ここでは、不法滞在者が入管に出頭後、警察に逮捕された場合についてご説明します。

Q.不法滞在者が入管に出頭後、警察に逮捕された場合

私は中国籍の女性です。先日、日本人の夫とともに出入国在留管理局に出頭し、取調べの中で在留特別許可を希望している旨を伝えて、取りあえず帰宅を許されました。出入国在留管理局からは「こちらから連絡があるまで待っていてください」と言われましたが、もう街に出ても不法滞在などで警察に逮捕されることはありませんか?

A.
出入国在留管理局に出頭しても不法滞在の状況が変わったわけではありません。あくまでも、最終的に在留特別許可が認められ、正規の在留資格が与えられた時になって初めて、不法滞在ではなくなります。

そのため、単に出入国在留管理局に出頭しただけでは、依然として不法滞在のままであり、警察官などに職務質問をされ、不法滞在であることが判明した場合には、当然に逮捕されることもあると思われます。

ただし、入国審査官の審査段階以降「仮放免」を許可され「仮放免許可書」を携帯していれば、不法残留容疑等で逮捕されることはありません。

もし、逮捕されると、まずは警察に拘留されることになり、ケースにより異なりますが、通常は1~2週間ほどで身柄が出入国在留管理局に移されます。

その後、出入国在留管理局では退去強制手続に即した調査が行われ、収容できる最長期間である60日以内に退去強制か、在留特別許可の判断が下されることになります。

このケースでは、既に出入国在留管理局に自ら出頭し、在留特別許可を希望する旨を伝えた上で、資料なども提出しているため、特別な事情がない限りは、別段の手続などは必要ありません。

しかし、急に収容されたこともあり、外国人配偶者が気が動転し、収容を解くために帰国することに同意してしまうことがあります。そのためにも、日本人である配偶者などは面会を申し込んだ上で、状況を詳しく説明し、落ち着かせることが重要です。

不法滞在者が自ら出頭し、在宅案件として処理が進むと、通常は在留特別許可が与えられるかどうかの判断がされるまでに、数か月~数年はかかるとされています。

一方、出頭後に警察などに逮捕されると、裁判などの特別な事情がない限り、出入国在留管理局に収容されてから最長でも期限である60日までに結果が出ることになります。

結果だけを考えると、時間が短縮されたとも考えられますが、警察に逮捕され、出入国在留管理局に収容される外国人配偶者の精神的な苦痛は相当なものです。

そのためにも、出頭申告後仮放免されるまでは、なるべく目立つような行動は控え、家族とともに静かに出入国在留管理局からの連絡を待つのが良いでしょう。