外国人の年金加入期間が短い場合、①定年後国民年金に任意加入する、②日本国籍・永住権を取得して「合算対象期間」を利用する、③60歳以降、厚生年金の適用事業所で働く方法があります。

相談内容

私は52歳から日本で就労している外国人で、厚生年金に加入しています。定年まで働いても、年金の加入期間が不足すると思いますが、年金は受け取れないのでしょうか。

目次

年金の仕組み

受給資格期間

外国人の「受給資格期間が短い」場合

 ①定年後、国民年金に任意加入する

 ②日本国籍・永住権を取得して、「合算対象期間」を利用

 ③60歳以降、厚生年金の適用事業所で働く

国民年金は基礎年金(強制加入)

国民年金の任意加入(強制加入期間外)

高齢任意加入被保険者

外国人の合算対象期間(カラ期間)

年金支給開始時期

年金の仕組み

まず、年金の仕組みから説明します。

厚生年金保険は、保険料の定額部分と給与の報酬比例部分の二層構造になっています。

定額部分は、国民年金の第2号被保険者に当たり、厚生年金の基礎的給付を行います(基礎年金)。

それに上乗せして、報酬比例の年金が支給される仕組みが厚生年金保険です。

国民年金の被保険者は、毎月一定額の保険料を納めていますが、厚生年金加入者は、厚生年金保険等が国民年金の費用を負担していることもから、この二層になった仕組みが分かりづらくなっています。

言い換えれば、厚生年金加入者は自動的に国民年金に加入しているのです。

受給資格期間

年金を受ける場合は、保険料を納めた期間や加入者であった期間等の合計が、一定年数以上必要です。この年金を受けるために必要な加入期間を「受給資格期間」といいます。

日本の公的年金では、すべての人に支給される老齢基礎年金の受給資格期間である10年間が基本になります。

国民年金だけでなく、厚生年金、共済組合の加入期間もすべて含まれます。また、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も、受給資格期間になります。

外国人の「受給資格期間が短い」場合

外国人が、長く日本で暮らす計画であり、受給資格期間が短い場合、いくつかの方法が考えられます。

①定年後、国民年金に任意加入する

第1の方法は、60歳で定年を迎えた場合、一定の要件を満たせば、基礎部分である国民年金に任意加入して、受給資格期間を長くすることが可能です。

②日本国籍・永住権を取得して、「合算対象期間」を利用

第2の方法は、帰化による日本国籍若しくは永住権を取得して、取得日前日までの期間を「合算対象期間」に利用する方法です。

「合算対象期間」とは

「合算対象期間」とは、年金額の計算の基とはなりませんが、老齢年金を受け取るために必要となる年金加入期間(未納期間を除き、原則として120月)としてみなされる期間のことをいいます。

老齢基礎年金を受けるためには、原則として、保険料を納付した期間と免除された期間を合算して10年の年金加入期間が必要です。しかしながら、これまでの年金制度の変遷の中で、国民年金に任意加入しなかったり、国民年金の被保険者の対象となっていなかったことなどにより、10年を満たせない場合があります。

そこで、このような方も年金を受給できるよう、年金額には反映されませんが、受給資格期間としてみなすことができる期間があり、この期間を「合算対象期間」といいます。

「保険料を納付した期間」と「免除された期間」に、「合算対象期間を加えた期間」が10年以上あれば、老齢基礎年金の受給要件を満たすことになります。

昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間
20歳以上60歳未満の期間に限ります。

この期間は、いわゆる「カラ期間」であって、受給金額には反映しませんが、受給資格が生じます。

60歳まで加入していた厚生年金は、65歳になって、国民年金の老齢基礎年金の受給要件を満たすときに、老齢基礎年金に上乗せするかたちで、報酬比例部分を受け取ることができます。

③60歳以降、厚生年金の適用事業所で働く

第3の方法として、60歳以降、厚生年金の適用事業所で働くことでも受給資格は得られます。厚生年金保険に加入する事業所に勤務する70歳未満の方は、原則として厚生年金保険の被保険者となります。

国民年金は基礎年金(強制加入)

国民年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人であれば、国籍、性別、収入に関係なく、強制加入として全員が加入することになっています。

・第1号被保険者
国民年金保険は、別名地域保険と呼ばれるように、職場を持たない自営業、学生等とその配偶者は、第1号被保険者として、保険料を自分で納めます。

・第2号被保険者
会社や公共団体に勤め、職域保険(厚生年金・共済)に加入している人は、国民年金保険料を直接納めることはありませんが、第2号被保険者として、厚生年金保険・共済組合が保険料を支払い、国民年金に加入しています。

・第3号被保険者
厚生年金保険・共済組合は、第2号被保険者に扶養される配偶者たちを、第3号被保険者として保険料を負担し、国民年金に加入しています。

このように全ての国民が加入する国民年金は、公的年金制度の基礎として加入者に共通の「基礎年金」を支給する制度です。保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。

国民年金の任意加入(強制加入期間外)

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで、年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも国民年金に任意加入をすることができます。(厚生年金保険、共済組合等加入者を除く)

ただし、申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません。

任意加入をする条件

次の1~5のすべての条件を満たす方が、任意加入をすることができます。

1.日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方

2.老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方

3.20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方

4.厚生年金保険、共済組合等に加入していない方

5.日本国籍を有しない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する方ではない方

上記の方に加え

・年金の受給資格期間を満たしていない、65歳以上70歳未満の方も加入できます。

・外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方も加入できます。

※1.の60歳以上65歳未満の方は、60歳の誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができます。

高齢任意加入被保険者

70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き

会社に勤めていても、70歳になれば、厚生年金保険に加入する資格を失います。

ただし、老齢の年金を受けられる加入期間がなく、70歳を過ぎても会社に勤める場合は、老齢の年金を受けられる加入期間を満たすまで、任意に厚生年金保険に加入することができます。

これを「高齢任意加入被保険者」といい、「高齢任意加入被保険者資格取得申出書」を提出する必要があります。

厚生年金保険の適用事業所以外の事業所で働く70歳以上で、老齢年金の受給資格を満たしていない方については、次の要件を満たすことで、任意で厚生年金保険に加入することができます。

(1)厚生年金保険の被保険者となることについて、事業主の同意を得ていること。

(2)厚生年金保険の加入について、厚生労働大臣が認可すること。

希望される方は、「高齢任意加入被保険者資格取得申請書」を提出する必要があります。

外国人の合算対象期間(カラ期間)

日本国籍を得た人や入管法により永住者の在留資格を得た人などの、20歳以上60歳未満の在日期間・海外在住期間のうち、一定の期間が「カラ期間」として年金資格期間にみなされます。ただし、年金支給額には反映されません。

・昭和36年5月1日以降に、日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、外国籍であるために国民年金の加入が除外されていた昭和56年12月までの在日期間

・昭和36年5月1日以降に、日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

年金支給開始時期

原則として65歳から受給できます。

一定の要件を満たす方は、65歳になるまでの間、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。

60歳から65歳までの間に繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選択することができます。

※昭和27年4月1日以前生まれの方、または、平成29年3月31日以前に老齢基礎・厚生年金を受け取る権利が発生している方は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなります。