ここでは、企業内転勤ビザの要件、必要書類、注意点についてご説明します。

企業内転勤の在留資格の定義

本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して、当該事業所において行う「技術・人文知識・国際業務」の項に掲げる活動と定義されています。

企業内転勤の在留資格の概要

資格該当性としては、以下のことが要件となります。

①申請に係る転勤の直前に、外国にある本店、支店その他の事業所において、「技術・人文知識・国際業務」に該当している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合には、当該期間を合算した期間)が継続して1年以上あること

②日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること

「転勤」の定義とは

①本邦に本店を置くものに限られず、外国企業、外資系企業、合併企業等の事業所間の企業内転勤も含まれます。

②「転勤」は、通常、同一会社内の移動ですが、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第8条にいう「親会社」、「子会社」、「関連会社」の出向等も「転勤」に含まれます。

③「企業内転勤」が認められる具体的な異動の範囲は、以下の通りです。

イ.本店(社)と支店(社)・営業所間の異動

口.親会社・子会社間の異動

ハ.親会社・孫会社間および子会社・孫会社間の異動

ニ.子会社間の異動

ホ.孫会社間の異動

へ.関連会社への異動(親会社と関連会社、子会社と子会社の関連会社のみ)

必要書類(在留資格認定の場合)


1.カテゴリー1に該当することを証明する資料、または前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し(受理印のあるもの、または電子申請の場合メール到達表も添付する)


2.申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料(活動内容、期間、地位および報酬を含む)


イ.法人を異にしない転勤の場合
①転勤命令書の写し
②辞令等の写し

ロ.法人を異にする転勤の場合、労働条件を明示する文書

ハ.役員等労働者に該当しない者については、次の通りとする。

①会社の場合は、役員報酬を定める定款の写し、または役員報酬を決議した株主総会の議事録等の写し

②会社以外の団体の場合は、地位(担当業務)、期間および支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書

3.転勤前に勤務していた事業所と転勤後の事業所の関係を示す次のいずれかの資料

イ.同一の法人内の転勤の場合、外国法人の支店の登記事項証明書等当該法人が日本に事業所を有することを明らかにする資料。

口.日本法人への出向の場合、当該日本法人と出向元の外国法人の支店の登記事項証明書等当該外国法人が日本に事業所を有することを明らかにする資料

ハ.日本に事務所を有する外国法人への出向の場合

①当該外国法人の支店の登記事項証明書等当該外国法人が日本に事務所を有することを明らかにする資料

②当該外国法人と出向元の法人との資本関係を明らかにする資料)

4.申請人の経歴を証明する資料

イ.関連する業務に従事した機関、内容、期間を明示した履歴書

ロ.過去1年間に従事した業務内容および地位、報酬を明示した、転勤の直前に勤務した外国の機関の文書

5.事業内容を明らかにする次のいずれかの資料

イ.転勤先の沿革、役員、組織、事業内容等が詳細に記載された案内書

口.その他の勤務先等の作成した上記イに準ずる文書

ハ.登記事項証明書

6.前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写しが提出できない場合、理由を明らかにする文書

①源泉徴収の免除を受ける機関の場合、外国法人の源泉徴収に対する免除証明書、その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料

②上記を除く機関の場合、給与支払事務所等の開設届出書の写しおよび次のいずれかの資料

a.直近3カ月分の給与所得・退職等の所得税徴収高計算書

b.納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料

追加で作成したほうが良い資料

基準省令には記載されていないが追加で作成したほうが良い資料
(最近の申請では、追加資料として求められるケースが多いです。)


1.本国会社と日本会社の従業員名簿
(日本会社側で外国人労働者がいる場合は、性別、在留カード番号、在留資格、在留期限、担当業務を記載)


2.雇用する外国人の一日と一週間のスケジュール


3.外国人スタッフが複数名いる場合、それぞれの担当業務の業務割合


4.日本転勤先の画像および見取り図
(例えば社長がいて事務員が2名いる場合、申請人の作業机として合計4台の作業机を用意する必要があります。見取り図には申請人作業場所を明示します。)


5.貿易会社の場合、貿易立証資料として、日本の会社および本国会社それぞれの船荷証券(通称B/L)、送り状(通称インボイス)の写しを添付したほうが良いです。


6.日本支店の設立の場合、日本で事業するために十分な資力を有する資料(残高証明書等)

7.本国の直近3年分の決算報告書

企業内転勤の注意点

日本支店を設立するケース

この在留資格でよくあるケースが、外国会社の日本支店を設立する場合です。
この場合「経営・管理」と違い、事業所の規模は問われませんので、設立の際に資本金の用意と従業員の確保の必要がありません。

本国の代表者が日本支店に転勤する場合

以前の審査では、本国の代表者が日本支店に転勤できましたが、最近の審査では本国の代表者の場合は「経営・管理」に該当するとして認められなくなりました。

資本要件

また資本要件はありませんが、日本で事業活動を行うために十分な資力を有する資料も添付したほうがよいです。

資本関係がない場合

よくあるケースですが、本国で会社を保有しており、日本でも会社を保有している外国人が「企業内転勤」で従業員を呼びたい場合です。

いくらその外国人が会社を2社保有していても、その会社間に資本関係がない場合は「企業内転勤」には該当しないので、「技術・人文知識・国際業務」等での申請を検討したほうがいいでしょう。

給与支払い

企業内転勤の場合、給与は本店・日本の関連会社等のどちらから支払っても良いです。ただし、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額である必要は当然あります。