外国人が長期出国する場合、住民票の異動手続き(海外に転出される届出)の後に、国民健康保険をやめる手続き(脱退の届出)が必要です。また、日本国内に住所がなくなるため、国民年金の加入資格がなくなります。

相談内容

私は永住者です。長期出国する場合、転出届を出さなければならないと聞きましたが、その際の国民健康保険や国民年金は継続できるのでしょうか?
再入国の場合はいかがでしょうか?

目次

海外に転出する届出(住民票の異動手続き)

海外転出時の国民健康保険と国民年金

再入国後の国民健康保険と国民年金

住所地手続きに関する用語

外国人の転出届と再入国許可について

海外に転出する届出(住民票の異動手続き)

外国人も日本人同様に住民基本台帳制度の適用を受けますので、海外に転出する届出(住民票の異動手続き)も日本人と同じく義務として行うことになっています。

海外転出時の国民健康保険と国民年金

住民登録をしている外国人住民であれば、企業等の健康保険に加入していない場合、国民健康保健の加入資格が付与されます。

そして、国民年金も、日本に住所地があり、企業等に就労していなければ、20歳以上60歳未満であれば、加入対象になります。

国民健康保険と国民年金に共通することは、生活の本拠である住所地が日本にあることです。

したがって、住所地の存在が日本にあると確認できる状況が継続されれば、国民健康保険・国民年金の資格も継続されることになります。現在の住所地を変更する場合には、必ず市区町村に届け出てください。

住所地の届出は出入国管理の面からも義務化されていますので、在留カードも必ず提出してください。転入の際にはカードの裏に新しい住所地が記載されます。怠ると罰金の対象にもなります。

国民健康保険・国民年金の資格が継続されれば、保険料の支払も継続します。

しかし、長期出国の場合、日本を不在にする期間にもよりますが、日本に再入国する時期が1年後であるか、1年以内であるかにより対応は違ってきます。

みなし再入国許可により出国する場合であれば、必ず1年以内には日本へ帰国しなければならず、帰国後の住所地が変更にならない限り、転出届は必要としません。

しかし、再入国許可手続を行い出国する場合、1年以上日本を不在にするのであれば、転出届を行わなければなりません。

永住者であっても、1年以上日本を離れることは、生活の本拠地が海外にあるとみなされる可能性があり、国民健康保険や国民年金の資格は喪失します。

国民年金・国民健康保険の資格喪失が決定すれば、日本不在の間は保険料の支払も発生しません。海外から年金加入の継続を望んだ場合であっても、外国人の任意の加入は認められていません。

長期で2、3年と海外で仕事をして、出国先が社会保障協定を日本と締結していれば、その国で加入した年金は日本の加入期間に通算される場合もあります。

再入国後の国民健康保険と国民年金

また、在留カードを返納しないで出国した場合は、日本へ再入国した後に、転入先で届出を行い、国民健康保険・国民年金に再度加入することも可能です。その場合は、以前の年金番号も引き継がれますが、1年を超す長期出国の場合は、年金手帳を持参して市区町村窓口でご相談ください。

住所地手続きに関する用語

・住所とは
日本の民法は「各人の生活の本拠をその者の住所とする」(22条)しています。
国民健康保険での住所とは、住民基本台帳に記載される住所です。

・転入届とは(住民基本台帳法22条)
転入届とは、新たに市町村の区域内に住所を定めることをいいますが、出生による場合を除きます。転入をした者は、転入をした日から14日以内に市町村長に届け出なければなりません。

・転居届とは(住民基本台帳法23条)
転居届とは、一の市町村の区域内において住所を変更することをいいます。転居をした者は、転居をした日から14日以内に、市町村長に届け出なければなりません。

・転出届とは(住民基本台帳法24条)
転出届とは、市町村の区域外へ住所を移すことをいいます。転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければなりません。

外国人の転出届と再入国許可について

日本在留の外国人が海外で一定期間過ごす場合、再入国制度を利用して出国しますが、手続を必要としない「みなし再入国許可」と、手続を必要とする「再入国許可」の2つの制度を利用できます。

「みなし再入国」は、1年以内に必ず入国しなければなりませんから、転出届は原則不要ですが、不在期間が1年近ければ、住民税、国保、後期高齢者医療制度は継続されますので、期間の長さによっては、保険料や税金等の支払の問題が生じます。

この場合は、納税管理人等を友人に託すなどの準備が必要となります。

また、みなし再入国でも、出国時に住居を引き払う場合には、転出届を行って出国してください。

「再入国許可」の手続を行い帰国する場合、1年以上超えて日本を留守にするときは、必ず転出届を行ってください。

そして、国民健康保険、国民年金、後期高齢者医療制度に加入している人は、保険証や在留カード等を持参し、転出届とともに各種手続も行ってください。

ちなみに、日本に再入国するつもりで、在留カードの返却を行わず出国したものの、事情の変化により日本に再入国できなくなった場合、1年以内であれば、理由書やパスポートの身分事項と出国日が分かるコピーを提出して、各種保険の資格喪失手続を行うことができます。
詳しくは市区町村の窓口でお尋ねください。