離婚時の厚生年金を対象として、「合意分割制度」と「3号分割制度」の2つの制度があります。
相談内容
私は今離婚を考えていますが、結婚歴10年、夫はサラリーマンです。私は時々パートをしていますが、夫の社会保険に加入しています。離婚しても夫の年金がもらえると聞きましたが、どのような内容ですか?
目次
離婚時の厚生年金を対象として、「合意分割制度」と「3号分割制度」の2つの制度があります。
合意分割制度
離婚等をし、以下の条件に該当したときに、当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を、当事者間で分割することができる制度です。
・婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
・当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を定めたこと。(合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることができます。)
・請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。
なお、合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。
したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。
情報提供の請求
按分割合を定めるために、当事者は分割の対象となる期間やその期間における当事者それぞれの標準報酬月額・標準賞与額、按分割合を定めることができる範囲などの情報を正確に把握する必要があります。
このため、当事者双方または一方からの請求により、合意分割を行うために必要な情報(「情報通知書」)を提供しています。
この請求は、合意分割の請求期限内に行う必要があります。
情報通知書の請求手続き
情報通知書の請求は、離婚の前でも後でも行うことができます。「年金分割のための情報提供請求書」に、下記1、2の書類を添えてお近くの年金事務所にご提出ください。
1.基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにすることができる書類
・請求書に基礎年金番号を記入するとき
請求者の基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・請求書に個人番号(マイナンバー)を記入するとき
個人番号カード(マイナンバーカード)等
2.婚姻期間等を明らかにすることができる書類
・婚姻期間を明らかにすることができる書類
それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)、または戸籍抄本(個人事項証明書)のいずれかの書類
(請求日から6カ月以内に交付され、婚姻日および離婚日が確認できるもの)
・事実婚関係にあるとき
事実婚関係にある期間の情報通知書等を請求する場合は、その事実を明らかにすることができる書類(住民票等)
合意分割の請求手続き
合意分割の請求は、離婚をした後に行うことができます。「標準報酬改定請求書」に、下記1から4の書類を添えてお近くの年金事務所にご提出ください。
1.基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにすることができる書類
・請求書に基礎年金番号を記入するとき
請求者の基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・請求書に個人番号(マイナンバー)を記入するとき
個人番号カード(マイナンバーカード)等
2.婚姻期間等を明らかにすることができる書類
・婚姻期間を明らかにすることができる書類
それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)、または戸籍抄本(個人事項証明書)のいずれかの書類
(請求日から6カ月以内に交付され、婚姻日および離婚日が確認できるもの)
・事実婚関係にあるとき
事実婚関係にある期間の情報通知書等を請求する場合は、その事実を明らかにすることができる書類(住民票等)
3.請求日前1カ月以内に交付されたお二人の生存を証明できる書類
それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)、戸籍抄本(個人事項証明書)または住民票のいずれかの書類(注)
(注)請求書に個人番号(マイナンバー)を記入することで省略できます。
4.年金分割の割合を明らかにすることができる書類(以下の書類のいずれか1つ)
⑴ 話し合いにより年金分割の割合を定めたとき
・公正証書の謄本または抄録謄本
・公証人の認証を受けた私署証書
・年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し署名した書類(「年金分割の合意書」)(注)
(注)合意分割の請求のために、お二人(それぞれ代理人可)がそろって、年金事務所に直接、合意書を持参していただく必要があります。また、年金分割の請求をする方(代理人(※1)を含む)の本人確認ができる書類等(運転免許証、運転経歴証明書(※2)、パスポート(※3)、マイナンバーカードまたは印鑑およびその印鑑にかかる印鑑登録証明書のいずれか)も併せて必要です。
※1 代理人の場合は、代理人自身にかかる上記の書類のほかに、「委任状(年金分割の合意書請求用)のご本人(委任をする方)」欄に捺印した印鑑にかかる印鑑登録証明書が必要です。
※2 運転経歴証明書は平成24年4月1日以降に発行されたものに限ります。
※3 パスポートは令和2年2月4日までに発行された所持人記入欄があるものに限ります。
⑵ 裁判所による手続きにより年金分割の割合を定めたとき
・審判(判決)の場合
審判(判決)書の謄本または抄本および確定証明書
・調停(和解)の場合
調停(和解)調書の謄本または抄本
家庭裁判所で住所または氏名の秘匿決定を受けた場合には、秘匿事項届出書面謄本および秘匿決定謄本があわせて必要となります。
合意分割と3号分割が同時に行われる場合
合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。
したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。
3号分割制度
離婚等をし、以下の条件に該当したときに、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。
・婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間があること。
・請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。
なお、「3号分割制度」については、当事者の合意は必要ありません。ただし、分割される方が障害厚生年金の受給権者で、この分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、「3号分割」請求は認められません。
3号分割の請求手続き
3号分割の請求は、原則、離婚をした後に行うことができます。「標準報酬改定請求書」に、下記1から4の書類を添えてお近くの年金事務所にご提出ください。
なお、3号分割のみ請求する場合は、お二人の合意は必要がなく、第3号被保険者であった方からの手続きによって年金分割が認められます。
1.基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにすることができる書類
・請求書に基礎年金番号を記入するとき
請求者の基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・請求書に個人番号(マイナンバー)を記入するとき
個人番号カード(マイナンバーカード)等
2.婚姻期間等を明らかにすることができる書類
・婚姻期間を明らかにすることができる書類
それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)、または戸籍抄本(個人事項証明書)のいずれかの書類
(請求日から6カ月以内に作成され、婚姻日および離婚日が確認できるもの)
・事実婚関係にあるとき
事実婚関係にある期間の情報通知書等を請求する場合は、その事実を明らかにすることができる書類(住民票等)
3.請求日前1カ月以内に作成されたお二人の生存を証明できる書類
それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)、戸籍抄本(個人事項証明書)または住民票のいずれかの書類(注)
(注)請求書に個人番号(マイナンバー)を記入することで省略できます。
4.離婚の届出をしていないが事実上離婚状態にあることを理由に3号分割を請求する場合
離婚の届出をしていないが事実上離婚したと同様の事情にあることを明らかにすることができる書類(住民票等)および双方が当該事情を認めている旨の申立書(お二人それぞれの署名があるものに限る。)
合意分割と3号分割が同時に行われる場合
合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。
したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。
詳細な内容は最寄りの年金事務所にご確認ください。
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