外国人であっても、条件を満たせば、日本の入院助産制度と児童手当・乳幼児医療費助成を利用することができます。

相談内容

夫は永住者ですが、昨年勤めていた会社が倒産し、失業保険を受給しています。
私は、妊娠6か月ですが、お産の費用についても悩んでいます。出産育児一時金のことは知っていますが、なるべく安いところでお産ができればと思います。
また子供が生まれた場合は、どんな手当があるのでしょうか?

目次

入院助産制度と児童手当・乳幼児医療費助成

出産貸付制度

入院助産制度

児童手当

 ・外国人の支給要件

 ・外国人が出国した場合の「児童手当」

乳幼児医療費助成

入院助産制度と児童手当・乳幼児医療費助成

出産に関して費用的に困っているのであれば、国民健康保険の加入者に対して、出産費貸付制度もあります。

出産費用そのものを安くしたいのであれば、住民税非課税世帯などの条件を満たす場合、入院助産制度の利用が可能です。入院助産制度の対象になれば、出産費用は大部分を公費で補い、大幅に安くなりますが、指定された助産施設でかかる経費もありますので、具体的に必要な経費を含め福祉事務所に相談してください。

そして、子供が生まれた後の手当ですが、児童手当があります。子供が生まれた場合、14日以内に市区町村に出生届を行わなければなりません。出生届をすれば、住民票も作成され、子供に関するサービスも開始されますから、その折に児童手当と乳児医療助成の申請手続を行ってください。

児童手当は国の事業として行われ、0歳から3歳未満の児童には15,000円が支給されますが、子供の居住要件が加わり、日本で育てない場合は対象外となっています。

医療面では、乳幼児医療費助成制度(マル乳)を利用すれば、子供の医療費が健康保健・国民健康保険の自己負担分が助成されます。出生届をおこなった後に、児童手当とともに手続をしてください。

まずは出産が大切ですから、入院助産制度が適用されるのか、一部負担金や所得上の制限及び条件等について、福祉事務所で相談してください。

出産貸付制度

国民健康保険の被保険者を対象として、出産費用の支払に困っている方で、出産育児一時金の支給を受ける予定者に対して、出産にかかる費用の一部を貸し付ける制度ですが、国民健康保険の滞納のない世帯の方を対象としています。

詳しくは、市区町村の福祉事務所・国民健康保険課に出産費用明細書等を持参の上、ご相談ください。

入院助産制度

入院助産制度は、児童福祉法に基づいた制度です

22条に「都道府県・市及び福祉事務所を設置する町村は、それぞれその設置する福祉事務所の所管区域内における妊産掃が、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により、入院助産を受けることができない場合において、その妊産婦から申込みがあったときは、その妊産婦に対し指定する助産施設において助産を行わなければならない」としています。

現年度分の住民税が非課税であるなど、経済的に出産費の支払が困難である場合に利用できますが、指定された助産施設で出産することや所得に応じて一部負担金があるなどの条件もあります。

詳しくは、直接市区町村でご相談ください。

児童手当

児童手当の目的(児童手当法1条)

「この法律は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。」

外国人の支給要件

受給できる保護者とは、日本国内に住所を有する者であり、支給対象となる児童を養育する父母等のうち生計中心者(所得の多い方)に支給されます。

支給期間は、支給対象となる児童の年齢が15歳に達する日以後の最初の3月31日までとし、児童にも国内居住要件が問われます。

そのため、児童が海外に居住している場合は、原則手当は支給されませんが、留学で出国する場合は、「留学その他厚生労働省で定める理由」として、受給できる場合があります。

留学に該当するには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。

①日本国内に住所を有しなくなった前日までに、日本国内に継続して3年を超えて住所を有していたこと。

②教育を受けることを目的として海外に居住しており、父母等と同居していないこと。

③日本国内に住所を有しなくなった日から3年以内であること。

なお、住民票を日本に置いたままであっても、海外に居住している場合は留学を除き支給対象となりません。
手続きが遅れて、児童手当が払い過ぎとなった場合、返還する必要があります。

外国人が出国した場合の「児童手当」

1 基本的取扱い

外国人が生活の本拠を移して出国する場合には、住所地の市町村長に転出届をすることが必要であることから、児童手当等の受給者である外国人が出国する場合には、住民票が消除された日をもって、児童手当等の受給権を消滅します。

また、外国人の児童が出国する場合には、「留学その他厚生労働省令で定める理由」による場合を除き、住民票が消除された日をもって、支給要件児童ではなくなります。

2 外国人の住民票が消除されないまま出国している場合の「児童手当」

(1) 再入国の許可を受けないで出国している場合

児童手当等の受給者である外国人が、再入国の許可(みなし再入国許可含む。)を受けないで出国した場合には、住民票が消除された日をもって、児童手当等の受給権を消滅します。

また、外国人の児童が再入国の許可を受けないで出国した場合には、「留学その他厚生労働省令で定める理由」による場合を除き、住民票が消除された日をもって、支給要件児童ではなくならいます。

(2) 再入国の許可を受けて出国している場合

外国人が再入国の許可を受けて出国した場合には、原則として、住民票がある間はいまだ「日本国内に住所を有する」ものとして取り扱います。

このため、再入国の許可を受けて出国した児童手当等の受給者である外国人が、再入国の有効期間内に再入国しなかった場合には、住民票が消除された日をもって、当該児童手当等の受給権を消滅します。

また、再入国の許可を受けて出国した外国人である児童が、再入国の有効期間内に再入国しなかった場合には、「留学その他厚生労働省令で定める理由」による場合を除き、住民票が消除された日をもって支給要件児童ではなくなります。

支給対象

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方

支給額(月額)

3歳未満:15,000円(1人当たり)
3歳以上小学校修了前: 10,000円(第3子以降は15,000円)
中学生:一律10,000円

所得制限

所得制限限度額以上であれば、特例として一律5,000円となります。給与所得控除後の金額が、扶養者0の場合、622万円(収入約833万円)を限度額とします。扶養者が増えれば限度額も上がり、1人増えるとプラス38万円で660万円(収入額875万円)となります。

児童を養育している方の所得が、下記表の①(所得制限限度額)未満の場合、表面の支給額を、所得が①以上②(所得上限限度額)未満の場合、児童1人当たり月額一律5,000円を支給します。
なお、令和4年10月支給分から、児童を養育している方の所得が②以上の場合、児童手当等は支給されません。

認定申請手続

受給資格者は、児童手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び児童手当の額について、住所地の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の認定を受けなければなりません。

また、認定を受けた者が、他の市町村の区域内に住所を変更した場合において、その変更後の期間に係る児童手当の支給を受けようとするときも、認定が必要となります。

必要な書類

申請には、認定請求書(または額改定請求書)、請求者名義の金融機関の口座等、個人番号確認書類などの書類が必要です。

現況届

毎年6月に現況届が送られ、受給資格に確認が行われます。必ず提出してください。提出がなければ6月分以降、受給が受けられません。

詳しくは市区町村窓口にお問い合わせください。

乳幼児医療費助成

この制度は、各種医療保険の自己負担分を助成することから、国民健康保険その他の健康保険に加入していることを前提として、各自治体が行っています。
所得要件についても各自治体により決定されるため、所得証明書、保険証を持参の上、直接市区町村窓口にお尋ねください。手続後に医療証が送られてきます。

医療機関を利用する時は、健康保険証と医療証を医療機関の窓口で提示の上、診療を受けてください。