日本人との国際結婚で、海外に住む外国人配偶者が今回の申請とは別に、過去に日本から退去強制されたことがあるケースでは、過去の滞在歴を正確に把握することが大切です。

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過去の滞在歴を正確に把握することが大切

日本人との国際結婚で、海外に住む外国人配偶者が今回の申請とは別に、過去に日本から退去強制されたことがあるケースでは、過去の滞在歴を正確に把握することが大切です。

よく見られる事例としては、日本人が仕事や観光で海外に行き、現地で日本語が堪能な外国人と知り合い婚姻に至るようなケースです。この場合でも、一般的には「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書交付申請を行い、現地から配偶者として呼び寄せることになります。

しかし、過去に退去強制されたことがある場合には、いくら今回の婚姻とは別のことであっても、簡単に許可が下りるとは考えづらいです。この時によく確認しなければならないのは、配偶者が過去にどのような状況で日本に滞在し退去強制されたかの事実確認です。

入管法違反以外の犯罪で去強制された場合

特に日本で入管法違反以外の犯罪に関与しているような場合には、入管法第5条に定める上陸拒否事由に該当するかどうかを真っ先に確認しなければなりません。第5条では日本への上陸を拒否する事由が十数項目にわたり列挙されていますが、中でも多いのが薬物使用、売春、それに窃盗などによる1年以上の懲役刑などに該当する場合です。入管法で明確に上陸拒否に該当することを明示している以上、このようなケースに該当する場合には、在留資格認定証明書が交付されることはよほどの事情がない限り難しいと思われます。

特に海外にいる配偶者が売春などで検挙された過去がある場合には、日本人の夫に打ち明けることができないまま、在留資格認定証明書交付申請を行ってしまうこともあります。出入国在留管理局から在留資格認定証明書の不交付通知書が送付され、職員からその理由を説明されて初めて逮捕歴が明るみに出ることもあります。

そのため、海外にいる配偶者とのコミュニケーションをよく取り、お互いの信頼関係を築くことが大切となります。

入管法違反で退去強制された場合

また、退去強制の理由が入管法違反のみの場合も考えられますが、この際にも詳しく事情を把握しなければなりません。入管法違反と一口に言っても、うっかりした不法残留から偽造パスポート等を使った不法入国など、その内容は様々です。当然ではありますが、その内容が悪質であるほど在留資格認定証明書の取得は難しくなり、上陸拒否期間の5年間(ケースによっては10年間)が経過していたとしても、在留資格認定証明書交付申請が不交付となり続けることも珍しくありません。

悪質と判断されるケース

悪質と判断されるケースは状況により異なりますが、偽造パスポートで入国してそのまま偽名で婚姻届を提出しているような場合や、不法入国を繰り返している場合など、日本の法律を遵守する姿勢が全く見られないようなケースでは申請が不許可となることが多いです。

さらに、外国人配偶者が以前にも日本人と結婚していたようなケースでは、その婚姻生活についても確認すべきです。中には偽装結婚で日本に出稼ぎに来ていて、それが発覚して退去強制となっている例も見られます。
出入国在留管理局などにより偽造結婚が発覚しているケースでは、現在の正当な婚姻に基づき日本人との間に実子がいる場合でも、「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書がなかなか交付されないこともあります。

そのため、以前の滞在歴などを詳細に把握する事が非常に重要です。とはいえ、配偶者のプライバシーに深く関わる内容であるため、事実を確認する際には細心の注意を払う必要があります。