駐日大使館で、「公用」ビザで働いている外国人は、3か月以上在留することが証明できれば、日本の国民健康保険に加入することができます。

相談内容

私は、「公用」のビザで、ある国の駐日大使館で役務職員として働いていますが、大使館員や領事館員などの外交官とは違い、国から医療費等の援助はありません。近所のクリニックを利用したいのですが、他の外国人のように国民健康保険に加入することは可能でしょうか?

目次

「公用」ビザの外国人も国民健康保険に加入できる

在留資格「公用」について

「公用」ビザ外国人の国民健康保険の適用

外国人の国民健康保険の適用対象者

国民健康保険の適用除外

在留資格「外交」は日本国法令の適用除外

健康保険の適用事業所

「公用」ビザの外国人も国民健康保険に加入できる

国民健康保険の適用対象は、住民基本台帳法に規定する外国人住民であって、3か月以上日本に在留する外国人を対象としています。

そのため、外国人の国民健康保険加入には、住民登録が行われていることが第一条件となり、次に問われることは、3か月以上日本に在留するか否かとなります。

在留資格「外交」や「公用」は、国際礼讓上(国際的慣習)、住民登録の義務がないため、住所地の確認が難しい状況にありますが、「公用」のみに関し、3か月以上日本に滞在することが証明できれば、国民健康保険の加入は認められることになっています。

国・大使館等が発行した身分証明書や契約書等(訳文添付)により在職期間を証明し、住居地を証明するものとして「建物賃貸借契約書」などを準備して、パスポートを持参の上、居住地の市区町村窓口で加入手続を行ってください。

在留資格「公用」について

在留資格「公用」は、「日本国政府の承認した外国政府、若しくは国際機関の公務に従事する者、又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動」を行う外国人に付与されます。

「公用」ビザを取得できる者の範囲は広く、日本国政府との公の用務のために外国政府又は国際機関から派遣される者も、外交使節団の役務職員、ローカルスタッフまで含まれます。

「公用」の在留期間は、「5年」、「3年」、「1年」、「3月」、「30日又は15日」となっています。

本国政府からの派遣ではないローカルスタッフについては、在留期間は1年となります。

「公用」ビザ外国人の国民健康保険の適用

「公用」の在留資格を有する者について、住民登録を免除されていることから、国民健康保険について、3か月以上の在留期間が決定されたことが証明できれば、適用対象としています。
住所地に関しては、賃貸契約書などにより確認を行い、雇用契約等で在留期間の確認を行っています。

外国人の国民健康保険の適用対象者

被用者保険等(健康保険等)に加入していない外国人であって、市町村に住所を有する外国人について(国民健康保険法5条)は、全国統一的に国民健康保険が適用されます。

外国人住民の国民健康保険の適用対象者は、具体的には以下の通りです。

1.適法に日本に中長期在留する人
2.特別永住者の人
3.一時庇護のために上陸の許可を受けた人
4.仮滞在の許可を受けた人
5.出生により日本に在留することとなった人
6.日本国籍の喪失により日本に在留することとなった人

そして、適用対象である外国住民が在留期間更新により、住基法の適用対象外となっても(在留期間が3か月以下)、既に被保険者となっているものは被保険者と扱われます。

また、在留期間が3か月以下であっても、「興行」、「技能実習」、「家族滞在」、「特定活動(医療を受ける活動及びその付添者は除く)」の在留資格者は、在留活動の内容や期間を証する資料若しくは扶養者の資料を提出して、3か月を超えて日本に滞在すると認められれば、被保険者となることができます。

「特定活動」に関して、「医療を受ける活動及び日常生活上の世話をする活動を行う者」、「観光・保養その他これらに類似する活動を行う者」は、国民健康保険の対象外となります。

国民健康保険の適用対象者は、外国人についても強制加入になりますので、本人の意思による加入・脱退はできません。

会社等で働くことの決まっている外国人とその家族は、被用者保険(職域保険)に加入しますが、それ以外で3か月以上日本に暮らす留学生、その他外国人とその家族は、その住所地の転入日が資格取得日となります。

国民健康保険の適用除外

a.健康保険・共済組合等の被保険者及び被扶養者
b.後期高齢者医療の被保険者
c.生活保護世帯
d.国民健康保険組合の被保険者
e.その他厚生労働省令で定める者→外国人、その他条例で定める者

在留資格「外交」は日本国法令の適用除外

入管法によると、在留資格「外交」とは、「日本国政府が接受する外国政府の外交使節団、若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者、又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動」を行う外国人に与えられる在留資格です。

「外交」の在留資格で滞在する外国人は、住民登録及び管理に関する日本の法令の適用から除外されています。

健康保険の適用事業所

日本は国民皆保険制度を採用し、国籍条項はありません。

保険加入は、被用者を対象とする職域保険(健康保険、船員保険、各種共済組合)の適用を受ける会社に勤めれば、地域住民対象とする国民健康保険等の適用からは除外されます。

法人(合資・合名・株式会社など)であれば、一人の社員でも厚生年金・健康保険の強制適用事業所になります。

個人事業所も、5人以上を雇用している場合、厚生年金・健康保険の強制適用事業所となります。この規模で働く外国人は、国民健康保険の適用は受けられません。
ただし、5人以上の個人事業所であっても、サービス業や飲食業、第一次産業、法務、宗教等の事業所は、強制事業所から除かれ、任意適用事業所として国民健康保険に加入できます。