなく、会社側も継続性・安定性があり、そして一貫性についてクリアされていれば、許可に結び付きますが、出入国在留管理局もこの時期非常に忙しい時期でもあります。なるべく早く在留資格変更をすることをお勧めします。

在留資格変更許可申請が不許可になった場合

最後の在留資格変更許可申請が不許可になった場合の対応ですが、比較的早い申請ですから、慌てることはないと考えますが、万一を考え、大学卒業後の継続就職活動の在留資格「特定活動」への資料を整え備えておくことも大切でしょう。

結果次第で変更申請を行えば、時間的な余裕は生まれるでしょう。

資格外活動の許可

内定後にインターンシップとして実地研修を行う場合があります。資格外活動は週28時間ですが、夏休みなどの長期休暇中は1日8時間の活動が許可されます。

報酬がある場合も、資格外活動の申請によってカバーできるでしょう。会社側に全体のスケジュールを確かめて、出入国在留管理局で業務内容を明らかにして、個別の申請をしましょう。

在留資格の変更

日本に滞在する外国人が、現在の許可された活動から異なる活動に変えたい等、例えば、留学生から就労に、あるいは日本人と結婚するなど、現在の在留資格の範囲では活動ができない状況が生じた場合、地方出入国在留管理局に出向き、在留資格変更の申請をします。

新たな活動が認められるかどうかは、上陸審査基準の適合性や基準省令で定められた資格の該当性が重要となります。

さらに入管法20条3項には、法務大臣の裁量による「適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り」許可することができるとあり、該当性や適合性が認められる場合でも、法務大臣(現実には出入国在留管理局長)が変更を認めるのが適当でないと判断(相当性がない)するときは、許可しないこともあります。

相当性には、会社の安定性や継続性も問われますが、20条4項には、法務大臣が在留資格の許可をする場合、その許可は、それぞれの在留区分に応じ、在留カード、在留資格証明書又は旅券に記載し、その記載された内容をもって効力を生ずるとしています。

在留資格変更の申請後、中長期滞在者に該当すれば、在留カードの交付がなされます。

就職先が決まらず在留資格変更申請が卒業真近である場合

不許可を心配する場合、在留期間の特例があり、在留期間満了日を過ぎても、2か月は不法滞在とはなりませんが、次の在留を考えた場合に時間的な余裕がない、あるいは、就労に何らかの不安があり、在留期限が迫っている場合は、在留資格変更の申請とともに、大学卒業後の継続就職活動の在留資格「特定活動」の申請も準備して、同時に提出できるか、出入国在留管理局に相談しましょう。

就労ビザに変更時の注意点

就労時の在留資格変更には、学んできたことと仕事の業務内容の一貫性が求められます。

経済や情報処理などを学んだ学生にとっては、一貫性の問題も比較的クリアしやすいですが、学んだ分野が機械や化学など特殊なほど、この一貫性をクリアできず、学生の就職活動のネックとなっています。

学生の在留資格変更には、本人の問題もありますが、会社側にも、経営の安定性・継続性を求め、外国人の就労を保護しています。

求められる報酬は日本人と同じ待遇です。翻訳・通訳は、外国人にとって比較的就労しやすい業種ですが、社内で専門性のある仕事に移ったとき、一貫性の問題が生じる場合があります。

就職時の在留資格変更手続資料

所属機関のカテゴリー区分

カテゴリー1

次のいずれかに該当する機関

1.日本の証券取引所に上場している企業
2.保険業を営む相互会社
3.日本又は外国の国・地方公共団体
4.独立行政法人
5.特殊法人・認可法人
6.日本の国・地方公共団体認可の公益法人
7.法人税法別表第1に掲げる公共法人
8.高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)
「イノベーション促進支援措置一覧」の詳細はこちらをクリック

9.一定の条件を満たす企業等
詳細はこちらをクリック

カテゴリー2

次のいずれかに該当する機関

1.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人

2.在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関

カテゴリー3

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4

上記のいずれにも該当しない団体・個人

【共通】

1.在留資格変更許可申請書 1通

2.写真 1葉(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)

3.パスポート及び在留カード 提示

4.上記カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書 適宜
(提出可能な書類がない場合は、カテゴリー4に該当することとなる。)

カテゴリー1

四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)

主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)

高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(例えば、補助金交付決定通知書の写し)

上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば、認定証等の写し)

カテゴリー2

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)

カテゴリー3

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

5.専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書 1通

6.派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)
申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通

カテゴリー1及びカテゴリー2については、その他の資料は原則不要。

カテゴリー3・カテゴリー4

7.申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料

(1)労働契約を締結する場合
労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通

(2)日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通

(3)外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通

8.申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書

(1)申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 1通

(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書

a.大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお、DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。) 1通

b.在職証明書等で、関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学、高等専門学校、高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通

c.IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通

※ 【共通】5の資料を提出している場合は不要

d.外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通

9.登記事項証明書

10.事業内容を明らかにする次のいずれかの資料

(1)勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通

11.直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通

カテゴリー3については、その他の資料は原則不要。

カテゴリー4

12.前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料

(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通

(2)上記(1)を除く機関の場合

a.給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通

b.次のいずれかの資料

(ア) 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通

(イ) 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料 1通