ここでは、在留資格変更許可申請の概要、申請書の書き方、記入例についてご説明します。
目次
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)の書き方と記入例
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)-申請人等作成用1
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)-申請人等作成用2
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)-所属機関等作成用1~2
在留資格変更許可申請の概要
在留資格変更許可申請は、入管手続の中でも非常に扱われる数の多い手続きです。なぜなら、日本に住む外国人は、不法入国の場合を除き、すでに何らかの在留資格を得ています。そして在留資格は、それぞれの区分に基づく範囲に限って国内での活動が認められているため、外国人の事情の変化によって、随時在留資格を変更する必要性が生じるからです。
例えば、日本の大学や専門学校に留学している外国人が、企業から内定をもらった際に、「留学」から就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)に変更することになります。
この場合は、当該外国人の居住地を管轄する地方出入国在留管理局で、以下の手順で在留資格変更許可申請をします。
①留学生の卒業予定の学校における専攻分野と関連する業務かどうかの検討
②外国人自身に関する書類や内定企業に関する書類を収集
③地方出入国在留管理局等に在留資格変更許可申請書等を提出
④許可の通知を受けた場合は、卒業後に卒業証明書等を提出し、新しい在留カードの交付を受ける。
在留資格変更許可申請では、手数料が4000円かかりますが、これは収入印紙を貼付して支払います。
また、標準処理期間は1~3か月とされています。
所属機関のカテゴリー
在留資格変更許可申請をする場合の提出書類には大きく分けて、①申請書、②外国人に関する書類、③雇用しようとする企業に関する書類があります。
③は、企業(所属機関)の条件よって、4種類にカテゴリー分けされ、カテゴリーごとに提出書類が異なります。
カテゴリー1は所属機関が以下の場合です。
a.日本の証券取引所に上に上場している企業
b.保険業を営む相互会社
c.日本又は外国の国・地方公共団体
d.独立行政法人
e.特殊法人・認可法人
f.日本の国・地方公共団体の公益法人
g.法人税法別表第1に掲げる公共法人
h.高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)
「イノベーション促進支援措置一覧」の詳細はこちらをクリック
i.一定の条件を満たす企業等
詳細はこちらをクリック
カテゴリー2は、所属機関が前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1000万円以上ある団体・個人です。
カテゴリー3は、カテゴリー2を除く前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人とされています。
また、カテゴリー4はカテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人です。
カテゴリー分けされるのは、上場企業や、年間1000万円以上の所得税を支払っている会社などは、提出書類が少なくて済むという取扱いをするためです。
在留資格変更許可申請(技術・人文知識・国際業務)の提出書類
提出書類については、カテゴリー1~4のいずれの場合であっても、在留資格変更許可申請書(1通)、写真(1葉)が必要になります。
・四季報の写し・証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
(カテゴリー1)
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
(カテゴリー1)
・専門士又は高度専門士の称号を付与された者は、これを証明する文書 1通
(カテゴリー1、2、3、4)
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
(カテゴリー2、3)
・申請人の活動の内容等を明らかにする資料
(カテゴリー3、4)
・申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
(カテゴリー3、4)
・事業内容を明らかにする資料
(カテゴリー3、4)
・直近の年度の決算文書の写し 1通
(カテゴリー3)
・直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
(カテゴリー4)
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料
(カテゴリー4)
「申請人の活動の内容等を明らかにする資料」とは
a.労働契約を締結する場合は労働条件を明示する文書 1通
