退職後の医療保険については、国民健康保険、任意継続健康保険、ご家族の健康保険(被扶養者)のいずれかに加入する手続きが必要です。

相談内容

私は日本の企業で3年間働いていますが、会社を一旦辞め、再就職したいと考えています。この場合、現在の健康保険は辞めざるを得ないでしょうが、医療費はどうなるのでしょうか?

退職後の医療保険については、国民健康保険、任意継続健康保険、ご家族の健康保険(被扶養者)のいずれかに加入する手続きが必要です。

目次

退職後に国民健康保険加入

健康保険任意継続制度

傷病手当金とは

日本の社会保険制度

健康保険の任意継続被保険者制度

社会保険等資格喪失(取得)証明書

健康保険の保険料

退職後に国民健康保険加入

日本は国民皆保険制度を採用していますので、職場を離れた場合には、地域保険である国民健康保険に加入することになりますが、保険加入に関しては、任意で選択できるものではありません。

現在は、日本で就労していることにより職域保険である健康保険に加入していますが、何らかの理由で会社を辞める場合は、退職後に会社から健康保険資格喪失証明書が発行されます。その証明書を、住居地の市区町村窓口に提示することにより、国民健康保険の加入が認められます。

国民健康保険の保険料は、健康保険の時と同じく医療費の負担率は3割となります。

健康保険任意継続制度

もう一つの方法として、現在の健康保険を任意で継続することができますが、次の条件を満たす必要があります。

①資格喪失日の前日までに、健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あること。
②資格喪失日(退職日の翌日等)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に、「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること。

2年間現在の健康保険に加入することができますが、今まで会社負担分であった保険料の2分の1を自ら負担することになり、保険料は100%自己負担になります。現在の保険を継続できる便利さや、短期であれば、国民健康保険の保険料と比べてもさほど大きく差がないこともあります。

毎月の保険料や医療費の負担を考慮して、任意継続にするか、あるいは国民健康保険にするか、自ら調べて決定しましょう。

傷病手当金とは

国民健康保険には傷病手当金制度はありませんが、健康保険の被保険者が、病気やけがで就労ができないため十分な報酬が得られない状況に陥った場合に、被保険者と家族の生活を保障する傷病手当金が支給されます。

傷病手当金は、標準報酬日額の3分の2に相当する額が、仕事ができなくなった日(会社を休んだ日)から4日目以降に支給が開始されます。しかし、事業主から傷病手当金より多い報酬額の支給がある場合は、傷病手当金の支給はありません。

また、任意継続の場合、傷病手当金は支給されません。

日本の社会保険制度

日本の社会保険制度は、病気、けが、出産、死亡又は老齢、障害など必要な医療や年金などの給付を行い、生活の安定を図ることを目的としています。

社会保険の具体例として、会社員などが事業所単位で加入する(職域保険)健康保険・厚生年金保険と、自営業者等が世帯単位で加入する(地域保険)国民健康保険・国民年金があります。

日本に住所のある人全てが、いわゆる職域保険か地域保険のいずれかに加入しなければならない義務があるとされ、強制適用とされています。このことから、加入・脱退は個人の意思で任意に行われるものではありません。

健康保険の任意継続被保険者制度

再就職するまでに期間が空く場合、国民健康保険に加入するか又は任意継続被保険者制度を利用することができます。
任意継続被保険者制度を利用する場合、被保険者期間が継続して2か月以上あることが条件であり、退職の翌日より20日以内に必ず手続を取らなければなりません。

加入期間は退職した翌日より2年間ですが、保険料は今までの雇用主負担がなくなることから、勤務中に納めていた保険料の2倍となります。この制度を利用する場合は、健康保険組合等に「健康保険任意継続保険資格取得届」を提出しますが、被扶養者がいる場合は「被扶養者届」と証明書を併せて提出します。

社会保険等資格喪失(取得)証明書

退職して職場の健康保険の資格がなくなった場合は、国民健康保険に加入する手続きが必要です。また、就職して職場の健康保険に加入した場合も、国民健康保険をやめる手続きが必要となります。
社会保険等資格喪失(取得)証明書は、勤め先またはその管轄の保険者(全国健康保険協会や健康保険組合など)に記入押印してもらった上で、提出してください。

健康保険の保険料

a.健康保険の料率は、標準報酬月額を元に計算され、事業主と折半で保険料を負担します。

b.国民健康保険の保険料は、世帯単位で計算され、保険料の納付義務者は世帯主にあります。世帯主が他の健康保険に加入していて、世帯員だけが国保に加入している世帯でも、世帯主が納付義務者となり、世帯主あてに毎年6月に保険料の納入通知書が送られます。