「特定技能」ビザの取得から更新まで徹底解説。特定技能1号・2号の違い、対象分野(19分野)、在留期間、申請の流れや必要書類をわかりやすく紹介。2025年4月の制度改正(地域共生施策連携・定期届出年1回化など)にも対応。
目次
1. 在留資格「特定技能」の概要
2. 特定技能1号と特定技能2号の違い
3. 対象となる分野(19分野)
4. 特定技能1号の取得要件
5. 特定技能2号の取得要件
6. 在留期間
7. 特定技能所属機関の責務(2025年4月1日施行)
8. 支援計画の作成(2025年4月1日施行)
9. 申請の流れ
10. よくある質問
11. 在留資格「特定技能」のまとめ
1. 在留資格「特定技能」の概要
在留資格「特定技能」(通称:「特定技能」ビザ)は、2019年4月1日に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れるために設けられました。
本在留資格には「特定技能1号」 と「特定技能2号」 の2種類があり、それぞれ技能レベルや在留期間、家族の帯同可否などが異なります。
本在留資格の基本的な考え方
「特定技能」ビザは、日本の介護、建設、農業、飲食料品製造、外食など、人手不足が深刻な分野で即戦力として働く外国人のための在留資格です。単なる単純労働力ではなく、各分野で一定の専門性や技能を有する人材として受け入れられます。
特定技能1号から2号に移行することで、在留期間の上限がなくなり、永住権の取得も視野に入れられるようになります。
2. 特定技能1号と特定技能2号の違い
特定技能1号
・ 対象者:特定産業分野において「相当程度の知識又は経験を要する技能」を有する外国人
・ 在留期間:法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)。通算5年が上限
・ 技能水準:各分野の特定技能評価試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験免除)
・ 日本語能力:生活・業務に必要な日本語能力(日本語能力試験N4以上など)が必要
・ 家族の帯同:原則として不可
・ 支援計画:受け入れ機関による支援計画の策定・実施が必要
・ 永住許可申請:直接は不可(特定技能2号取得後に可能となる場合がある)
特定技能2号
・ 対象者:特定産業分野において「熟練した技能」を有する外国人
・ 在留期間:3年、2年、1年又は6月。更新回数の上限なし(実質的に無期限)
・ 技能水準:1号よりも高度な技能が求められ、各分野の特定技能評価試験等で確認
・ 日本語能力:試験による確認は不要(ただし業務上必要な場合は審査で考慮される)
・ 家族の帯同:配偶者及び子の帯同が可能(「家族滞在」ビザ)
・ 支援計画:対象外
・ 永住許可申請:条件を満たせば可能
3. 対象となる分野(19分野)
特定技能1号の対象分野は以下の19分野です。各分野の詳細はリンク先をご覧ください。
介護(特定技能「介護」の解説)
ビルクリーニング(特定技能「ビルクリーニング」の解説)
工業製品製造業(特定技能「工業製品製造業」の解説)
建設(特定技能「建設」の解説)
造船・舶用工業(特定技能「造船・舶用工業」の解説)
自動車整備(特定技能「自動車整備」の解説)
航空(特定技能「航空」の解説)
宿泊(特定技能「宿泊」の解説)
自動車運送業(特定技能「自動車運送業」の解説)
鉄道(特定技能「鉄道」の解説)
農業(特定技能「農業」の解説)
漁業(特定技能「漁業」の解説)
飲食料品製造業(特定技能「飲食料品製造業」の解説)
外食業(特定技能「外食業」の解説)
林業(特定技能「林業」の解説)
木材産業(特定技能「木材産業」の解説)
リネンサプライ(2027年から運用開始)
物流倉庫(2027年から運用開始)
資源循環(2027年から運用開始)
4. 特定技能1号の取得要件
特定技能1号を取得するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1) 技能評価試験に合格するルート
・ 対象分野ごとに実施される特定技能評価試験に合格すること
・ 日本語能力試験でN4以上(又はこれと同等の日本語試験)に合格すること
(2) 技能実習2号を良好に修了するルート
・ 技能実習2号を良好に修了した場合、同一分野の特定技能1号を申請する際に、技能評価試験及び日本語能力試験の両方が免除
・ 技能実習期間中に在留状況に問題がなかったこと(不法就労、資格外活動違反がないなど)も要件
(3) 実務経験+技能評価試験ルート
・ 各分野で規定された実務経験(一般的に3年以上)を有すること
・ 日本語能力試験に合格すること
・ 技能評価試験に合格すること
5. 特定技能2号の取得要件
・ 各分野で実施される特定技能2号の評価試験に合格すること(1号よりも高度な技能レベルが求められる)
・ 実務経験として各分野で2〜3年以上の経験が必要となる場合が多い(1号からの移行の場合、1号として働いた期間も含めてカウントされる)
・ 日本語能力試験の合格は必須ではない(ただし業務上必要な場合は審査で考慮される)
・ 直接2号を申請することも可能(その場合、2号の評価試験に合格し、かつ各分野で規定された実務経験を有していることが必要)
6. 在留期間
特定技能1号
特定技能1号の在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)です。通算5年が上限であり、これを超えて在留するには、特定技能2号に移行するか、他の在留資格への変更が必要です。
特定技能2号
特定技能2号の標準的な在留期間は、3年、2年、1年及び6月です。更新回数の上限はなく、適切に更新申請を行い、継続して業務に従事している限り、実質的に無期限で在留を継続することが可能です。
7. 特定技能所属機関の責務(2025年4月1日施行)
特定技能所属機関(受け入れ機関)には、以下の新しい責務が2025年4月1日から課されました。
(1) 共生施策への協力義務
・ 地方公共団体から共生社会の実現のために実施する施策(以下「共生施策」)に対する協力を要請されたときは、当該要請に応じ、必要な協力をすることが義務付けられています。
(2) 協力確認書の提出
・ 特定技能外国人を受入れる際、当該外国人の事業所所在地及び住居地が属する市区町村に対して「協力確認書」を提出する必要があります。
・ 「協力確認書」の内容は「共生社会の実現に向けた施策への協力」という一文
・ 原則として最初の受入れ時に1回提出すればよく、同一事業所で他の特定技能外国人を受入れる場合は再提出は不要
・ ただし、以下の場合は再提出が必要
• 提出した協力確認書の内容(機関名、所在地、担当者など)に変更があった場合
•
• 特定技能外国人の事業所所在地又は住居地が変更となった場合
・ 提出時期:雇用契約締結後、在留申請の前
•
(3) 定期届出の頻度変更
・ 特定技能所属機関による定期届出の頻度が、四半期ごとから1年に1回に変更されました。
(4) 随時届出の項目変更
・ 届出項目の変更・整理が行われ、より実効性のある制度に改善されています。
8. 支援計画の作成(2025年4月1日施行)
特定技能所属機関は、特定技能1号外国人に対して支援計画を作成・実施することが義務付けられています。
支援計画の必須項目(10項目)
・ 事前指導:来日前に日本の生活習慣、ルール、業務内容等を説明する
・ 来日時の出迎え:空港での出迎えと住居までの同行
・ 住居の確保:適切な住居の提供又は紹介
・ 生活オリエンテーション:買い物、銀行口座開設、公共交通機関の利用などの生活指導
・ 日本語習得のための支援:日本語教室の紹介、日本語学習の機会の提供
・ 相談体制の整備:生活や業務に関する相談窓口の設置と対応
・ 医療・保健衛生:病院受診の同行、健康診断の受診支援
・ 緊急時の対応:病気・事故・災害時の連絡体制の整備
・ 地域との交流:地域行事への参加促進、地域住民との交流機会の提供(共生施策連携強化)
・ その他:上記に準ずる必要な支援
地方公共団体の共生施策を踏まえた支援計画の作成
・ 支援計画を作成する際、地方公共団体が実施する共生施策を踏まえた上で作成することが義務付けられています。
・ 各地方公共団体のホームページなどで共生施策を確認し、それに基づいて支援計画を策定する必要があります。
・ 支援計画は在留申請時に出入国在留管理局に提出する必要があります。
9. 申請の流れ
「特定技能」ビザを取得・維持する一般的な流れは以下のとおりです。
(1) 日本国外から申請する場合(在留資格認定証明書交付申請)
・ 特定技能評価試験及び日本語能力試験に合格する(又は技能実習2号を良好に修了する)
・ 日本の受け入れ機関から内定(雇用契約)を得る
・ 受け入れ機関が支援計画を作成する(1号の場合)
・ 必要書類を準備する
・ 本人又は法律で定められた代理人などにより、出入国在留管理局に申請する
・ 審査(通常1〜3か月程度)を経て、在留資格認定証明書が交付される
・ 認定証明書を母国の日本国在外公館(大使館・領事館)に提出し、査証(ビザ)を取得する
・ 来日し、空港で在留カードの交付を受ける
(2) 日本国内で他の在留資格から変更する場合(在留資格変更許可申請)
・ 試験に合格する(又は技能実習2号を良好に修了する)
・ 受け入れ機関との雇用契約を締結する
・ 必要書類を準備する
・ 本人又は法律で定められた代理人などにより、出入国在留管理局に申請する
・ 許可後、新しい在留カードが交付される
(3) 同じ「特定技能」ビザで在留期間を更新する場合(在留期間更新許可申請)
・ 現在の在留期間の満了日の3か月前から更新申請が可能となる
・ 勤務継続状況・収入状況を事前に確認する
・ 必要書類(在留期間更新許可申請書、継続雇用契約書、住民税の課税証明書など)を準備する
・ 本人又は法律で定められた代理人などにより、出入国在留管理局に申請する
・ 審査(通常2週間〜1か月程度)を経て許可されると、新しい在留カードが交付される
※ より詳細な提出書類は、[在留資格「特定技能」の提出書類]をご覧ください。
10. よくある質問
(1) Q:特定技能1号から特定技能2号に移行するにはどうすればよいですか?
