ここでは、社会人経験のない留学生が学校卒業後に経営・管理ビザを取りたい場合の注意点をご紹介します。
留学生が学校卒業後に経営・管理ビザを取りたい
外国の大学を卒業後、日本に留学し、専門学校を卒業したばかりの元留学生(20代)Aさんが、株式会社を立ち上げ、これから経営・管理ビザを取得したいと考えています。
日本はもとより、母国でも経営経験、社会人経験もありません。
ビザ申請のポイント
日本の専門学校や大学を卒業後、すぐに起業する場合、経営・管理ビザの審査はかなり厳しいものとなります。
もし、母国で就労経験や経営経験があれば、その詳細を説明したほうがよいでしょう。
また、潤沢な資金、強力な人脈などがある場合も、それらをできるだけ具体的に立証することで有利に働きます。
この事例は、そうした要素には乏しく、まさに、金なし、コネなし、社会人経験なしといった状況です。
このような場合、できる限りの努力をする必要があります。
例えば、今までの人脈リストを作って、会える人には会って自社商品の提案をしてみる、もし会えたら商談議事録を作る、創業支援センターに行って、起業に役立つ情報を入手してくるなどです。
こうした本気の取り組みを、事業計画書にできるだけリアルに記載します。
最低限押さえておくこと
経営・管理ビザの審査では、資本金、事務所の独立性、事業の継続性、安定性等、多数の要素が問われます。最低限押さえておくべき論点は以下のものです。
在留資格該当性 |
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・職務内容が経営・管理の活動に該当するか? ・業務の水準が経営・管理に該当するか? ・安定的、継続的な活動であるか?(業務量が十分に確保されているか?) ・事業継続に必要な許認可を取得しているか? |
上陸許可基準適合性 |
・事業を行うための独立した事業所を確保している ・資本金500万円以上(出資金の出所は明確か?) ・管理の場合報酬要件あり(日本人と同等以上) |
相当性 |
・これまでの学歴、経歴から見て、経営者としての資質や経験があるか? ・日本での納税義務を果たしているか? ・留学生時代のアルバイトは資格外活動の範囲内か? ・相当期間、経営活動をしている ・相当期間、本邦で就労している ・仕入先、販売先、協力会社との基本契約書や覚書があるか? ・採用予定従業員の有無(停止条件付きの雇用契約書を締結しているか) |
事業所の「適正性、安定性、継続性」 |
・過去に入管法違反をしていない。訴訟に関係していない ・公序良俗に反する事業ではない(風俗営業など) ・直近年度に大幅な赤字、大きな負債がない ・2期連続赤字ではない ・経営年数が3年以上(絶対条件ではないが、最低3年以上が望ましい) ・従業員と適正な雇用契約を締結している(労働基準法違反がないか?) ・社会保険に加入している |
職務内容の蓋然性 |
・本当にその職務を行うのか?立証書類(事業計画書など)から十分立証できるか? 非虚偽性 ・卒業証明書、履歴書に虚偽がないか? ・これまでのアルバイト歴に虚偽、記載もれがないか? |
過去の申請との整合性 |
・履歴書 ・日本でのアルバイト歴 ・配偶者、在日親族の記載 |
「経営・管理」ビザの申請事例
- 事例-事業所の賃貸契約書の不備により不交付
- 事例-机上にPCがないだけで不交付
- 事例-事業所の隣地との境界
- 事例-事業所が狭いという理由で不交付
- 事例-光熱費の契約状況も審査対象となる
- 事例-電話回線契約も審査対象となる
- 事例-住居兼事務所は大丈夫か
- 事例-契約書には印紙貼付が必須
- 事例-資本金が全額借金の場合
- 事例-住民税の未払いが原因で不許可
- 事例-資本金の出所を丁寧に立証
- 事例-土地売買により資本金を捻出したケース
- 事例-事業計画書の流用はリスクが高い
- 事例-来日経験なしの外国人の経営能力
- 事例-労働基準法を順守した雇用契約が必須
- 事例-事業計画書の完成度はどの程度求められる?
- 事例-事業スキームに妥当性がないと判断されたケース
- 事例-賃貸契約書の不備による不交付
- 事例-不動産投資事業で経営・管理ビザを取れる?
- 事例-民泊事業で経営・管理ビザを取れる?
- 事例-社会人経験のない留学生が学校卒業後に起業