b.日本法人である会社の役員に就任する場合は役員報酬について定める定款または株主総会の議事録の写し 1通
c.外国法人の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合は、地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通
「申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書」とは
申請についての技術・知識を要する職務に従事した機関・内容・期間を明示した履歴書(1通)と、大学等の卒業証明書や「情報処理技術」に関する試験・資格の合格証書・資格証書(1通)などです。
「事業内容を明らかにする資料」とは
勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容等が詳細に記載された案内書1通(又はそれに進じる文書)と法人登記事項証明書(1通)です。
「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料」とは
給与支払事務所等の開設届出書の写し(1通)と、直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料)1通です。
ただし、源泉徴収の免除を受ける機関の場合には、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料として、外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料(1通)を提出することになります。
「技術・人文知識・国際業務」の学歴・職歴証明書類
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の場合、「申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書」については、以下の書類を提出します。
・申請についての知識を要する業務に従事した機関とその内容、業務期間を明示した履歴書 1通
・以下のいずれかの書類
大学などの卒業証明書 1通
関連する業務に従事した期間を証明する文書 1通
外国文化に基づく外国特有の思考や感受性を必要とする業務に就く場合については、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通
書類の入手方法とダウンロード
ここで紹介した、「留学」から就労系の在留資格への変更をはじめ、さまざまな在留資格の変更許可申請では、日本における活動内容によって、提出書類の様式が異なります。それぞれの申請書様式は法務省のホームページからダウンロードすることができます。
申請書様式は、「申請人等作成用」、「所属機関等作成用」に分かれています。
在留資格変更許可申請の注意点
在留資格変更許可申請を行う際に、重要なのは、変更前の資格と変更後の在留資格の事情をそれぞれ考慮することです。
例えば、「留学」から就労系の在留資格に変更しようとする場面では、万が一変更したい就労系在留資格の許可が下りなければ、申請者は大学を卒業するため「留学」の在留資格に戻すことはできません。
また、出入国在留管理局での審査のポイントとして、卒業する学校における、専攻分野と就労しようとする企業での職務内容が合致しているかが問われます。
就労系の在留資格では、単純な作業を行うために取得するということは、認められないのが実情です。
なお、専攻分野と職務内容の合致といっても、デザインを専攻していた外国人が、Webサイト制作会社に就職するための在留資格変更が認められたというケースもありますので、検討する際に、これらの関連性について正しい判断が行えるかどうかも鍵となります。
また、留学や就労系の在留資格を有している外国人が、日本人等と結婚し、「日本人の配偶者等」の在留資格に変更しようとする場合においても、結婚すれば当然に在留資格変更が認められるわけではありません。
この場合、法律上の婚姻手続きを経ていることはもちろん、実態を伴った婚姻か、従前の在留状況に問題はないか、不法滞在目的ではないかなど、さまざまな審査ポイントをクリアできるか、的確に判断しなければなりません。
在留資格変更許可申請が不許可になった場合
在留資格変更許可申請では、不許可となった場合の対応は重要です。
まず、申請が不許可となった際に、再申請を行うこともできますが、不許可事由を見誤ったまま、安易に再申請をしても、もちろん許可を得ることはできません。そればかりか、再申請にも問題があり、重ねて不許可となって、退去強制手続きを受けるようなことがあっては大変です。
不許可事由としては、要件不適合や書類の不備など判断しやすいものだけでなく、立証不足や場合によっては変更目的自体(例えば、就労系への変更の場合で、内定している企業側に問題があるケースなど)に原因があることもあります。
そこで、申請者としては再申請を試みるのか、申請自体をあきらめるのかを判断しなければなりません。この場合、一度帰国をしてから、あらためて在留資格認定証明書交付申請を行った方が、スムーズにいくこともあります。反対に就職先や日本での活動内容自体を見直す場合もあります。
