ここでは、海外の取引先の社員を自社工場に視察・研修目的で招聘する場合の申請事例をご紹介します。

海外取引先の社員を自社工場に研修目的で招聘したい(短期商用ビザ)

事例

電子部品を製造するA社では、中国の協力工場との提携を強化するため、現地の社員を自社工場に視察・研修目的で招聘したいと考えています。
工場の生産ライン全体と製造機器のオペレーションを習得してもらいたいため、約2カ月の期間が必要です。

短期商用ビザのポイント

短期商用ビザとは、商用目的で短期間(最大90日間)、日本に滞在できるビザのことです。

例えば、日本での会議出席や商談、工場視察、展示会訪問、学会参加、インターン、面接などの目的で、短期間だけ日本に滞在したい場合に、このビザを申請します。

この事例では、工場労働者として勤務させるのではないかとの疑義が発生するだろうと思われます。
従って、現業には従事しないことを丁寧に説明します。

具体的には、滞在予定表で毎日のスケジュールを分単位で記載し、製造機器のオペレーションについては、製造機器が実稼働している時間とは別の時間にオペレーション研修を行うこと、またそれが可能であることを立証します。

短期商用ビザで行ってもよいこと・いけないこと

短期滞在ビザを申請するとき、滞在中何をするのかを具体的に書く必要があります。
このとき、間違った書き方をすると、本来許可されるケースであっても許可されないことがあります。
特に、業界で普通に用いられている言葉をそのまま書いた場合、誤解を受けることが多いです。

短期滞在ビザで行ってもよいこと

短期滞在ビザで行ってもよいことの具体例は、
見学、視察、教育機関、企業等の行う講習、説明会等への参加、報酬を受けないで行う講義、講演等、会議その他会合への参加、技術指導、取引先との商談、契約調印、報酬が発生しないアフターサービス、宣伝、市場調査などです。

短期商用ビザで行ってはいけないこと

短期商用ビザで行ってはいけないことは、報酬を得ることです。例え少額であっても、それが報酬として支払われるのであれば違法となります。
ただし、単発の講演の謝礼や、滞在中の交通費、食事代などは、それが常識的価格でしたら、報酬とはみなされませんので、支払っても大丈夫です。

短期商用ビザを確実に取るために

短期滞在ビザは90日間限定ですが、他のビザ(就労ビザなど)と比較しても簡単に取れるものではないです。

学歴要件や実務経験要件がない分不法就労の要因となりやすく、一時期社会問題となったため、非常に厳しく審査されます。

指定された書類だけを用意して提出したとしても、説明不十分として不許可になることがよくあります。
しかも、他のビザ(就労ビザなど)と異なり、不許可になっても、その原因を教えてもらえません。
そして、一度不許可になった場合、6カ月以上経過しないと再申請できないというリスクもあります。

短期商用ビザの期間はどのように決まるの?

短期商用ビザを申請する際に、「招聘理由書」や「滞在予定表」という書類を提出するのですが、在留期間はこれらの書類に基づいて決定されます。
従って、滞在予定表は余裕をもって長めにスケジュールを組んでおく方がよいでしょう。

予定には休養日を入れてもかまいません。ただし、滞在目的からみてあまりにも期間が長い場合、申請どおりの在留期間が認定されないことがあります。
希望滞在日数を認定してもらためには、日本での訪問先や面談相手などを具体的に記載し、信憑性をもたせることが大切です。

短期商用ビザが難しいケース

以下のようなケースでは、短期商用ビザの取得が難しくなります。タイミングをずらすか、問題が解決してから申請した方がよい場合があります。

・直近5年以内に、自社の実習生が失踪している、問題を起こしている。

・短期商用ビザの申請中に当該国と日本との関係が悪化した。

・申請中に在日外国人(特に当該国の外国人)の犯罪が急増している(ニュースになる程度の急増)。