A:特定技能2号に対応する分野で、より高度な「熟練技能」を証明する試験に合格する必要があります。また、実務経験として各分野で2〜3年以上の経験が必要となる場合が多いです。なお、特定技能2号に移行するために必ずしも特定技能1号を経由する必要はなく、直接2号を申請することも可能です。
(2) Q:技能実習2号を修了した場合、試験は免除されますか?
A:はい。技能実習2号を良好に修了した方は、同一分野の特定技能1号を申請する場合、技能評価試験及び日本語能力試験の両方が免除されます。
(3) Q:家族を日本に呼べますか?
A:特定技能1号では、原則として家族の帯同は認められていません。特定技能2号では、配偶者や子を「家族滞在」ビザで呼び寄せることが可能です。
(4) Q:特定技能ビザで転職は可能ですか?
A:同じ分野内での転職は可能です。異なる分野に転職する場合は、その分野の特定技能評価試験に合格するなど、新たな要件を満たす必要があります。
(5) Q:2025年に追加された3分野の運用はいつから始まりますか?
A:リネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野は、2025年中の省令・告示改正等を経て、2027年から運用開始とされています。
11. 在留資格「特定技能」のまとめ
在留資格「特定技能」(「特定技能」ビザ)は、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人が働くための在留資格です。
主要ポイント
・ 2種類の区分:特定技能1号(通算5年、家族帯同不可)と特定技能2号(更新上限なし、家族帯同可能)
・ 対象分野:1号は19分野(リネンサプライ、物流倉庫、資源循環は2027年から運用開始)、2号も順次拡大中
・ 在留期間:1号は通算5年、2号は実質的に無期限
・ 技能実習2号修了者:試験免除の特例あり
・ 永住権への道:特定技能2号から条件を満たせば申請可能
・ 受け入れ機関の責務:協力確認書の提出、共生施策への協力、定期届出年1回化
・ 支援計画:1号外国人の支援計画を必須とし、自治体の共生施策を踏まえて作成
制度のメリット
・ 技能実習修了者が試験免除で移行できる(シームレスなキャリアパス)
・ 特定技能2号に移行すれば、実質的に無期限で日本で働ける
・ 永住権取得の可能性がある
・ 建設・造船・自動車運送・鉄道・リネンサプライ・物流倉庫・資源循環などの分野で長期的なキャリア構築が可能
特定技能
- 特定技能とは
- 特定技能ビザの要件(在留資格該当性と上陸許可基準適合性)
- 特定技能ビザの要件(特定産業分野該当性)
- 特定技能ビザの要件-業務区分該当性
- 特定技能ビザの要件-受入機関適合性
- 特定技能ビザの要件-契約適合性
- 特定技能ビザの要件-支援計画適合性
- 1号特定技能の対象者
- 特定技能外国人の採用(職業紹介がない場合)
- 特定技能外国人の採用(職業紹介がある場合)
- 特定技能試験を日本で受験できる者
- 技能実習2号の良好な修了とは
- 「特定技能」の技能試験及び日本語試験
- 特定技能外国人がすべき届出
- 受入機関がすべき届出
- 特定技能に関して入管法違反者に対する制裁等