ここでは、収容されている外国人との婚姻手続についてご説明します。

Q.収容されている外国人との婚姻手続について

先日、不法滞在をしていた外国人の彼が出入国在留管理局に収容されてしまいました。もともと結婚する予定だったため、すぐに婚姻手続を済ませて在留特別許可を希望したいと思います。
まずは何から始めたらよいですか?

A.
出入国在留管理局に収容された場合には、その収容期間は最長でも60日間です。

逆に考えれば、原則として出入国在留管理局は、60日以内には退去強制させるか、在留特別許可を与えるかの判断をすることになるため、もし日本人との婚姻を理由に在留特別許可を希望するのであれば、それまでに必要書類を準備しなければならないことになります。

ただし、60日以内といっても最終日に判断がされるとは限らず、極端な例を言えば収容された数日後に退去強制令書が発付されることも考えられます。

一度、退去強制令書が発付されてしまうと、その後に婚姻などが成立して再審を嘆願しても、退去強制の決定を覆すことは非常に難しく、ほとんどのケースでは最終的には強制送還されることになります。

また、退去強制令書発付処分等の取消しを求めて裁判を起こすことも考えられますが、かかる費用や時間、それに勝訴する可能性などを考慮すると、現実的な手段とは言い難いのが現状です。

そのため、結婚予定の外国人が出入国在留管理局に収容されている場合には、退去強制令書が発付される前に、1日でも早く書類を整えて婚姻届を行い、出入国在留管理局にその旨の文書を提出することが現実的な手段と言えるでしょう。

まずは、収容されている外国人婚約者と面会し、今後の結婚の手続や方針などを話し合い、出入国在留管理局に対しては「今後、日本人と婚姻する予定があるため、このまま日本に滞在したい」という意思を明確に伝えるようにしなければなりません。

その後に、日本人の婚約者が市区町村役場などで婚姻手続を済ませることになりますが、通常最も手間がかかるのが外国人配偶者の婚姻要件具備証明書です。

既に用意している場合は別ですが、多くのケースではこれから急いで取得しなければなりません。日本にある大使館や領事館で発行されれば良いですが、ケースによっては本国から取り寄せなければならないため、すぐに手配しなければなりません。

その後、婚姻手続が済み次第、日本人である配偶者が出入国在留管理局に書類を提出する事になります。

とはいえ、このような手続は非常に複雑であり、想定外の事態が起きることも予想されるため、あらかじめ周到に計画を立てなければなりません。