ここでは、指紋認証制度と過去の退去強制歴についてご説明します。

Q.指紋認証制度と過去の退去強制歴について

私は中国籍の男性です。15年前に来日し、現在では会社を興し、中国籍の家族とともに永住の資格も取得して日本で生活しています。しかし、2007年にできた入国時の指紋認証制度で困っています。

実は若いころに他人のパスポートを使い不法入国をし、退去強制させられたことがあります。その後、中国で法的な手続に従い名前を変更し、そのことを出入国在留管理局には告げないで、現在の地位を築いてしまったのです。

日本への上陸時に指紋を照合されたら、過去の退去強制歴が分かってしまうため、母国へ帰ることもできません。どうしたらよいのでしょうか?

A.

2007年11月20日から、一部の例外を除き、日本に入国する外国人にはテロ未然防止の対策として、個人識別情報提供が義務付けられています。

上陸時に指紋と顔写真を登録してコンピューター照合する制度であり、データベースには、国際刑事警察機構(ICPO)と日本の警察が指名手配した約1万4,000人、過去に日本を強制退去になった約80万人の外国人、それに国境を超えて活動するテロリストなどが登録されています。

もちろん、上陸時に指紋が合致すれば、上陸を拒否したり、警察に通報することになります。退去強制歴を隠して日本に入国しているこのケースのように、過去の退去強制歴を隠して日本に入国しているようなケースでは、現在はどのように模範的な滞在をしていても、再入国許可を受けて出国し、再び日本に上陸する際の指紋照合で過去の退去強制歴が判明します。

これを避けるには、海外旅行をしないのも選択肢の1つですが、だからと言って商用や家族再会のため海外に赴くことを断念できない事情も起こり得ます。

そのため、このようなケースでは自ら出入国在留管理局に行き、正直にその旨を話した上で、指示を仰ぎ、抱えている問題を根本から解決するしかないものと思われます。

ただし、永住の許可を得た時期にもよりますが、永住許可を取り消されるリスクのあることを承知しておきましょう。