ここでは、外国人調理師の「技能」ビザの審査基準について詳しくご説明します。

目次

1.調理師の業務

中国料理、フランス料理、インド料理等の調理師や点心、パン、デザート等を製造する調理師やパティシェ等が該当します。
料理店の他、食品会社での製造コックで働く場合も該当します。

2.店舗の要件

外国人が働く店舗については、店舗の規模、設備、料理品目等の要件があります。

①店舗の名義

事業所・店舗の賃貸借契約書の借主名義、営業許可書の名義は、「技能」ビザを持っている調理師になってはいけません。「技能」ビザでは、店舗経営をすることが出来ないからです。

②店舗の規模

調理師の技能を十分に発揮出来る事業所、店舗の確保が必要です。

店舗の規模は、客席数、カウンターの比率等で判断されますが、高級料理店の場合はこの限りではありません。
客席数は30席以上が望ましいです。
テイクアウトのみの店舗も、許可の可能性はあります。

店舗の厨房、客席、外観、コース料理の写真等を入管に提出した方が良いです。
例えば、インド料理店、パキスタン料理店で働く場合、店舗にタンドール(釜)等、特殊な設備が設置されているかも審査対象になります。

メニューの内容、コース料理の有無、店舗の外観等から、本格的な外国料理提供されているかも審査のポイントになります。

③調理師以外の従業員

店舗に調理師以外に、接客、会計等の従業員がいることが必要です。
これらの従業員がいないと、調理師が「技能」に該当しない業務をすると判断され、不許可となります。
入管からは、スタッフリストの提供が求められることが多いです。
過去にスタッフリストが提出されたことがある場合、矛盾点がないかもチェックされます。

④料理品目について

外国人の熟練技能を要する料理品目が、相当の割合を占める必要があります。

外国が起源であるものの、日本で発展して一般的に普及している料理は含まれません。
例えば、カレーライス、焼肉、ラーメン等は該当しません。

※5000円以上のコースメニュー、単品料理があることが望ましいです。

3.調理師の要件

外国で考案された料理の調理又は食品製造に係る技能、日本で特殊なものを要する業務で、次のいずれかに該当するもの。

要件

イ 10年以上の実務経験
(外国の教育機関で、関連科目を専攻した期間を含む。)
ロ 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第一部A第五節1(c)の規定の適用を受ける者

①10年以上の実務経験

調理師で日本で働く為には、10年以上の実務経験が必要です。
この実務経験には、外国の教育機関で関連する科目を専攻したた期間も含まれます。

※タイ人調理師は、日タイEPAにより実務経験期間が5年に短縮されます。

②在職証明書の注意点

10年以上の実務経験があることを証明する為に、在職証明書等を入管に提出します。

・屋台等は実務経験として認められません。

・在職証明書には、在職先の住所、電話番号、在職期間を明記します。

・在職証明書の勤務地と本国住民登録地が一致しないと、在職証明書の信憑性が疑われます。

・調理師としての在職期間中に長期間他国へ出国した場合も、在職証明書の信憑性が疑われます。

・在職していたレストランの写真も入管に提出すべきです。
写真は、店舗の外観、客席、外国人本人の勤務様子が写っているものが望ましいです。

③中国人調理師の場合

職業の審査は、戸口簿、旅券、職業証明書等で厳格に確認されます。

戸口簿について

通常、中国の調理師の場合、戸口簿の職業欄に「厨師」や「烹調師」等と書かれています。
もし職業欄に、「農民」や「工人」等の記載があれば、提出書類の信憑性が疑われ、不許可になる可能性が高いです。

戸口簿の「服務処」欄は、勤務先のことを言います。
調理師であれば、「服務処」欄に「~飯店」や「~館」等と書かれています。

④職業資格証書について

中国の「職業資格証書」は、職業に関する証明証です。

調理師の場合、職業欄には「中式烹調師」、「中式面点師」等の記載があります。

等級については初級、中級、高級、技師、高級技師の五つの等級があります。
初級は、10年以上の実務経験があるレベルとは認められません。

⑤ネパール人の調理師の場合

ネパール人の調理師の場合、在籍した店舗が発行した在職証明書と店舗に係るPAN(Permanent Account Number)登録証明書が矛盾がないかが審査されます。

⑥年齢について

25歳以下の調理師は、10年以上の実務経験がある調理師として認められない可能性が高いです。

⑦職歴の確認

実務経験については、入管から国際電話により勤務先に確認したり、現地の日本大使館インタビューで確認したり等、調査が行われます。

⑧外国人が料理店を経営する場合

「技能」ビザで日本で働いていた外国人調理師が自分の店を開く場合、「技能」ビザのままではお店を経営することは出来ません。
このような場合は、「経営・管理」ビザに変更する必要があります。

※店舗経営を主活動としながら、従たる活動としての調理業務は認められます。

⑨日タイEPAによる実務経験年数の短縮

日本国とタイ王国との協定により、以下の要件を満たせば、実務経験は5年に短縮されます。

①タイ料理人として5年以上の実務経験を有すること。

②初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得していること。

※タイ労働省技能開発局が実施する、タイ料理の調理師資格は、レベル1以上が必要。

③日本国への入国及び一時的な滞在に係る申請を行った日の直前の1年間に、タイにおいてタイ料理人として妥当な額の報酬を受けており、又は受けていたことがある。