外国人の滞在が非合法になってしまうと、公の援助が受けづらくなります。無保険者の場合は、全額自己負担が原則ですので、まずは本人ができる限り、友人に借りるなり、本国の家族等に送金を依頼するなりの努力をすることになります。

相談内容

オーバーステイになっている知り合いが、緊急入院し手術を受けました。1週間の入院で40万円近くの医療費を請求されましたが、本人には貯蓄がなく、保険には何も入っていません。何か公的な救済の方法はないのでしょうか?

目次

オーバーステイ外国人の医療費

「行旅病人及行旅死亡人取扱法」とは

「未払い医療費補填制度」とは

無保険状態外国人への医療費援助

オーバーステイ外国人の医療費

残念ながら滞在が非合法になってしまうと、公の援助が受けづらくなります。無保険者の場合は、全額自己負担が原則ですので、まずは本人ができる限り、友人に借りるなり、本国の家族等に送金を依頼するなりの努力をすることになります。

そして、病院のソーシャルワーカーに、支払方法や治療費100%の負担であっても自由診療にならないように、なるべく保険点数が1点10円での医療費をご相談ください。

身内がいない場合、自治体によっては、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」を外国人に適用しています。対象となるかどうかは市区町村の福祉課に問い合わせてください。

「行旅病人及行旅死亡人取扱法」とは

この法律は明治32年にできたものですが、いくつかの自治体で行旅病人に対する外国人適用がなされています。

自治体によって条件は異なりますが、18歳以上の三親等以内の救護人がいないこと、入院中であること、現在就労収入のないこと、手持ち金や本国からの送金がないことなどの要件を満たすことが必要です。

審査を経て、適用が妥当と認められた場合には、自治体がその費用を負担する仕組みとなっています。

「未払い医療費補填制度」とは

自治体ごとに要綱を定めて実施しており、自治体内で発生した未払いの医療費を翌年度の予算で補填する制度です。医療機関自体が自治体に請求する仕組みになっています。

救急医療機関に限っている自治体もあれば、未払い医療費の全額を公費負担する自治体や、一部負担の自治体もあります。

入院日数など補填期間を定めている場合もあり、東京都の場合は、対象となる期間を入院14日以内、外来3日以内とし、公益財団法人東京都福祉保健財団が東京都から受託し行っています。

無保険状態外国人への医療費援助

要件を満たしていれば、外国人でも日本人同様に健康保険に加入できますが、オーバーステイだけでなく、様々な事情で無保険の状態になった人々の医療費の問題は深刻です。

例えば、難民申請をして難民事業本部の保護費の対象者となっている間は、医療費の補助が受けられますが、支給期間が原則4か月となっています。

医療補助の支給期間を過ぎてから既往症が悪化するなど、厳しい生活環境から新たな疾病を抱えた申請者は、滞在自体は合法であっても、何の公的支援の受けられない状態に陥る場合もあります。

厚生労働省は、全国救命救急センターを対象にした「救命救急センター運営事業」において、外国人の救急患者に救命医療を行い、無被保険者について努力したにもかかわらず、回収できない未収金に限って補助する制度を行っています。

そして、「低所得者」、「要保護者」、「ホームレス」、「DV被害者」、「人身取引被害者」などを対象とした無料・低額診療制度を行っている医療機関もありますが、利用する場合は、まず福祉事務所に相談してください。生活が安定する一定期間のみを対象としています。