生活保護について、定住外国人(日本人の配偶者・永住者・永住者の配偶者・定住者など)に対し、日本人に準じた保護を行います。

相談内容

私は日本人と結婚していましたが、今は離婚して、子供と一緒に生活しています。別れた当初は田舎で生活し、生活保護をもらっていましたが、仕事のために都会に引っ越してきたら、生活保護は止められました。生活が苦しいことに変わりはないのになぜですか?

目次

生活保護について

生活保護法

 外国人の生活保護

 生活保護を受けるためには

 生活保護の申請

 最低生活費とは

 保護の種類

外国人が生活保護を受ける場合の注意点

生活保護について

離婚後、子育てしながらの働きでは、収入が最低生活費(保護基準)に達せず、その不足部分の保護を受けていたのでしょうが、生活保護を受けるに当たって、気を付けるべき点があります。

特に引っ越しなどは、必ず報告すべきことです。

生活保護の受給は、実施機関である市区町村の福祉事務所によって、審査が行われ決定されるものであって、どこに引っ越しても、もらえるものと考えるのは間違いです。

生活保護の目的は、日本国民の最低限度の生活保障を行うとともに生活の自立に力を添えるものですが、日本人の子供を扶養する相談者のように、定住外国人にも日本人に準じた扱いがなされています。

外国人の場合は、住民登録を行っている場所の福祉事務所が実施機関ですから、そこを離れたのでは、最初から申請することになります。仕事が見つけやすい都会に出てきたということは、自立を目指しているのでしょうが、ルールを守ることは義務ともいえます。

現在も、いろいろ努力した結果、今の仕事だけではどうしても生活が立ち行かない状況にあるならば、住民登録を行っている居住地の福祉事務所にまず相談してください。

生活保護法

第1条(この法律の目的)
この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

外国人の生活保護

生活保護法は、国籍要件に関する規定はありませんが、憲法25条を基に、国民を対象とし、外国人の法律上の権利としての保護は認めていません。

しかし、昭和29年に出された通達「生活に困窮する外国人の生活保護の処置について」の運用等により、定住外国人(日本人配偶者・永住者・永住者の配偶者・定住者など)に対し、日本人に準じた保護の取扱いを実施しています。

生活保護を受けるためには

第4条(保護の補足性)
保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

2 民法(明治29年法律第89号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

3 前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

第4条に基づき、生活保護を受けるためには、本人や家族がその持てる能力に応じて、最善の努力をすることが前提としてあり、そのような努力をしても、なおかつ最低生活を維持することが難しい場合に、保護が適用されます。

生活保護要件として、以下の4点があります。

①能力の活用
働ける人は能力に応じて働く(年齢が若いことも能力の活用とされます。)。

②資産の活用
生活必需品以外の資産や預金があれば、まず処分して生活費に当てる。

③扶養義務者
親子、兄弟姉妹などの援助が受けられるときには、まず、その援助を受ける。

④他方優先
他の法律や制度で給付が受けられる場合は、その給付を受ける。

第7条(申請保護の原則)
保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基づいて開始するものとする。ただし、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

生活保護の申請

①福祉事務所に相談
居住地若しくは現在地を管轄する福祉事務所に事前に相談を必ず行う。制度の説明や生活福祉資金、及び各種社会保障施策の活用等の検討を行う。

②保護の申請
福祉事務所では、家庭訪問を行い、預貯金・保険・不動産等の資産調査や扶養義務者による扶養の可否の調査及び就労の可能性などにより申請者世帯の最低生活費を計算し認定する。

③保護の決定
保護を申請した世帯の最低生活費と収入を認定し、その過不足によって保護が決定され、通知を受け取れば保護は開始される。一般的なケースでは、申請から14日以内に可否の決定が下される。

最低生活費とは

第8条(基準及び程度の原則)
保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。

世帯の構成、年齢、住居地など、厚生労働大臣が定める基準(保護基準)によって計算されます。保護費とは、収入が最低生活費(保護基準)を下回る場合、その不足分が福祉事務所から毎月支給されます。

保護の種類

①生活扶助
(一般生活費とした基準生活費、入院患者日用品費、母子加算有)

②教育扶助
(児童が義務教育受ける時の費用)

③住宅扶助
(家賃、定められている範囲で実費を支給)

④医療扶助
(けが、病気で医療を必要とする場合、医療券による現物支給)

⑤介護扶助
(介護サービスを受ける時の扶助、介護券による現物支給)

⑥出産扶助(出産をするときの費用)

⑦生業扶助
(生業に必要な資金・器具や資料を購入する費用、技能習得・就労のための費用、及び高等学校等就学費)

⑧葬祭扶助(葬祭を行うときの費用)

の8種類があります(生活保護法11条)。

外国人が生活保護を受ける場合の注意点

永住者や日本籍の子供を養育している人たちの中には、生活保護に頼らざるを得ない状況も見受けられますが、現実は厳しく、申請が簡単に受給と結びつくものではありません。まずは自助努力が問われます。

日本国籍の子供を養育する定住者の母親には、子供の父親へ養育費の請求を行うことや、子供を保育所に預け、仕事を見つけることも促されます。

生活保護受給は、容易に受給が決定されるものではありません。でも努力した結果、生活が成り立たない場合や病気の折には居住地の福祉事務所に相談してください。