永住申請においては、入国在留歴・就労状況・身分関係が全て再度チェックされます。

そして、前科前歴の存在は、素行善良要件の審査において、厳しく判断されます。

日本人、永住者、特別永住者の配偶者又は子の場合は、国益適合要件の審査において、やや緩やかな傾向があります。

目次

永住申請の注意点

素行善良要件、独立生計要件を免除される対象者

日本人、永住者、又は特別永住者の配偶者又子は、素行善良要件、独立生計要件を免除されると、入管法上規定されています。
ここでは、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格を持っていることまでは求められません。
例えば、日本人と結婚しているものの、「技術・人文知識・国際業務」ビザを持っている外国人がこれに該当します。

しかし、担当審査官によっては、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格の保有が必要であるとして対応することがあります。

前科前歴と素行善良要件、国益適合要件

国益適合要件を満たす為には、罰金刑や懲役刑を受けないで、納税義務等公的義務を履行していることが必要です。

日本人、永住者、特別永住者の配偶者又は子にも、この義務が課されます。
納税義務については、一部未申告、未納税があった場合、法定期限後に申告、納税することが出来ます。

しかし、前科前歴の事実は抹消することは出来ません。そして、永住審査は必ず前科照会を行いますので、隠すことも出来ません。
前科前歴があるとして、永住申請が不許可になる事例は多くあります。

このような場合は、正直に申告し、深く反省すると共に、二度と法令違反をしない旨を具体的根拠をもって、固く誓約する書面を提出すべきです。

前科前歴と素行善良要件、国益適合要件の審査傾向

通常の永住申請の場合、前科前歴の存在は、素行善良要件の審査において、厳しく判断されます。
日本人、永住者、特別永住者の配偶者又は子の場合は、国益適合要件の審査において、やや緩やかな傾向があります。

入国在留歴の総チェック

永住申請においては、それまでの入国在留歴・就労状況・身分関係が全て再度チェックされます。

過去に違法就労経歴があったり、日本人の配偶者が同居しなかったような状況が確認された場合、現在のビザを更新するときに、短縮されることがあります。

「在留歴10年未満、就労・居住歴等5年未満」の要件の緩和

在留歴が10年未満、又は就労・居住歴等が5年未満の場合、原則永住要件を満たさないと判断されます。
但し、以下のような場合は、在留状況、家族状況、日本国への貢献度等を考慮し、特に配慮されることがあります。

① 日本で生まれた者、又は親に同伴して入国した者で、義務教育の大半を日本で修了したもの。

② 特別永住者又は永住者が、海外留学や病気等、やむを得ない理由により、再入国許可の期限経過後に上陸を認められ、かつ、法上定めらた在留資格のいずれかをもって在留しているもの。

③ 配偶者又は親が永住許可相当と判断される場合の、配偶者又は同一世帯の子

例えば、夫が永住許可要件を満たしていれば、配偶者は、10年の在留歴要件を満たさなくても、夫と同時に永住申請することは可能です。
このような場合、「永住者の配偶者等」の要件(婚姻3年以上、在留1年以上)が適用されます。

※注意点
家族の中に、素行不良(違法な資格外活動等)な者がいると、家族全員が不許可になるリスクがあります。

④ 就労資格又は居住資格で在留中の者で、出国中に病気等やむを得ない理由により再入国許可の期限後に上陸が認められ、かつ、出国前と同一の在留資格で在留しているもの

外交、公用で在留する外国人の永住申請

外交、公用で在留する外国人の永住申請については、用務終了後の帰国予定の有無が確認された上、申請人が在留を希望し、かつ、永住の一般要件を満たす場合は、許可される可能性があります。

それに対し、「特定活動」で在留する台北駐日経済文化代表処、又は駐日パレスチナ総代表部に事務員として勤務中の者、又はその家族については、用務終了後は出国することになっていますので、特別な事情がない限り、永住は許可されません。