ここでは、海外でパスポートを紛失した場合の手続についてご説明します。

Q.海外でパスポートを紛失した場合の手続

私の妻はイタリア人です。先日、妻が一人でイタリアに帰国した際にスリの被害にあってしまい、パスポートを紛失してしまいました。パスポートには再入国許可や「日本人の配偶者等」の在留資格も証印されており、現地の警察には被害届を出しましたが、いまだに見つかっていません。
すぐにでも日本に帰ってきてもらいたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?

A.
このようなケースでは、日本の出入国在留管理局から裏書証明を発行してもらうことにより、再び日本へ入国することとなります。

まずは、被害にあった現地の警察に被害届を提出し、パスポートを紛失した証明書などを発行してもらいますが、あらかじめ多めに2~3枚ほど発行してもらうと、後々の手続がスムーズに進むことが多いです。

次に、警察が発行した証明書類を持って現地の役所(母国でない場合には大使館や領事館)で新しいパスポートの発行を申請します。通常はどんなに急いでも、新たにパスポートが発行されるまでには1~2週間はかかります。その間を利用して日本で代理人が行う手続の準備を行うことになります。

日本での代理人は、通常は日本人の夫がなるため、夫を代理人とする在留手続に関する委任状を作成し、警察で発行された証明書(原則として日本語訳が必要)とともに日本にいる夫に郵送します。

日本で書類を受け取った夫は、市区町村の役所でイタリア人の妻の住民票の写しを取得し、委任状、警察の証明書とともに、再入国許可を受けた出入国在留管理局で「再入国許可を受けていることの証明」を願い出ることになります。

出入国在留管理局では、資料や状況を確認した上で、持参した住民票の写しの裏に再入国許可が添付され、「表書の者に対して上記のとおり再入国許可の事実があることを証する。」と記載した証明を出してくれます。

今度は、これをイタリアに送り、現地で発行された新しいパスポートを持って来日し、再入国による上陸の許可(「日本人の配偶者等」の在留資格)を受けることになります。

海外でパスポートを紛失した場合には、このような複雑な手続が必要となります。

また、上記の手続は相手国により多少異なることがあるため、実際に手続を行う際には、必要書類等を確認しながら手続を進めなければなりません。