継続就職活動の特定活動ビザ
特に、留学生の場合で、就労系在留資格へ変更可能な企業に就労するため、引き続き就職活動をする場合は、「特定活動」という在留資格に変更するための申請をすることができます。この場合には、在留期間が6か月認められ、1回だけ更新もできますので、最長で1年間の猶予が与えられることになります。
このように在留資格変更許可申請では、申請者たる外国人の人生設計に大きな影響を与えるものとなりますので、慎重な判断が求められます。
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)の書き方と記入例
現在「留学」の在留資格で在留している外国人が、就労系の在留資格に変更する場合の、在留資格変更許可申請書における記載上の注意点は、以下のとおりです。
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)-申請人等作成用1
この様式は、申請人自身の基本的な事項を記載します。在留カードやパスポート等と相違がないように正確に記載する必要があります。
①「証明写真欄」には、提出日の前3か月以内に撮影したものを貼付しますが、念のために裏面に氏名・生年月日を記入しておきます。
②生年月日は西暦で記載します。氏名はローマ字で記載しますが、中国や韓国なと漢字圏の方は、漢字とローマ字を併記します(国籍・出生地は漢字でもかまいません)。
③日本において、現在居住している住所地や電話番号を記載します。住所はマンション等の部屋番号まで記載します。
④「現に有する在留資格」欄には、在留カードと相違ないよう正確に現在の在留資格、在留期間、在留期間満了日、在留カード番号を記載します。
⑤変更する活動内容に沿った希望する在留資格と在留期間、変更理由を記載します。
申請人等作成用1
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)-申請人等作成用2
この様式は、在留資格によって様式が異なります。ここでは、「高度専門職(1号イ・ロ)」・「高度専門職(2号)」 (変更申請の場合のみ)・「研究」・「技術・人文知識・国際業務」・「介護」・「技能」・「特定活動(研究活動等),(本邦大学卒業者)」用のケースをとりあげます。
①所属予定の活動先(事例では内定している勤務先)について記載します。
②最終学歴や専攻・専門分野をチェックし、記載します。内定している企業で行う職務にある程度関連しているはずです。
③本様式には、本人の署名と申請書作成年月日の記載が必要です。
申請人等作成用2
在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)-所属機関等作成用1~2
この様式は所属機関等(事例では雇用しようとしている企業)側の立場で作成するものになります。
①氏名について、ローマ字(又は漢字とローマ字の併記)で記載します。
②雇用しようとしている企業の名称や法人番号、支店・事業所名、事業内容、所在地、電話番号、資本金、年間売上、従業員数、就労予定期間、給与(税引き前の給与)、職務上の地位、実務経験年数等を記載し、主たる業種を別紙「業種一覧」から選択して番号を記入します。
なお、職務上の地位ですが、本事例のように在留資格が「技術・人文知識・国際業務」の場合、貿易関係以外では、通訳・翻訳、旅行会社、語学学校の講師等が考えられます。
③所属機関等作成用2の派遣先等は、人材派遣の場合や勤務先地が所属機関等作成用1と異なる場合のみ記載します。
④所属機関等作成用2は、下部に所属機関等契約先の名称、代表者氏名、申請書作成年月日を記載します。
所属機関等作成用1
所属機関等作成用2
別紙-業種一覧
別紙-職種一覧
技術・人文知識・国際業務
在留申請書の書き方と記入例まとめ
- 在留申請書の書き方と記入例
- 在留資格認定証明書交付申請書(技術・人文知識・国際業務)の書き方と記入例
- 在留資格変更許可申請書(技術・人文知識・国際業務)の書き方と記入例
- 在留期間更新許可申請書(技術・人文知識・国際業務)の書き方と記入例
- 在留資格認定証明書交付申請書(企業内転勤)の書き方と記入例
- 在留期間更新更許可申請書(企業内転勤)の書き方と記入例
- 在留資格認定証明書交付申請書(経営・管理)の書き方と記入例
- 在留資格変更許可申請書(経営・管理)の書き方と記入例
- 在留期間更新許可申請書(経営・管理)の書き方と記入例
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- 在留資格認定証明書交付申請書(家族滞在)の書き方と記入例
- 在留資格変更許可申請書(家族滞在)の書き方と記入例
- 在留期間更新更許可申請書(家族滞在)の書き方と記入例
- 在留資格認定証明書交付申請書(日本人の配偶者等)の書き方と記入例
- 在留資格変更許可申請書(日本人の配偶者等)の書き方と記入例
- 在留期間更新許可申請書(日本人の配偶者等)の書き方と記入例
- 永住許可申請書(日本人の配偶者等)の書き方と記入例