「家族滞在」ビザは、日本で一定の在留資格を持っている外国人の、扶養家族の為に設けられたビザです。
ここで言う扶養家族とは、配偶者又は子のことです。
兄弟姉妹、ご両親等他の親族は、「家族滞在」ビザを取得することが出来ません。
目次
1 「家族滞在」とは
「家族滞在」ビザは、日本で一定の在留資格を持っている外国人の、扶養家族の為に設けられたビザです。
ここで言う扶養家族とは、配偶者又は子のことです。
兄弟姉妹、ご両親等他の親族は、「家族滞在」ビザを取得することが出来ません。
在留期間:
5年、4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月又は3月
2 扶養者の在留資格
扶養者である外国人は、以下の在留資格を持つ必要があります。
「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「文化活動」、「留学」
3 他のビザで活動する外国人の扶養家族は?
「外交」、「公用」、「短期滞在」、「特定活動」、「技能実習」、「研修」の場合
⑴「外交」、「公用」の場合
「外交」、「公用」で活動する外国人の扶養家族は、「外交」、「公用」のビザで日本に在留することが出来ます。
⑵「短期滞在」、「特定活動」の場合
「短期滞在」、「特定活動」で活動する外国人の扶養家族は、「短期滞在」、「特定活動」で日本に在留することが出来ます。
⑶「技能実習」、「研修」の場合
「技能実習」、「研修」は、その活動の性格から、家族の帯同は認められません。
4 「家族滞在」ビザで出来る活動
「家族滞在」の外国人は、日常的な活動をすることが出来ます。
「日常的な活動」とは、家事に従事する活動の他、教育機関で教育を受ける活動等が含まれます。
フルタイムの仕事をすることは出来ませんが、「資格外活動許可」を得れば、週28時間以内のアルバイトをすることは出来ます。
正社員で働きたい場合は、「家族滞在」から就労ビザに変更しなければなりません。
5 「扶養を受ける」とは
外国人が自分の配偶者又は子を、扶養する意思があり、かつ、扶養可能な資金的能力を有することが必要です。
「留学」・「文化活動」等、就労不能資格で活動する外国人の扶養を受ける場合は、在留期間中の生活費が確実に支弁されることが必要です。
配偶者は、原則同居を前提として、扶養者に経済的に依存している状態が必要ですし、
子は、扶養者の監護養育を受けている状態が必要です。
従って、経済的に独立している配偶者又は子は、「家族滞在」ビザを取得出来ません。
そして、18歳以上の子であっても、学生の身分等、親の扶養を受けている場合は、「家族滞在」ビザを取得出来ます。
6 「配偶者」又は「子」とは
⑴ 配偶者について
「配偶者」は現に婚姻が法律上有効の者に限られます。
内縁の配偶者、外国で有効に成立した同性婚は対象になりません。
※同性婚の場合、その相手方は、「特定活動」(告示外特定活動)に該当します。
⑵ 子について
嫡出子、養子(普通養子、特別養子)、認知された非嫡出子が含まれます。
そして、成年に達した子も含まれます。
※養子については、「家族滞在」と、「日本人の配偶者等」・「定住者」の該当範囲が異なります。
「日本人の配偶者等」の場合は、実子と特別養子のみ含まれます。
「定住者」の場合は、6歳未満の養子しか含まれません。
7 扶養者が帰国した場合
「家族滞在」の外国人は、原則として、扶養者である配偶者又は親が日本にいる間に在留資格が認められます。
但し、扶養者が帰国した場合でも、その時点で「家族滞在」の在留期限が残っていれば、その期限まで在留することができます。
8 扶養者のビザ更新が出来なかった場合
扶養者のビザ更新が不許可になった場合、申請内容変更申出により、出国準備の為の「特定活動」(告示外特定活動)に変更出来ます。
同時に更新申請をした配偶者又は子についても、不許可になるので、同じく申請内容変更申出により、「特定活動」に変更することになります。
9 審査のポイント
⑴ 扶養者が扶養の意思と、扶養能力(経費支弁能力)を有すること。
⑵ 配偶者については、原則同居を前提として、現に扶養者に経済的に依存していること。
⑶ 子については、現に扶養者の監護養育を受けていること。
⑷ 経済的に独立している配偶者又は子としての活動は含まないこと。
※⑷について要注意
子が未成年であっても、成年に近い年齢である場合、入管から、就労が目的であると認定され、不許可になることがあります。
10 扶養者が入国後、子を呼ぶ場合
子が扶養者と一緒に来日するのではなく、扶養者が入国した後、何年か経過した後に入国する場合は、事情の説明が必要です。
要するに、なぜ今まで本国で別の者が監護養育してきたのか、その事情がどのように変わり、なぜ日本で養育することになったのかを合理的に説明する必要があります。
11 子が「家族滞在」から「留学」等に変更した場合
「家族滞在」から「留学」等の在留資格に変更した子が、卒業後就労資格に変更出来なかったとしても、「家族滞在」に戻すことは原則出来ません。
それは、扶養を受けるものとして通常認められないからです。
12 「留学」、「文化活動」で活動する外国人の「家族滞在」
※日本で留学している留学生や、「文化活動」で活動する外国人は就労することは出来ませんが、その扶養家族は「家族滞在」で在留することができます。
⑴留学に該当するもの
①日本の大学、若しくはこれに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国で12年の学校教育を修了した者に対して、日本の大学に入学する為の教育を行う機関又は、高等専門学校に入学して教育を受ける場合
②日本の大学に入学して、その大学の夜間において授業を行う大学院の研究科において、専ら夜間通学して教育を受ける場合。
⑵ 扶養能力の審査
配偶者又は子が現在外国にいるか、又は日本にいるかによって、扶養能力の審査は、その柔軟さが異なります。
① 配偶者又は子が外国にいる場合
扶養者が「留学」、「文化活動」の在留資格の場合、その扶養者は原則就労することは出来ません。
従って、その家族の入国審査においては、扶養者の扶養能力が慎重に審査されます。
② 配偶者又は子が日本にいる場合
申請人が既に日本にいる場合、扶養者と被扶養者の在留状況を斟酌し、扶養能力を柔軟に審査します。
⑶ 扶養能力の必要額
扶養に必要な金額について、一律の基準はありませんが、目安としては、居住地の生活保護額(生活扶助、住宅扶助、教育扶助の合計額)を参考に、入国当初1年間の生活費程度で足りるとされています。
⑷ 扶養能力として認められるもの
扶養者の経費支弁能力と認める資産等
扶養者・被扶養者の、「資格活動許可」範囲内のアルバイト等による預貯金
第三者による援助(安定・継続的で確実であること)
奨学金
13 「家族滞在」から「定住者」への変更
例えば、子供が「家族滞在」で来日し、小学校3年位から入学して、高校卒業に至った場合、「家族滞在」から「定住者」に変更することが可能です。
具体的には、日本で義務教育の大半を修了し、かつ、日本の高校を卒業する外国人から、「定住者」への在留資格変更申請があった場合、日本社会への十分な定着性が認められるものとし、許可方向で検討されます。
14 本国の老親を呼びたい場合
⑴「高度専門職」の外国人は一定の要件の下で、本国の老親を日本に呼ぶことが出来ます。
⑵「高度専門職」以外の外国人が、老親を呼びたい場合は、「短期滞在」で来日した後、一定の要件の下で、「特定活動」(告示外特定活動)に変更する方法があります。